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中傷

僕の聖女……?なんだか変わった言い方だ。


「バディではなく、ですか?」


フレッド様は私の言葉を聞いて少し固まった後、くすくすと笑い出す。


「な、何かおかしな事を言ったでしょうか?」


「バディって対等な関係だろ?君と僕が対等になれると思う……?貴族ならまだしも、平民ごときが」


フレッド様の顔も声色も優しかったが、その実言葉は誰のものより刺々しかった。


「あの、そう思われるのでしたら私が殿下に祈るのも恐れ多い事かと思いますので、他を探された方が……」


私が言い切る前に、彼は私の腕を掴み引き寄せると威圧する様に見下す。


「ごめん、平民には分からなかったか。

王の『お願い』は『命令』と同義だよ、君に断る権利があると思う?」


……フレッド様は継承権を持ってるだけでまだ王になった訳ではないのに何故王を名乗っているのか。

こんなに優しげで天使のような見た目なのに、すごく傲慢な人だ。


「殿下はまだ第一皇子ですし……断る権利は私にあります。」


私が恐る恐る言うと、彼は笑みを崩さず

「なんだ、つまらないの、素直に首を縦に振っておけばいいのに。

平民ってやっぱり馬鹿だな。」

と言うと、私を抱きしめる。


「……はい!?」


「あー……でもそんな所が馬鹿で愛しい……だから守ってあげたくなるんだよね。僕は国民を心から愛してるんだ!」


……この人、何かが妙だ。

見下しているのに愛着を覚えているこの感じ、何かで見覚えが……

そうだ!ニナがペットの話をしてる時の感じに似てる!


『私の飼ってるインコお馬鹿で可愛いんだー!』


同じ人間なのに平民を果てしなく下に見ているのだ。

こんな人が王位継承権持ってるなんて、この国は大丈夫なのか!?


「断るなら断るのでもいいけど……君はその内首を縦に振らなくちゃいけなくなると思うよ。

僕は欲しい物は絶対に手に入れる主義だから。」


フレッド様はそう言うとその場を後にした。


……ルネ様……頑張って階級を一つ上げて下さらないだろうか。


ーーーー


生徒会長から解放されると、私は急いで図書室に向かう。

今日は私が当番だったというのに遅れてしまう……!


すると、廊下に人だかりが出来ているのが見えて足を止める。

トウマ様まだ捕まっているのだろうか……?いや違う、皆壁を凝視している。


「見てこれ……!トウマ様が女とキスしてるわ!」


「誰よこの女!後ろ姿しかない訳!?」


これ……!私!?アングルが巧みで口づけしているように見えるが、恐らく顔のすすを取って頂いた時の写真だ。

どうしてこんなものが写真に撮られ張り出されてるのだろう?


「絶対特定して痛い目見せてやる!」


私はそんなおっかない女生徒の叫びを聞きながら、目立たぬようにその場を離れた。


……


「トウマ様、もう特訓は辞めておきましょう。良くない噂が出回ってますので……」


翌日、いつもの場所で私がトウマ様に言う。


「何で?噂とかどうでも良くない?俺は毎日リコに会えるならそれでいいし。」


「…!」


ま、また勘違いさせるようなことを……!

もし私と噂にでもなってそれがカレンの耳に入りでもしたらトウマ様にも不利益が出るというのに。


「だ、だめです!これはトウマ様の為で……」


「いたわ!」


私が言いかけると、振り返った所に強い光が襲う。


「この女がトウマ様を誑かしてるのね!」


「よく見たら平民の女じゃありませんの……!トウマ様から離れて!」


女子生徒3人組が、カメラを持ちながら私を突き飛ばす。


「リコ!大丈夫!?」


「トウマ様、その女はきっと淫魔なんだわ最近ロイド様とも懇意にして……!きっと卑しくも玉の輿に乗ろうとしてるのよ!」


「そう!これはトウマ様の為なのです!

その女に関わってはいけません!トウマ様はもっと高貴な人間とお付き合いするべきなんですわ!」


女子生徒が言い放つと、トウマ様は怪訝な顔をしながら

「ねえ、迷惑。君達には関係ないよね?」

と言って私の腕を掴む。


「そんな……!トウマ様、何故その女を庇うんですの!?まさかその女に惚れたのですか…!?」


「うん、だったら何」


え……肯定した!?そんなどうして……トウマ様はカレンが好きなんじゃ?


「ぐっ……!何よ何よ!どうなっても知らないんだからね!」


女子生徒達はそう言い捨てながら走り去って行く。


「……」


……何と声かけたら良いのだろう、顔が熱い……!


「……さっきの。」


「へっ」


「さっきの、あいつら追い返すための嘘だから!……俺、リコの事変な目で見てないよ!?

特訓で沢山触れてラッキーとかも思ってないし!」


トウマ様は真っ赤な顔で言い放つ。


「あっ……!?いや勿論解ってます!私たち友達ですから!あはは……!」


危ない!思いきり勘違いしてしまうところだった――!


「でもあんなのに付き纏われたら確かに面倒だし、

ここで会うのはもう辞めておこうか。」


「あ……はい、そうですね」


何でちょっと寂しさを覚えるのだろう。

自分から言い出したことなのに。


「また図書室とか遊びに行くね。あ、じゃあ俺そろそろ生徒会室に行くから!」


トウマ様はそう言うと足早にその場を去っていった。


ーーーー


ー翌朝


教室に入って来ると、全員が私から目を逸らす。


「ねえ、あの人が王族狙いの……」


「卑しいわね、平民の癖に」


私を見るなり、女子生徒達達が噂する。何が起こっているのだろう?


「ちょっとリコ!大変な事になってるわよ!こっち来て!」


ニナに言われて廊下に出ると、掲示板に堂々と手書きの新聞記事のような物が貼られていた。


新聞には私とトウマ様の写真、そして

「王族ばかりを狙う女リコ・エミリ」という見出しがでかでかと載っている。


な、何だこれは……!


記事の中には私がトウマ様を誘惑しているという根も葉もないデマと、ルネ様と私が過去婚約関係だった事が書かれていた。


そんなどうして……!

その事実を知っているのはかなり少数の筈、どこからこんな情報見つけて来たのだろう?


「……ねえ、後で先生に言って剥がさせて貰おう?こんなの酷すぎるよ。」


ニナが悲しそうな顔で言う。


私は悔しさで拳を握りしめた後、大人しく教室に戻った。

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