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8/10

八話  スイカは甘いかしょっぱいか

 じゃりじゃりと八等分したスイカに齧り付く。

「英司、明日の学校祭、お勧めは何じゃ?」

「ヘえー親父も来るのかよ?」

 れーちゃんがいるから、ブス腐れても強がっておく。ようやく穴から這い出し、れーちゃんにおんぶされ……なんてかっこ悪い姿はもう忘れたい。


「エイちゃん主役の劇しかないでしょ。伯父さんも観てやってください」 

 そうそう、親父も僕の剣士姿を見て驚け。着流し姿に見惚れろ――れーちゃんよりカッコいい僕に気づけ。

 その後は親父を無視して、れーちゃんとぷっぷっとスイカの種飛ばし競争。よしよし、調子は絶好調だ。


「さて帰るか、叔母さん、ごちそうさまでした」 

 れーちゃんは家までの五キロを走って帰る。

 僕は、(真人は普通になってますように)と唱えて眠った。   

 短時間熟睡も修行の効果。

 朝、擦り剥けた肘と膝を撫でながらごはん。


「おはよう、ばあちゃんは?」 

 向かいで箸に手を伸ばしたじいちゃんに聞いた。

「昨夜出たまんまじゃ。帰りは知らん」

 じいちゃんは不機嫌そうに言うと、はぐはぐと白飯をかっこみ始める。


 な~んだ……残念。一番観てほしいのはばあちゃんなのに。

 ばあちゃんは僕に厳しいんだけど好きだ。


 しょっちゅう町内の老人会旅行とかに、じいちゃん置いて出かけちゃう。

 何日か姿みえないなぁと思っていると、いつの間にか居間でお茶してる。

 お土産はいつも美味い。

 昨夜のスイカもそうだ。まんまで甘く、塩振って甘しょっぱく二度美味しいってこと、居間のダーツ板目がけて種飛ばし――の遊び方、ばあちゃんが教えてくれたっけ。

 今では真ん中に百発百中。れーちゃんと僕の恒例行事になっている。 

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