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悪魔のささやき

「よーリコ、ちょっと早めに終わったから顔出してみた。」


図書室の鍵を締めていると、

ロイド先輩が笑顔で手を振りながらこちらへ歩いて来た。


「丁度今戸締りした所なんです!一緒に帰りましょう。」


「…」


私が言うと、ロイド先輩は何も言わずに私を見る。


「どうしました?」


「リコから帰りましょうって言われるのも新鮮だなと思って」


「もー……また変な事言って……今日早めに終わったってことは、

トウマ様も早めに帰宅されたんですか?」


「ああ、まあな。あいつならカレン嬢とどっか行ったけど。」


「え……」


そっか、もうそこまで進んでるんだ、あの2人の関係……。


「何、気になる?」


「あ……いや別に。」


「別にって顔してない

……やっぱあんたトウマの事ちょっと好きだろ。」


私はロイド先輩に図星を突かれ顔を熱くする。


「そんな訳……!無いじゃないですか!」


「そんな訳ないって顔もしてない!

ふーん、そうなんだ……あいつ、多分相当恋愛下手だぜ。

俺にしとけよ、悪いことは言わないから。」


私の頭を撫でながらロイド先輩が言う。

私は顔を熱くしたまま黙って俯いた。


また変な冗談を言って……!本当に意地の悪い人!



私はロイド先輩と帰宅するとメイド服に着替える。

すると丁度着替えた所で玄関の呼び鈴が鳴った。


私が慌てて「はい」と返事をして扉を開けると、

そこにはトウマ様が息を切らしながら立っていた。


あ……れ、どうしてここに……

カレンはどうしたのだろう?


トウマ様は私を見るなり目を見開くと

口を抑えながら赤面する。


「リコ……!その格好……!めちゃくちゃ可愛い……!」


ロイド先輩が奥から出て来てこちらに歩み寄ると、

「あれ、何だトウマ遊びに来たのか?」

と尋ねる。


「いや……リコに用事があって」


「まあ入れよ、王子を外に立たせたままじゃお父様に怒られる。」


ロイド先輩はトウマ様を居間に通すとソファに座るよう促す。


「ほら、リコも隣に座ってやれよ、王子様はその格好がお気に入りみたいだから。」


先輩が冗談っぽく言うと、私は少し彼を睨みながら促されるままにトウマ様の隣に座る。


「あの、話って何でしょうか……?」


「さっき質屋でこれを買い戻してさ。」


トウマ様が言いながら取り出したのは、私が無くした筈の宝石、スフェンだった。


「カレンが質屋で見かけたって教えてくれたおかげでまたゲット出来ました!はいリコ、返す。」


買い戻したって……!


「いくらで買い戻したんですか!?」


「200万ゴールドくらい」


私は青い顔でロイド先輩を見る。

それって結局お金を使わせてしまっただけだよね……?


「すみません……!私が紛失したせいでまた高額な出費を……!

その分稼いで返します!」


「何でそうなるの!?」


「なるだろ、リコの性格解ってなさすぎ」


「えー……ロイド君の家で働いてほしくないから買い戻したのに……」


「残念だったな。

でも変なの、何だって質屋なんかに宝石があったんだ?」


ロイド先輩が冷静に言う。

恐らくはあの上級生の誰かが売ったんだとは思うのだが……


「リコが売った訳じゃないんだよね?」


「違います!それならそもそもここで働いてないですから!」


私が答えるとトウマ様は何か考えこむ。


「リコ、そもそもなんでそのネックレス無くしたなんてことになったの?

見た感じチェーンも壊れてないじゃん。」


ロイド先輩の問いに私は言葉を詰まらせる。

上級生に強奪されて捨てられた、なんて言ったらあの人達どうなるのだろう……?

王子の所有物を捨てたんだし何かの罪に問われるんじゃ……


「本当に不注意で落として……」


「あ、嘘つきの顔」


ロイド先輩が言いながら私の頬をつねる。


「本当の事話しなさい」


何故嘘だと解るのか……?


あまり言いたくない……

しかしトウマ様も気にしているし……


「……実は」


私は宝石が捨てられた経緯を2人に話した。


「何だそりゃ!?あんたは別に悪くねーじゃん

大勢で寄ってたかって襲われたらあんたじゃなくても抵抗できねえよ。」


「本当にそれだけ?暴力とか振るわれてない?」


トウマ様が心配そうに尋ねるので、私は「大丈夫です」と言って笑う。


「そう言う話なら尚更弁償なんて考えなくていいよ、宝石は見つかったんだしもうバイトはしなくても……」


「だ、駄目です!そもそも私があんな写真撮られなきゃこんな事にならなかったんですから……!200万、絶対返します!」


私が言うとトウマ様は複雑そうな顔をしながらため息を吐く。


「リコの分からずや……しかも額が増えてるし。」


「俺はずっと働いてもらってても構わねえよ?」


ロイド先輩が満面の笑みを浮かべて言うとトウマ様は苦い物を食べた様な顔で固まった後

「リコ!それなら俺もお金稼ぐの協力するよ!俺に手料理作りに来て!」

と言って私の手を握る。


「え……い、いくらでですか?」


「一回百万!2回来たらすぐ返せるよ!」


ああ、聞いておいて良かった……

トウマ様のことだから現実的じゃ無い額を提示してくると思ったのだ。


「お受けできません。」


「何で……!?」


「やーい!交渉下手!」


ロイド先輩がケラケラと笑いながら言う。


「悪夢だ……」


トウマ様の呟きは居間に悲しくこだました。


ーーー


翌日、私は頭を悩ませながら廊下を歩いていた。


とはいえ200万かあ……それを稼ぐには、

ロイド先輩のお家に勤めていても2ヶ月くらいかかる。


特にトウマ様は気にして無さそうだったけど早めに返した方がいいだろう。


内職は取り入れるとして、後は……


私はぼーっと考え込んでいたせいで、廊下と外に繋がる段差に気付かず足を取られる。


「きゃっ」


私が前に倒れそうになるのを、後ろから腕を掴み助けてもらった。


……た、助かった。


お礼を言おうと後ろを向くと、

「エミリさん、相当悩んでたけど何かあった?」

私の耳元でフレッド様が囁く。


「ぎゃっ!かかか会長……!

助けてくれてありがとうございます……!」


私は咄嗟に彼から離れ身構える。

この人に悩みを打ち明けてはいけない、絶対面倒な事になる!


「あはは、可愛い反応だね。平民は見てて飽きないな〜」


……相変わらずこちらを果てしなく下に見てるな……


「それより聞いたよ、お金に困ってるんだって?」


「な、何故それを!?」


「水臭いなあ、僕に話してくれたら力になったのに……

リコ、僕が君にお仕事を振ってあげる。どんなのか聞きたい?」


フレッド様の振る仕事!?

きっととんでもなくハードで人権を無視した内容に違いない。

しかし、今は1つでも多くの選択肢が欲しい……


「一応……聞かせて下さい……」

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