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トウマの傷

私は授業が終わると重い足を何とか持ち上げ階段を登る。


……どうせ友達辞めることになるなら、

理由くらい聞いてもバチは当たらない筈……!


しかし、2階にトウマ様の姿はない。


いつもこのあたりで人に囲まれているのに、今日は静かだ。

次に生徒会室に向かうも、そこにもいない。


その後、どこを探してもトウマ様は見つからなかった。

帰ってしまったのか、それともカレンと出かけてしまったのだろうか?


私も帰ろう、トウマ様のことは諦めるんだ。

私にはそれでも

ニナのような友達や、ロイド先輩のような頼れる雇い主もいる。

友達1人に嫌われたくらいで落胆してはいけない。


校門に足が向きかけた時、ピタリと体が固まる。


…違う。

私は『友達1人』に嫌われたから傷ついた訳じゃない。


トウマ様に嫌われたのが嫌なんだ。

……トウマ様は、平民の私に優しくしてくれた。


こんな私の事、友達って言ってくれた。


……嫌だよ、諦めるなんて嫌だ。

もう少しだけ探して……!


私が引き返そうと身を翻すと、廊下の奥から誰かが私を呼びながら走って来る。


「リコ!やっと見つけた……!昨日会いに行ったら寝てるって言うし、

今日はどこ探してもいないから一生会えないかと思った!」


トウマ……様?


ーーーーーー


「私の事が好き?」


―俺の初恋は、14歳の時。

相手は同じ学校の3歳上の先輩。

とにかく上品で自信がありそうで……その凛とした立ち振る舞いに憧れていた。


「はい!俺、シャーリー先輩にずっと前から憧れてて……!お付き合いして欲しいです!」


勇気をもって告白した結果、彼女は少し微笑んだ後「まあいいよ」

と答えてくれて、

俺にはそれがとてつもなく嬉しかった。


先輩との交際は、そういうのが未経験な俺からしたらすごく楽しかった。


「ねえ、荷物持って」


「はい!」


「このコスメ欲しい~ねえ、プレゼントしてよ。」


「勿論!」


友達からは

「おい……あの先輩お前の事いいように使ってるだけだぞ。」

と忠告されたけど、


「私、トウマ君の事大好きよ」

そう先輩に言われれば、そんな忠告コロッと忘れてしまっていた。


付き合って3か月が経った頃、

パーティーで一緒になった先輩は急に

「ねえ、もう別れようか」

と告げて来た。


「え……どうして急に……と言うか、何で今!?」


「あれ、もしかして全く気付いてなかった感じ?

私トウマ君の事……別に好きじゃないんだよね。」


先輩の言葉に俺の思考は停止する。

明らかに俺の方が先輩に熱を上げているのは感じていたけど、

「好きじゃない」と言う言葉が彼女の口から出て来るとは思っていなかった。


「なんかさ……はは、明らかに私とトウマ君って釣り合ってないでしょ?あれ、もしかしてお似合いとか思われてた?困ったな……」


先輩が言いかけた時、兄さんがにやけながらこちらに歩いて来る。


「トウマ、あんまり粘るなよ。いい経験できただろ?

シャーリーを困らせるなって。」


そう言い放ったのは今第3王子の位置にいるアロン兄さん、そのパーティの主催だった。


「あの……これってどういう……?」


「ねえ、この子理解力に乏しいんじゃない?」


「しょうがないだろ?こいつの母親は平民なんだから!」


アロン兄さんが会場に響くような大きい声で言うと、全員が一斉に俺を見る。


「トウマはさあ、俺達とは何もかも違うんだよ。

こいつの母親は飲み街か何かで働いてた卑しい平民、俺はシャーリーにそれを教えてやった訳!」


俺は何が起こったのか解らずに何歩か下がる。


「最初は王子だしいいかって思ってたんだけど……平民とのハーフとか最悪だわ。ここまで頑張って付き合ったの褒めて欲しいぐらい。」


「そんな……」


会場にいる人間が全員俺を見てくすくすと笑う。


「お前さ、調子乗んなよ?お前が平民の子って解ったら、誰もお前の事なんか相手にしない……身の程弁えて生きろや。」


俺は先輩の方を見る。

彼女は、俺の様子を見て腹を抱えて笑っていた。


あまりの事に息も出来ないまに、黙って会場を飛び出したのを覚えている。


それからだ、女子に苦手意識を持つようになったのは。


「トウマ様、私とお茶しませんか?」


…この人たちも、俺の出自を知ったら態度を変えるんだろうか。


「私、トウマ様をお慕いしてますの」


彼女達が好きなのは俺の王族としての血?

それとも俺自身?


「……トウマ、また見合いを断ったそうだな。

まだバディすらいないと聞いている。

王子として、魔法使いとして女が怖い等あってはならん事だ。

絶対に他に悟られぬように。」


「……はい、お父様。」


王族の癖に、王子の癖に

ただ一度弄ばれたくらいで女性が怖くなってしまった自分が情けなくて……


いつ自分を否定されるかって考えると怖くて仕方が無かった、そんな時


『私も聖女なのに殿方が苦手で……だから身分は関係ないです。

王子でも、女性が怖くていいと思いますよ。』


初めて……解って貰えた気がしたんだ。


加えてリコは、俺が感染な王族じゃないと解っても俺から離れることはなかった。

確実に惹かれていたのに、これ以上踏み込んで離れてしまったら?

そんなことばかり考えて友達なんて便利な言葉で

誤魔化すことしかできなかった。


でも、もうそれも終わりにしたい。


ーー


「リコ、あのさ……俺、リコに言いたい事があるんだ!」


「は、はい。なんでしょう?」


「もう……俺、リコの友達じゃいられない。」


「……!」

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