表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/10

三話  腹減り! 腹減り!! 

「なんか……僕、ひだる神にでも憑かれたかも――」

 お腹を摩っていた雄三が、その両腕で机を抱え込むように突っ伏した。

 もうすぐ次のチャイムが鳴るから、僕は黙々と準備を始めだす。

「だって、朝、あんなに食べたのに――もう腹へったー」

 雄三のグチグチは続く。


 ひだる神っていうのは、山とかで人にとり憑く妖怪のこと。獲りつかれると空腹感で死ぬらしい。僕が無言なのは呆れ半分だから。実際にそんなのあるわけないだろって反論したい。

 正直、下手な術の相手をする余裕なんかない。休み争奪戦最中でも退屈な授業はあるわけで。普通に試験なんかもあるわけで――なんだかとっても理不尽だ。


「普通なら同情して飴玉でも放り込んでくれるよね?」 

 五年生の雄三はお間抜けな演技を続ける。演技なら僕だって負けない。だって学校祭の劇じゃ主役なんだ。

 でも反論したら五人がタッグを組んで言の葉戦争が勃発しそう。今は聞き流すのが一番だろな。


「ねぇ? ね―?」

 そんな話に引っ掛るわけないだろう?

 僕は真人と一緒に登下校するだけで疲れてるっていうのに。真人と一緒の苦痛さを吐き出して、雄三に哀車の術をかけてやろうかと思う僕。


 ああ―こいつらなんだって僕を狙うんだよ? 教室ここには十七人居るっていうのに。面倒くさっ!


 そう思った時、雄三は小ぶりな弁当箱の蓋を開けた。次の授業が終われば昼休みだっていうのに、腹減りを我慢できないアピールかよ! 

 何度も言う……五車の術は会話で精神攻撃をするもんなんだよ。行動じゃないんだって!

 だけど……会話攻撃の方がまだましだった。


 僕は隣から漂った薫製臭に悶絶するハメに。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ