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序幕!!

どうも、水乃白雪です。

今回初めて小説投稿をするため、まだまだ文がしっかりしていませんが、面白さだけは自信は少しあります。

軽く伸び伸びと見てください。

 そよ風が地面に落ちている青葉を吹き上げる今日この頃、快晴でありながらも暑すぎない極めて適温といえる気候。

ただそれだけの、本当によく起きる天候にすら俺はこう感じざるを得なかった。


「平和だ……」


 ぽつりと、自然に口から洩れてしまう。

どうしてだろう、ほんの数日前まではこんな些細で日常的な事なんて気にも留めなかったのに、今はどうしても執着するほどに何度もその言葉を繰り返す。平和、最高だ。

 とある公園の、端に設置されてある一つのベンチに俺は今腰を下ろしている。空を見上げ、大きく深呼吸して、空気の美味しさを十二分に味わう。うん、美味い。

 そうだ、俺は普通なんだ。いつも通り学生服を着ているし、これといって変わったことをしていない。

うん、きっと昨日まで夢でも見ていたんだろう。そうに決まっている。だって俺は普通だから……なんて、いつまで自分はここでこうして現実逃避しているんだろう。顔を下ろした俺は深く溜息をつく。

 そろそろかなあ。時間は午後二時を指している。俺は胃をキリキリさせながらそれが来るのを待っている。


「(行きたくない……)」


 心の底からそう思う。どうか来ませんように。

 しかし、俺のそんな切な願いも、その数秒後にバッサリと断ち切られた。左手首に着けていた腕時計が突如ブザー音を鳴り響かせた。そして、



『カナメ、敵だ! 新橋に向かえ! 今すぐにだ!』



「……はいはい、わかりましたよー」


 力の抜けた声で、俺は通信機能の付いた腕時計に向けて返事をした。腕時計のスイッチを切ってゆったりとベンチから腰を浮かす。実を言うと、ここは既に新橋なんだよな。

予想がついていた俺は言われる前から一応先回りをしていた。敵が出ないことを祈りながら。


「でも、やっぱり出てくるのな……」


 否が応でも敵に立ち向かわなければならない。それがレンジャーなのだ。

 敵を捜すため立ち上がった俺だが、どうやら手間が省けたようだ。何故ならば、いつの間にか――。


「ミツケタ。オマエタオス」


 自分の目の前に敵というのが現れてきてくれたからだ。時間が短縮されてありがたいことなのだが、どうしてかとても腑に落ちない。いや、理由はわかっているのか。


「シネ、レンジャー!」


 その言葉に、俺は過剰に反応した。心の芯から怒りが込み上げる。


「……れが」

「ン?」


 一瞬怯んだ敵に、俺はすかさずストレスを全力でぶつけるが如く、右足ローキックをきめ込んだ。


「誰がレンジャーじゃああああああああああああああああああああああああああ!」


 敵はソフトテニスボールのように軽く吹っ飛んでいき、最後は見えなくなってしまった。

 任務完了。


「もとはと言えばお前らのせいだろうがああああああああああああああああああ!」


 誰もいなくなっている公園では、俺の叫びはただ虚しさを感じさせるだけだった。

 そう、一週間前のあの日から。

 俺――じゃなくて俺たちの日常が変わってしまったのは一週間前のことだった。


 突如東京に未知の生命体が現れたのだ。


 混乱に陥った日本は、急速にその生命体を排除するため数多の兵器を持ちだしたのだが、どれも通用することはなかった。

 勿論世界政府も放っておく訳にはいかず攻撃を仕掛けたが、やはり通用せず、とうとう東京は謎の生命体に支配された扱いになり、無人地帯となってしまった。それどころか、いつ侵攻して来るかわからないため、周辺の県即ち関東地方に住む人がいなくなってしまったのだ。

 日本は絶望に満ち溢れてしまった。このままでは世界が終わると誰もが考えていた。俺もそうだった。

 しかしそうはならなかった。何故なら、突然俺を含む五人に光が射して、不思議な力を与えられたからだ。……とりあえずそうなのだ! 誰がなんと言おうと本当なのだから仕方ないだろう!

 人々は勝手に俺たちに期待をのせて、いつのまにか人類はいつもの暮らしに戻っていた。

 これまでの期間、たったの三日。そして非日常を強いられたのは五人。勿論そんなのいきなり許容できるわけもなく、次第に鬱になっていった――。




「帰って来るのが遅いぞ。何思いふけてんだ」

「ようちゃんはデリケートなのよ。もう少し優しくしてあげたらどうなの?」

「甘やかし、いけない」

「相変わらず可愛いねー、要君」


 ――なんてことは俺にしか起こらなかった。つうか、他四人ノリノリだ。


「有り得ないだろ!」


 基地へ帰ってきて、皆から一言貰った途端俺は叫んだ。


「なんでだよ! 今更だけど、どうしてこうもへらっとしてられるのさ!」

『おもしろそうだから』

「どこが!?」


 身体を震わせている俺。こいつら……。


「ようちゃんは気を貼り詰め過ぎなのよ。もう少し肩の力でも抜いたらどうなの?」

「いつ地球がなくなってもおかしくない時によくできるなお前ら!」


 アドバイスのつもりで言ってくれた青葉那月の言葉も、半ギレしている自分には届かない。むしろ火に油を注がれているようだ。


「私たちには不思議パワーがあるんだぞ。敵なんて屁じゃないだろ」

「なんでこんな重大な役目を担うのが俺なんだよって話だよ! 俺ら数日前まで同じ高校に通っていた単なる幼馴染集団だぜ!?」


 突然ながら俺たち五人はそういう関係なのだ。いや本当、なんで俺らな訳? 世界の人口知ってる? 約七十億だぜ? どうとも気にしていない赤真神歌の言葉は、より一層俺をヒートアップさせる。そこに、


「人生、いいこと、いっぱい、ある」

「今はそのどん底なんだよ! ていうか良いことが起こる前に地球滅びそうな勢いなんだけど!」


 ポジティブシンキングになれとでも言うのだろうか。黄央未央は片言な喋り口調で語ってきた。ごめんな。こんな状況じゃなれねえよ!


「倒して倒して倒しまくろう!」

「お前が一番うぜえ!」


 シャドーボクシングをしながら緑井沙羅はただ自分の意思を訴えかけてきた。反対派の俺に言うなって話だ。もう限界だ。耐えきれない。俺はより一層大きな声で叫んだ。


「こんなことやってられるかぁあああああああああああ!」


 迷いなく方向転換。俺はついさっき帰って来たにもかかわらず、すぐにまた外へと駆け出す。バックレだ。いや、そもそも仕事でも何でもないけど。

 しかし人生は思い通りに事は進まない。こっちは全力で駆けているのに、緑井という子は俺にいとも簡単に追いつき、後ろ首にチョップをかましてきた。


「かっ……」

「要君、逃げちゃあメッだよ」


 そうさ、俺はこんなもんなのさ。どうやったって逃げられない。昨日一昨日だってそうだった。ようは単なる現実逃避。

 わかっている結末を何度も繰り返す。あ……目の前が暗くなって……。今日もまた、基地から出るとことすら出来なかったなあ。




 目が覚めたら、そこにはなんの変哲もない天井が目に入って来た。言えることがあるとすれば、その天井は数日前まで見てきたものとは違うということぐらいだろうか。右を向いても、そこには俺が大好きだったアイドルのポスターもない。

 なんにもない。

 とてもつまらない場所だ。ゲームのひとつも置かれてやしない。あるのは必要最低限な物ばかり。テレビ、学生服、ベッド、テーブル。

 畜生、なんで俺がこんな目に……。強く歯を噛みしめる。普通なら今頃、家族と一緒に食事でもしているんだろうな。どうせならこのまま覚めないでほしかった。

 現実に向き合いたくなかった。


「なんでかなあ……」


 人生うまくはいかないとは言うけども、最悪なことばかりなのはどうなんだってんだ。

 ヒーローに憧れるのは小学生までだ。あれだけ自分もなりたいって思っていたはずなのに、現実を理解した今の俺はそうはいかない。

 これが責任。自分の手に地球全員の命がかかっている。それを聞いただけで俺の心臓は張り裂けそうだ。

 そんなときに、皆の言葉が頭によぎる。


(もう少し肩の力でも抜いたらどうなの?)

(人生、いいこと、いっぱい、ある)


「張り詰め過ぎ、ねえ……」


 皆は何故か楽しそうにしている。俺はその態度に真剣味が見あたらないから怒っていた訳じゃなく、わざとあんなに無理して明るく振舞おうとしていることに怒りを感じてしまうのだ。俺にはあの四人の考えることくらいわかる。


「なれるかな」


 昔の自分みたいに。ただ純粋にヒーローに憧れている自分に。ヒーローごっこを心の底から楽しめる自分に。そしたら皆、無理しないで済むだろうか。

 そんなことを思う今日だった。




 次の日、俺は変わった。限りなく一変した。昨日までの自分をすっぱりと切り捨てたのだ。

 ニュー俺の参上だ。

 その変わり様はあからさま過ぎて、皆も思わずきょとんとしていた。


「ようちゃん、いきなりどうしたの? いつもはもっと暗いじゃない」

「俺、やっとけじめがついたんだよ。このままじゃいけないって。このままうだうだしてても意味がないんだ。過去はもうどうにもできないんだって。だから俺、これから心を引き締めてちゃんと皆と敵を退治してこうと思うよ」

「ようちゃん………」


 よく見ると、他の三人も柔らかな笑顔を向けていた。あんなにいつも元気そうだったのに、実は心配してくれていたんだな。


「進化して子供のようになった俺は強さ百倍だぜ!」

「ようちゃん、それ退化していない?」


 ようやく始まった俺のヒーローライフ。

 俺はこれから日々の生活を報告書として出すための記録係を担うことになった。これから書いていく事は、その日起きた出来事だ。くまなく書き上げたこの書類はちゃんと届くのだろうか。

 それがこの物語のプロローグ。

 これからの残念な物語に引いたりするなよ。


どうでしょうか?

まだプロローグなのでしっかりとギャグパートには入りきれませんでした。

もしも興味を持ってくれたら第一幕を楽しみにしてください。

面白さを第一に考えたこの作品。

失笑になんかさせません!!

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