表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/10

六話  ウイークポイント

 ポツポツと小雨が肩を濡らしていく。紫づくめを従えて、ため息つく下駄箱の前。

「ねぇねぇ、もうすぐだわね? 楽っしみだわ〜英司のお侍さん姿!」

 なんだか言葉までそれっぽい真人。


「いやいや、どうしたって黒装束姿には敵わないっしょ? 実技ン時の英司は最高! 何度見ても惚れるだろ?」

 ああぁ……それは言うなつうの! 明――ニヤけて……しまうだろ。

 そうなんだ――僕はかっこいい自分が好きだ! 実技で木から木へ飛び移る時の目にも止まらない勇姿。何より両手と片膝をつき着地をビシッと決めた瞬間の恍惚感。

 そよとなびく風に、前髪がさわりとゆれて――周囲から漏れ聞こえるため息を感じる時の優越感ったら――最高だ! 


「くすぐられるね、エイちゃん? ククッ」

 こみあげたニマニマがその一言で正気に戻った。明の相棒、僕の唯一の弱点を知っているれーちゃん。

「じゃ夜、またね」

 れーちゃんは片手をあげて明と去っていく。その姿を見ながら紫真人が呟いた。

「ああ~ん、いいわねぇ~。ねえ、マサも行っていい?」 

「やめれ! 行くぞ!」

 真人と一緒に行動するのは登下校だけで十分だ!



 今、れーちゃんは島の右端っこに住んでるけど、入学まで二家族同居してた。今でも親父から一緒に忍び技を学んでいる。

 よく僕をナルシストって笑うけど、一番の理解者だ。

 学校祭の劇じゃ監督になって、僕が主役の舞台をお膳立てしてくれた。僕は人から注目されたいし目立ちたい。島の子の中じゃ一番容姿が際立っているし。

 でも本音はれーちゃんに負けたくないんだと思う。何をしてもいっつも後一歩が追いつかない。口に出せないけど一番のライバルだ。  


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ