始まりの行い
はじめまして。前から言っていたホラーを連載しました。
では、恐怖をどうぞ。
「次はあそこに行きたい!!」
明るく、無駄に元気な声を聞いて、俺、深瀬涼はその声の主の方を向いた。
「そうはしゃぐなって、美樹。急いだってアトラクションは逃げねぇぞ?」
季節は夏。俺、深瀬涼と七瀬美樹は2人で遊園地に来ていた。ここの遊園地はアトラクションが多くあり、地元の住民達だけではなく、県外の人たちにも好かれていた。希に、ここの敷地が広すぎて迷子が出るとかでないとか。
「アトラクションは逃げなくても時間は逃げてくの!!さっさと行くよ!!」
「はいはい・・・ってここ怖いことで有名なお化け屋敷じゃん。大丈夫なのか?」
「なになに?涼ってば怖がってるの?」
「そんなわけ無いだろ。ほら、行くぞ。」
俺たちが向かったのはこの遊園地の中でも人気なお化け屋敷。この遊園地は建てられてから100年ほど経っているが、このお化け屋敷は設立当初から設置されていたらしい。実に貫禄がある。
ただしかし、問題が2つある。1つは美樹が怖いものが苦手ということだ。本人によると、
「好きだけど怖いの!!」
らしい。好きだけど怖いというのは矛盾してる気もするが、この問題は些細なことだ。
だがもう1つの問題が厄介だ。
もう1つの問題とは”ここに入ってから精神に異常をきたしたものがいる”という噂があるということだ。
その人は、
「人が・・・死体が・・・。」
などと言った言葉を繰り返していたらしい。
そんなに怖かったのだろうか?
このことは当然美樹も知っており、それも含めての大丈夫か?だったが、果たして届いているのだろうか・・・
そんなことを考えているうちに、お化け屋敷の中に入った。
結構人気だったはずなのだが・・・。意外に空いている。
客がいなかったおかげで、俺たちはすんなりとお化け屋敷の中を探索できるようになった。
「いやぁ~、わくわくするね~。」
「テンション上がってるのはいいけど、こけたりするなよ?」
「そんなことしません!!」
そんなくだらない会話をしながら中に入っていった。
中は結構広く、結構歩き回れそうだ。
あたりは広い空間が広がっており、血だまりや手の形をした塗装があった。血だまりはペンキだろうし、服について訴えられたりしないのかな?そこらへん結構気になる。
「・・・っひ」
美樹が塗装をみて怖がってる・・・。ここは男らしくかっこつけてみるか。
「大丈夫だ。何かあっても俺が守ってやるから。」
・・・やべっ。ちょっと調子乗りすぎた。急いで撤回しようとするも、
「おぉ!!涼かっこいいー!!何かあったら守ってね。私のナイトさん♪」
すでに手遅れだった。はぁ、黒歴史が増えていく。
少し歩いていくと、手前に十字路が見えた。左に曲がるか。
「・・・次の角を左に曲がるぞ。」
「はーい。」
こういうところにドッキリとか仕掛けてあるんだよな・・・。
そう思いながら角を曲がると・・・
「?」
何もなかった。
警戒しすぎか?後ろからくるってこともありえるな。
「ねぇ・・・涼。なんかドッキリとかさ、仕掛けとか、ないのかな?」
美樹も不審に思ったようだ。
「わからねぇ。故障で動いてないのか、それとも俺たちが運がいいだけなのか。もっと進んでみようぜ」
「わかった。流石に何もないてことはないよね?人気があるってことは。」
「流石にそれはないだろ。行くぞ。」
ドッキリも仕掛けも何もなく、15分ほど歩いた頃。
「ねぇ・・・やっぱり何かおかしいよ。角とかあったけどずっとまっすぐ歩いてきたんだよ?とっくにお化け屋敷から出てもいい程歩いたのにまだ先が見えないよ。どういうことなの?」
「俺に聞かれてもわかんねぇよ。だいたい広い迷路には案内役のスタッフさんとかいるもんだろ?ちょっと呼んでみる」
美樹は不安なようだ。正直言って俺も不気味に思う。いくら進んでも先が見えない。とにかくスタッフさんを呼んでみよう。
「おーい!!スタッフさん!!誰かいるかー!!」
辺りには俺の声が響き渡る。
・・・・・・・・・返事が聞こえない。
「やっぱり何かおかしいよ。ここ。」
「・・・おい。美樹。今までの道のり覚えてるか?」
「え?・・・うん、覚えてるよ。」
「今すぐ戻るぞ。嫌な予感がする。」
俺の頭の中から精神に異常をきたした人がいる。この噂が離れない。ここはまずい。早く出ろ。そう、直感か何かが俺に強く訴えかけている。
「入口はここだな?」
「うん。そのはずだよ。」
「じゃあ、美樹は下がれ。開けるぞ。」
そう言って、開けた。
「おいおい・・・冗談だろ?」
俺は驚愕した。なぜなら、扉を開けたその先には・・・
”なにもなかった”のだから。
ここまで読了ありがとうございます。
始まり。プロローグ的なものなので短めです・・・なんて言うと思いましたか?これが今の私の全力です。おいおい長くしていく予定です。
今のところはあまり恐怖を感じるところはないですね。私は頭の中に構成が詰まっていて非常に怖いのですが。