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今度こそ

私は、トウマ様の言葉を聞いて息を飲み込む。


芯の強いトウマ様のことだ、友達をやめるとなってもなあなあに離れたりはしないだろう。


解ってた事だ、受け入れなければ。

あの時ルネ様に言えなかったこと、今度はちゃんと伝えたい。


「あの……実はそれ、友達から聞いていて……

い、今まで……ありがとうございました!

トウマ様の友達でいれて、私……」


言葉に詰まり、拳を握る。

勇気を出せ、また、後悔しないように。


「幸せ……でした……!」


私は必死に笑顔を作って言い放つ。

今度は……言えた。

もう、これで十分だ、後悔はない。

早くトウマ様の事は忘れて……


「……なに、ましたって……なんで過去形?」


「え?だって」


「リコ、俺さ……リコが好き。友達としてじゃなくて、女性として。

だからもう友達でいるのは無理。」


夕日を背に、トウマ様が言い放つ。


「そんっ……!?」


私は言いかけて固まる。

好きって……それはつまり……


トウマ様が私に好意を持っている……と、いう事だろうか?


「……嫌になった?俺のこと。」


「嫌になんてなるわけないです!」


しまった、咄嗟に大きな声が出てしまった。


「あ……友達じゃいられないって言われた時……

嫌われて……もう、会えないのかなって、勝手に思っちゃっ……て。」


「ええ!?……それでありがとうございましたとか言ってたの?」


「……はい、すみません。」


トウマ様の告白は、全く予想していない事だった。

その為全く頭が追い付いていない。

それに……カレンから聞いていた話と違うような……?


「トウマ様って、カレンの事が好きなんじゃ?」


「は!?何でそうなる……いや、そういえばあったなそんな噂……!俺はずっとリコしか好きじゃない。」


真っ赤な顔でトウマ様が言い切る。


なら、どうしてカレンは「告白された」等と言っていたのだろう?

何か勘違いをしてしまったのだろうか……?


「……あとさ、これも聞きたかったんだけど。」


「は、はいっ!?」


「リコはまだ、ルネ王子のこと……好き?」


私は想像していたものとは別角度の問いに困惑する。

少し前までだったら「いいえ」と答えたかもしれないが、

ルネ様の真意が解らなくなった今、簡単に気持ちが無いとは言い切れなくなってしまった。


「私、自分でもルネ様の事が好きなのかどうか、よく解らないんです。

ずっとルネ様は私を捨てたのだとばかり思っていたのに、最近、それは違うと気付かされて……彼の真意が知りたいけれど、きっと答えて貰えないだろうし……」


「……そっか、そんな状態で恋人になっても俺、ずるいだけだね!」


「トウマ様……」


「でも気持ちだけは伝えておきたかったんだ。

……最近、リコが色んな男の人と一緒にいるって聞いてたし……

俺の事も、忘れないで欲しかったから。」


「忘れるなんて、有り得ません。」


「ならよかった!あ、俺実は生徒会サボってリコのこと探し回ってて……顔出してこないとロイド君に殺される!……リコ」


トウマ様は私に向き直ると、輝くような笑顔を浮かべ

「またね!」

と言って手を振った。


……その言葉に、こんな救われる日が来るなんて……。

告白の返事は曖昧にしてしまったが、トウマ様とお別れすることにならなくて、本当に良かった。


ーーーーーーー


リコに告白した翌日、トウマは生徒会室でため息を吐く。


「……困ったなー……」


生徒会の資料を眺めながら呟く。

俺はリコの事を考えて仕事が全く手に付かなくなっていた。


「どうしたの?昨日すっごく遅くに顔出してロイドに絞められてたけど」


エリックがため息を吐きながら言う。


「当たり前だろ、俺だってサボりたいのに来てんだから。

どうせ、またリコのことで悩んでるんだろ。」


ロイド君は作業をしながら不満げに呟いた。


「当たり……リコに告白したんだけど問題が発生してどうしようか悩みまくってる。」


「告白!?うわ、思い切ったなお前。」


ロイド君が言いながら目を見開く。


「ねえ、ルネ王子って何でリコの婚約を破棄したんだと思う?」


その部分が明らかにならなければ、リコは永遠にルネ兄さんを引きずったままだろう。


俺の問いかけに2人は顔を見合わせると

「知らない、噂ではカレン嬢に一目ぼれしたって話だったけど。」

とロイド君が口にする。


「直接聞いてみたら?」


生徒会室の扉が開き、フレッド兄さんが顔を出す。


「にいさ……フレッド王子!聞いてたの!?」


「ごめんね、騒がしかったから。

ルネと交渉したら、意外にペラペラ話したりして……

あいつ、結構交渉下手だし。」


いいながらフレッド兄さんが席に着く。

直接……交渉……


俺は勢いよく席を立つと、

「明日は真面目にやるから今日はもう帰るね!」

と言って教室を出る。

俺を見送るロイド君とエリックは呆れたようにため息を吐いていた。


……


校内を見渡しながら、ルネ王子を探す。

彼は委員会があるからまだ帰っていないはずだ。


そして俺はルネ兄さんを見つけると、大声で彼を呼び止めた。


「にルネ王子ー!ちょっとお話いいですか!」


ルネ王子は少し体を震わせると、驚いた顔で俺を見た。


「何なんだ急に!」


「ルネ王子って、何でリコとの婚約破棄したの?」


俺が勢いのまま尋ねると、

ルネ兄さんは動揺した様子で「な!?」と声を上げる。


「何故貴様にそんな事を教えねばならん……!」


まあ、素直に聞いたってそうなるよな……

フレッド兄さんの言うように「交渉」が必要なんだと思うんだけど、ルネ兄さんの興味を引く内容なんて、これしかないよな。


「答えてくれたらリコとの仲を取り持ってもいいよ?。

ルネ王子も知ってるでしょ、俺とリコが仲良しなの。」


「……それは……本当か?」


「ルネ王子の態度次第だけど。」


ルネ兄さんは俺の言葉に口をもごもごと動かした後、

「あまり大勢の前で聞かれたくない」

と場所を変えるよう提案してきた。

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