一話 五車の術
犬吉杯お祭り参加作品スタートです。お題は忍者。
ニンジャガ小中学校は学年複合で、五、六年生が一緒の教室になっている。
僕らは夏休み争奪戦で盛り上がっている。
際限なくある忍術を駆使して隙をつき攻撃するのが課題だ。先生が「はい、君の負け」と判定すれば課題クリアとアバウトだ。
といっても実際に身体を傷つけるのはご法度。
色つきの飛礫を投げ相手に命中させる。隙をつかないと飛礫は避わされる。いかに巧みに相手の隙をつくかが鍵なんだ。
クリアした生徒は夏休み、島外体験本土ツアーへ。クリア出来なかった二人は一夏、島のゴミ拾い兼お留守番。
隣席の雄三は、なぜか五人チームを結成したようで。僕をターゲットに五車の術を仕掛けようとしているらしい。けど、見え々で気がつかないはずないわけで。
なぜ五人は僕を相手に選んだのかな? 僕はそんなに単純人間に見えるのかな?
五車の術っていうのは――話術で相手の隙をつく戦法なんだ。
一 喜車の術=相手をおだてる。おだてて舞い上がった隙をつき一撃攻撃。
二 怒車の術=相手を怒らせる。怒りで冷静さを失なった隙に一撃攻撃。
三 哀車の術=相手の同情を誘う。優しさに付けこんで隙が出来た瞬間に一撃攻撃。
四 楽車の術=相手を羨ましがらせて戦意喪失させる。戦意喪失した相手ほど弱い者はない。けど、この術の利点は上手く使えば相手を味方にしちゃえるって事かな。
五 恐車の術=迷信なんかを利用して相手の恐怖心につけ入っちゃう術だ。不安になった隙を狙い一撃攻撃。
僕は実践じゃ誰にも負けないと自負している。ああ、そっかぁ――だから僕には心理戦ってか?
けどさ、チカラの強さはその精神力に比例すると僕は思うんだ。




