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初仕事

「見た目で採用されたのかと思ったけど、あんたの祈りめっちゃイケてたぜ!」


「ええ、外見が王子好みだからてっきり実力は大した事ないと思ってたけど……とっても才能があるのね、あなた。」


「見た目……?」


私の見た目のどこがフレッド様好みなのだろうか?

コンチータさんとナターシャさんは真逆のタイプだし、共通点といえばすごくスタイルがいいことくらいだ。


「あ、気になるか?王子の好み。胸だよ胸、胸がでかい女ばっか連れてくんの。」


胸!?顔とか雰囲気ではなく……!?


私はふいにフレッド様の方を見る。

すると彼はバツが悪そうにコンチータさんを睨みつけていた。


「あらだめよコンチータ、どうせこのプライドの塊カス王子は学校ではかっこつけて胸部の立派な聖女ばかり雇ってる事秘密にしてる筈だもの……ここでバラしちゃまずいわ。」


「今君が全部暴露したんだよナターシャ」


そうなんだ……フレッド様最低……


「いつも言ってるけど!君たちだってペット飼う時こういう犬種がいいとか最低限要求があるだろ?あるよな?

僕が聖女を選ぶ時見た目の好みを優先すると何故かたまたまそうなるだけだ。」


「言ってろエロ王子。」


「エミリさん、この王子は女の敵だから絶対に心を許しちゃダメよ。」


「…。」


ナターシャさんがそう言って優しく微笑みかけると、フレッド様は複雑そうな顔で黙り込んでいた。


何か意外…この人も人並みに好みがあるし聖女達には舐められててタジタジなんだ。


何考えてるか解らなくて不気味だったが、普通の男の子らしい一面もあるのかもしれない。


「……まあ、僕の好みは置いておいて。君の才能は本物だ、リコ。

ここには君の才能を歓迎する者しかいないから、安心して力を振るうといい。」


……もしかしてこの人、

私がルネ様に聖女としての能力を使わせて貰えなかった事、知っているのだろうか……?


私達はその後も猿の魔物を倒して回った。

私が聖女としての仕事を今までしてこなかった事もそうだが、こうやって自分の才能を褒めて貰える場所は新鮮で、思いの外「居心地がいい」と感じてしまっている自分がいた。


「おーわ……あれで最後か……」


コンチータさんが言うと私達は少し足を止める。

森の奥にいたのは、今まで倒して来たのとは比較にならない、

体高3メートル程の大きな猿の魔物だった。


「王子、最後は私たちが祈りましょうか」


ナターシャさんがフレッド様に尋ねる。


「……いや、あの程度ならいけるよ

リコ、前にやってもらったあれ……できる?」


「なるべく火力を高くするって祈りですか?」


「そう。俺があの魔物の眉間を狙うから、君はそういう風に祈って。」


フレッド様はそれだけ言うとまた魔法の詠唱を始める。

私は威力が高くなるように精一杯祈った。


すると、フレッド様が召喚した光の矢が大きな猿の魔物めがけて飛ぶ。


猿の魔物は避けようとするが、無限に分裂する矢に被弾しすぐに身動きが取れなくなってしまった。


フレッド様が放ったのは光魔法、扱いの難しい魔法だ。


それなのにこの量……まるで光の雨みたい……


「……凄い、単純な火力強化の魔法でここまで広範囲にできるなんて……

こんなことが出来る人、城でも見たことが無いわ。」


「天才だとか言って喜んでらんねーかもな……いろんな国で取り合いになるのが目に見えてる」


前の3人は光の雨をただ呆然と見つめた後顔を見合わせる。

そして大きな猿の魔物が動かなくなったのを確認するとフレッド様は

「よくやった、帰ろうか」と言って微笑んだ。


帰り際、また車に乗せられると今度はフレッド様もそれに乗り込む。


「リコと話したい事があるからちょっと遠回りしてくれ」


フレッド様がコンチータさんに言うと、彼女は「はいよ」と無愛想に返事をした。


「正直驚いたよ、想像以上だった。

リコ、君の聖女としての能力は本当に素晴らしい。」


走り出した車の中で、フレッド様がそう口にする。


「あ、ありがとうございます…そんなに認めて貰えるとは思いませんでした。」


「どうして?多くの才能ある聖女を見て来たけど、君の才能は群を抜いている。……存在を公にすれば数多の男が君を欲するくらいには。」


「そ…んな、まさか。」


「王子の言ってる事、お世辞じゃないぜ。

私も色んな聖女見て来たけど、あんた程常識外れな能力持ってる奴はいなかった。」


コンチータさんもそれに同意する。


「……まあ、それを前提に話すけど……ルネの事聞きたいんだよね?」


「あ……!お、教えて頂けるんですか!?」


「多分だけど……ルネは君の事、守ってたんじゃないかな。」


「……え……」


予想外の言葉に、私は目を見開く。


「君とバディを組みたがらなくなったのは、君の才能が世に出れば君を狙って多くの男が寄ってくるのが解っていたから。

僕でも君を守る為ならまず存在を隠すだろうね、取り合うくらいで済めばいいが……僕の知り得ない場所で誘拐されたりする恐れもあるから。

……それが、今日感じた憶測。」


ルネ様が……私を守ってた……?

私が危険な目に遭わない為に……?


「そして、ここからは僕が知ってる真実。

彼、階級が上がる前は婚約者を好きにしていいって言われていたんだけど……上位になった途端周りが機嫌を損ねてね。君を婚約者にする事を大反対し始めた。」


そう、だったんだ……


「それでもルネはずっと婚約を破棄したがらなかったんだけど……去年突然婚約を破棄したんだ。

……もしかしたら、内部の圧力に負けたのかもね。或いは君に何かすると脅されたか……どう?平民には知り得ない有益な情報だったでしょ。」


確かに、初めて聞くようなことばかりだった。


「あ、ありがとうございます」


「で?今日やってみてどうだった?これからも僕達とやっていけそう?」


フレッド様は私を見つめながら尋ねる。

ナターシャさんも助手席から気になっている様子で見つめていた。


「……正直……こんなこと言うの、変かも知れないんですけど……

楽し……かったです。聖女としてこんなに認めて貰える事、今まで無かったので。」


私が言うと、ナターシャさんは安心した様に笑う。


「良かった、そう言って貰えて」


「ならまた王子に付き合ってやれよ、こいつ金払いだけはいいからさ」


私はコンチータさんに言われてフレッド様を見る。

フレッド様もどこか安堵した様な表情で私を見つめていた。


――ロイド先輩の家の前で降ろされると、

「また手伝って欲しい時は学校で声をかけるから」

開いた車のウィンドウ越しにフレッド様が言う。


「は、はい!今日はありがとうございました!」


私が深く頭を下げると、「またね」という言葉と共に車は発進した。


……フレッド様……案外、悪い人じゃないのかもしれない。

大幅な改稿、一通り終わりました。

次回以降改稿ではなく普通に更新していきます。

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