かっこいい二人
トウマ様は暫く固まった後、
「俺のことは別に気にしなくていいから。もー!折角助けたのに何かかっこ悪いじゃん!たまにはかっこいいとこ見せたかったのに。」
と、照れ臭そうに言い放つ。
「だ、だってトウマ様、女性が苦手なのにこんな事して大丈夫だったのかなって……」
「リコを助けたかったから助けたの!異性苦手なのにあんなにぐいぐいいかれたら俺だったら怖いもん……迷惑だった?」
私の顔色を窺うようにトウマ様がちらりと私の顔を見る。
「……あはははは!」
トウマ様に打算的な考えがあるのかも、何て疑った自分が馬鹿みたいだ。
異性が苦手な彼だからこそ、あの場を放っておけなかったのだろう。
「な、何で笑うの!」
「だって……自分だったら怖いかも、だけで苦手な女性を助けちゃうだなんて……そんなのかっこよすぎるじゃないですか、びっくりしちゃいました!」
「……」
トウマ様は暫く黙って私を見た後、
「俺も、この前リコに助けてもらった時……そんな気持ちだった」
と言って笑う。
「えっ」
「あの時のリコ、かっこよすぎて……びっくりしたんだ、俺。」
トウマ様の輝くような笑顔を見て、私は気恥ずかしさから顔を伏せた。
「あ……じゃ、じゃあ、お互いかっこいいということで……!」
「そういえば、リコは何しにここに来てたの?」
「えっと……気分転換に買い物でもと思いまして。」
「そうなんだ!いい物買えた?」
「いえ、特には……」
まだ何にも買えてないとは言えない……
「じゃあ俺も買い物付き合うよ!何が見たい?靴?服?」
トウマ様が……私と買い物?
嬉しいが、私などと一緒にいてもいいのだろうか?
「あ……の、私は嬉しいんですけど、いいんですか?
貴重なお休みを私なんかに費やして……」
「え?そりゃ……いいに決まってるでしょ、友達なんだから!」
トウマ様の明るい笑顔につられ、私の口元も綻ぶ。
例え打算的なものであったとしても、私にはその言葉がとても嬉しかった。
「あ…私小物屋さんに行きたいです!」
私はにやけ顔をごまかすように、そう言ってトウマ様を誘導した。
――学校で評判の小物屋さんに足を運び
私とトウマ様はアクセサリーを眺めていた。
「この髪飾りリコに似合いそう」
トウマ様は羽の様なデザインのバレッタを私にあてがう。
天使の羽みたいで清楚なデザインだ。
私、トウマ様からこんな物が似合うと思われているのか……そう思うと気分が高揚してしまう。
普段だったら選ばないデザインだが、気が高ぶっていた私はあっさりとそれを購入してしまった。
私は可愛くラッピングされたバレッタを、にやつきながら眺めていた。
「いい買い物ができてよかったね!……つけないの?」
「あっ……そうですね。せっかくだし……
あそこのベンチで休憩しましょうか。」
私達はベンチに腰掛けると、バレッタを髪に着けてみせる。
「似合う似合う!すっごく可愛いよ!」
トウマ様に褒められ、私は上機嫌に浮かれていた。
すると、急に広場がざわつき出し
「ひったくりよー!」
と言う女性の声が響く。
民衆の視線を追うと、必死に逃げる男とそれを追いかける男が目に入った。
あ…あの男性、先程リボンを買おうとした時に会った人だ。
「あれ、ロイド君じゃん!」
トウマ様がそう声を上げる。
ロイド……さん?知り合いなんだろうか?
ロイドさんはひったくりの魔法攻撃を避けると、反撃しようと杖を構えて躊躇う様子を見せた。
……どうしたのだろう?
そして、ロイドさんが意を決したように杖を振ると、そのまま彼は自分の放った火の魔法に飲まれてしまった。
「何だあいつ、魔法下手……」
「どうする?警察呼んでくる?」
その様子を見ていた民衆が不安そうに囁く。
ロイドさんのあの症状、見た事がある。
かつてルネ様を悩ませていたもので間違いなければ、
祈ることで改善が見込めるかもしれない。
「ちょっと行ってきます!」
「え!?」
私はトウマ様に告げると、ロイドさんの元に走り寄った。
「あの!私に祈らせてください!そうすれば多分魔法、上手く使えますから!」
私が言うと、ロイドさんは
「え!?いや俺バディと来てるからそんなとこ見られでもしたらまずいんだけど……」
と言う。
しかし迷っている間にもひったくりは遠くへ逃げてしまう。
「……いや、わかった!祈ってくれ、頼んだ!」
ロイドさんは再び杖を構え、ひったくり犯に魔法を放つ。
私は遠くにいるひったくりにも届くよう精一杯祈った。
するとロイドさんの魔法はひったくりに見事直撃し、そのまま地面に伏す。
何とかなってよかった…!
その後、ひったくりは警察に連れて行かれバッグも無事持ち主の元に戻り、
事なきを得たのだった。
私が警察に連行されているひったくりを安堵の表情で見送っていると、
ロイドさんが私の両肩を掴む。
「ぎゃわ!?」
「あんた……よく見たらリボン買おうとしてた女じゃん!
なあ!さっきの、どうやった?教えろ!」
ロイドは私を睨みながら顔を近付けて来る。
「いや…!あの…!」
戸惑っていると、綺麗な身なりをした少女が私達に駆け寄って来て……
ロイドさんの頬を思いっきり叩いた。
「え!?」




