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生徒会長

特訓の成果は、思ったよりも早く出始めた。


トウマ様が私に触れる時の震えは次第に弱くなっていき、

しっかり触れても問題ないくらいには改善してきている。


対して私も、トウマ様に触られてもあまり拒否反応が出ないようになっている。


やはりこういうのは慣れで多少改善するものなのだと私は感心していた。


今日もトウマ様との特訓をしようと集まっていた。


「じゃあ、今日も何秒か握手を……」


言いかけると、急にトウマ様の手が私の顔に触れる。


「はえ!?」


「あ、待ってじっとして……鼻になんか付いてる。」


鼻……もしかして先程魔法化学の授業で失敗してすすだらけになったのが取りきれてないのでは!?


恥ずかしい……!


「はい、取れた!」


「あ……ありがとうございます。」


しかし驚いた。トウマ様が自発的に女子の顔に触れるなんてそれこそ特訓の成果の現れだろう。

この調子ならすぐにカレンとも恋仲に発展できるかもしれない。


効果を実感した刹那、背後に視線を感じ振り返る。


……誰も居ない、気のせいか。


……


「トウマ様ー!私とお茶しませんか?」


「ずるい!私も行きたいわ!」


「あはは……生徒会の用事があるからまた今度ね。」


翌日、女子生徒に囲まれているトウマ様を目撃する。

顔色も悪くないし、汗も出ていない。


「なんか、緊張感無くなったよな。」


私の肩に触れながら、背後からロイド先輩が現れる。


「うわっ!びっくりした……!」


「あいつ、女子と話す時もっとドギマギしてた気がすんだけど、最近慣れて来た気がしない?

……もしかして女が出来たのかもよ。」


ロイド先輩は意地悪な笑を浮かべながら言う。


「なっ……いい事じゃないですか!私には関係無いです!」


「あ、トウマ様!肩にゴミが……」


不意に女子生徒に体を触られたトウマ様は、苦笑いしながらも「ありがとう」と笑っている。


……自分で克服を手伝っているとはいえ、ちょっと寂しいな……


「ロイド、そんな所で何してるの?生徒会の仕事は?」


私がトウマ様を眺めていると、背後から声がかかる。

振り返ると、見た事のある人物が柔らかな笑みを浮かべて立っていた。


この人、学校の生徒会長にしてマリスの第一王子のフレッド様だ。

初めて近くで見たけど中性的で綺麗な顔……。


「フレッド殿下、今から向かおうと思っていたところでした!」


ロイド先輩は爽やかな笑みで言う。

彼、トウマ様には大分砕けた態度を取っていたがフレッド様には丁寧に接しているようだ。

まるで別人のようで少し気味が悪い。


私がロイド先輩を睨んでいると、フレッド様が私に気付き目を見開く。


「君……!リコ・エミリさんじゃないか!こんな所で会えると思わなかった!

前の能力試験、見てたよ!君が聖女を担当してからロイドの成績が回復したそうじゃないか!優秀なんだね、素晴らしい。」


そうだったのか、確かに最近ロイド先輩の悪評を聞かなくなってはいたが……


フレッド様はロイド先輩を見ると

「これ、君の何?」

と尋ねる。


「……後輩、です。」


「じゃあ借りて行っても問題ないね!」


「えっ!?ちょっと殿下……!生徒会の仕事は!?」


フレッド様はロイド先輩の静止も聞かず、私の口を塞いだままどこかへ連れ去って行った。

――私は会長に魔術訓練場に連れてこられると、フレッド様はその場でぴたりと止まる。


「あ……あの、あの……!何でしょうか……?」


「やっと会えたね、エミリさん!あの後君の事少し調べたんだ。

改めて触れてみて思ったけど……君のその魔力、やはり素晴らしい。」


フレッド様は言いながら私の髪に触れる。


「わ、私……パーティーの時に無礼を働いたから殿下の気を悪くしたでしょうか?謝りますのでどうかご慈悲を……!」


フレッド様は私の頭を優しく撫でると、天使のような笑みを浮かべ

「ううん、怒ってないから安心して。

それより君にやって欲しい事があるんだけど、今から僕の為に祈ってくれないか?」

と言う。


「フレッド様の為に……?」


でもフレッド様って確か既に婚約者もバディもいるのでは?そんなことしていいのかな?


「でもあの、フレッド様のバディの方に失礼では……」


私が言うとフレッド様は少し眉を動かし

「僕にバディは居ないよ、いいから早く。

なるべく威力が上がるように祈って、手を抜いちゃだめだよ。」

と言って急かす。


バディがいない?おかしい、そんな筈はなかったと思うのだが……。

私は仕方なく了承すると、杖を構える彼に祈りを捧げる。


すると彼の出した火球は人の背丈程の大きなサイズになり、

こちらに伝わる程の熱を帯びるとそのまま人形に被弾しそれを焼いた。


火球が当たる程度ではいつもびくともしていない人形達が、

軽く焦げ付いているのがわかり私は驚愕する。


凄い……!私が祈ったからっていうのもあるんだろうが、あんな大規模な魔法は見たことがない。これがうちの生徒会長……やはり魔術の天才なんだ。


感心していると、フレッド様は私に振り返り明るく笑う。


「凄いじゃないかエミリさん!こんな祈りの才能がある聖女は初めて見たよ!」


「え……!そ、そうですか?」


生徒会長に褒められた…!嬉しい!


「僕も何人か優秀な聖女を抱えてはいるけど、君は彼女達に劣らない……

いや、それ以上の逸材だ!」


……聖女を……抱えてる?なんか、変な言い方。

それに何人かってどういう意味だろう?

バディって1人しか組めないんじゃないの?


「エミリさん、お願いがある

……僕の聖女になってくれないか?」


「……え?」

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