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十話  草

 夏休み前夜、僕とれーちゃんは、ばあちゃんの部屋に呼ばれた。

「英司、お前が継ぐのは隠密忍者の頭目などではないのですよ」

 れーちゃんは畳に両手をつき項垂れ訴える。

「祖母さま、エイジは伯父さんと違います。父は立ち位置を常に伯父さんの一歩後ろに保持していました。だから伯父さんは追う背を失くし歩みを止めてしまったのです。自分は父と同じ伝を踏まないと決心しました」



 れーちゃんは僕の草だ。

 本家の長男には、危急時に身を棄てあるじを守る草忍者が存在する。

 親父の草はれーちゃんのおとうさん、つまり僕の叔父さん。

「私は衆目を集め目立ちたい英司の気質を、常に気に病んでいました」

「エイジのナルシス気質、いずれは自尊心に変ると思っていました、使い道さえ違えなければと。

甘く見ていました。全ての級友に平等などと、世迷言に現を抜かし、ましてや己が彼らから英雄視されようと、あんな策を企てていたとは――」 



 あの時――僕の手を離れた飛礫が空へ飛んだ時、舞台にいた役者たちは危険を察知し避けた。ばあちゃんの姿に気づいたれーちゃんが咄嗟に僕へと駆け寄った。結果、舞台上には真っ青な物体が二体。畑先生は自爆と判定した。


 ばあちゃんの部屋を出たあと、僕はれーちゃんの言葉をかみ締めるしかなかった。



「えいちゃん――

 ここはお仕置きが必要だよね?

 忍びの世界で要となるのは、いかに非情で無情になれるかだ。

 一緒に夏を島で過ごす間、俺はお前を愛のムチで打つと決心したよ。

 あれもこれもそれも、波の藻屑と消えた夢の対価として。

 せいぜい覚悟しておくように」









 あう! 眼が怖いよぉ――れーちゃん。 



 読了ありがとうございました。 

 犬吉先生、主催お疲れさまです。


 お題「忍者」を捻れず、お話しに注ぐべきエネルギーを「文字数遊び」に費やしてしまいました。

 盆踊りモードのお祭り参加作品で、もう、なんだかいろいろと、申し訳ございません。


 五車の術、ひだる神はウィキペディアを参照しました。

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