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3話

3話


「っで?なんで俺たちはファミレスにいるわけ?」

「ごめん、食材何もないことすっかり忘れてた」

長い髪を振り乱しながら、御咲は頭を下げる。

「まっ、いいけどさ」

「ごめんね。今日はおごるよ」

「いいって。それより冷めるよ」

「あっ、うん」

御咲はパスタを口に運ぶ。

「美味しい」

御咲が目を丸くするのを見ながら、暁もハンバーグを食べる。

噛んだ瞬間に出る肉汁とソースが絡んでとても美味い。

「パスタって、一度食べてみたかったんだよねー」

「食べたことないの?」

「え?あっ、う、うん。うちの親、麺類大嫌いで...」

「へー」

「それよりも、今日の暁君、凄かったね」

「大したことないよ」

「あとからきいたけど、この街の学生人口って100万人近くいるんでしょ?その中の26位って...」

「まあ、確かにね。自分でもびっくりしたし」

「最後の氷の剣?を砕いたのって」

「ああ、あれは...」

暁は淡希にしたのと同じ説明をする。

「ふーん。...本当に?」

そう尋ねた御咲の目を見た途端、暁は背筋が凍りつくかと思った。

影のある表情。

そして見たことのない冷たい瞳。

それが射抜くように暁を見ている。

暁は冷汗を首筋に書きながらも、

「ほんとだよ」

と冷静に返す。

「そっか」

次の瞬間には御咲は暖かい瞳に戻っていた。

「なんで?」

「ん?そんなことできるんだーと思ってさ。深い意味はないよ」

「なら、いいけど」

「さてと、そろそろ出ようか?」

立ち上がりながら、御咲はいう。

「ん、ああ」

暁も立ち上がり、二人は店を出たのだった。


「はー美味しかった」

言いながら、御咲は伸びをする。

「そうだな」

「明日は私が...」

「君たちこんなとこでなにしてんの?」

御咲の言葉を遮ったのは、三人の若い男だった。

鼻にピアスをした奴が、ニヤニヤと笑いながら暁たちの前に、青い髪の奴が暁の脇に、長身で猫背の奴が御咲の脇に立つ。

「こんな時間に出歩いちゃ危ないよ。俺たちが送ってやるよ」

鼻ピアスがいう。

「結構です」

暁が答えると、青髪が鼻で笑う。

「てめえじゃねえよ。俺らが言ってんのはそっちの彼女」

「いいです...」

御咲が消え入りそうな声で言うが、男達は聞かず、御咲の腕を長身猫背が掴む。

「やめろ」

暁は長身猫背から御咲を引き離す。

そして、走った。

「あっ、待てごらっっ!!」

当然のごとく、男達は追ってきた。

暁は御咲の手を引きながら、路地を何度も曲がりながら追っ手を引き離しにかかる。

だが、逃げた場所が悪かった。

路地を曲がってすぐに、壁にぶつかる。

「いてえ...」

「大丈夫?」

「あ、ああ」

二人は引き返そうと振り返る。

しかし、そこにはすでに鼻ピアスたちがいた。

「ったく、面倒かけやがって」

「くそっ」

暁は懐から雷天の杖を右手で取り出し、起動させる。

「あん?」

「くらえっ」

雷撃が飛び出した。

それは青髪の足に当たり、しびれさせる。

「ぐ...」

青髪が膝をついた。

暁は続いて、磁力を操作し、近くにあった鉄パイプを何本も引き寄せる。

「今なら助けてやる。逃げるなら逃げろ」

「てめえだけが能力を使えると思なよ」

鼻ピアスがいう。

鼻ピアスも、長身猫背も、逃げる気はないらしい。

「死ねっ」

長身猫背が、走り出す。

狙いは御咲。

御咲を盾に取ろうとしたのだ。

しかし、暁はそれを許さない。

長身猫背の左右から、殴るように鉄パイプが動く。

それらは、容赦無く長身猫背の腹を打った。

「ぐあっ!」

長身猫背は数メートル飛び、青髪に激突した。

「あとはあんただけだ」

「ほざけ」

鼻ピアスの言葉に、暁ははあとため息をつき、鉄パイプを操作する。

だが、それが鼻ピアスを倒すことはなかった。

鼻ピアスの目の前に突然球体が現れ、爆発し、鉄パイプを吹き飛ばしたのだ。

「なっ!?」

「くたばれっ」

球体が暁の目の前に現れる。

「くっ」

とっさに、暁は左手でそれを弾いた。

瞬間、パアアアアンという音ともに球体が爆発することなく消える。

「なんだと...」

「終わりだ」

鉄パイプが、再度鼻ピアスへと向かい、その顔の目の前で停止する。

「ひっ、ひいい」

鼻ピアスは長身猫背と青髪を連れて逃げていった。

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