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スフェン

トウマ様は少し息を切らしながらこちらに駆け寄ると、私からロイド先輩を剥がす。


「なんだよいいところだったのに……」


ロイド先輩が頭を掻きながら言うと、トウマ様は彼をキッと睨む。


「どこが!無理矢理迫ってたよね!?見てたよ!」


「無理矢理じゃねえって、女子の『駄目』は来いって意味で……」


「違いますよ!どこの常識ですかそれ!」


「もー!可愛い子にはすぐ手を出すんだから!

この子には手出しちゃ駄目!解った!?」


「……やだ、何で王子様にそんな事制限されなきゃなんねーの。

恋人も婚約者もいないんだし別にいいじゃん、エミリ次第だろ、それ。」


ロイド先輩が言うとトウマ様は赤面しながら俯いてしまう。


「それはそう……だけど。」


「……まあいいや、『お友達』に会えてよかったねトウマ君。

今日は感動の再開を祝福して気を遣ってやるよ。

……『リコ』」


「は、はい!」


あ……あれ、名前……


「今回あんたがバディ組んでくれて、ほんっとーーーに助かった!ありがとう。」


ロイド先輩はそう言って微笑むとその場を離れる。

トウマ様は睨みながらロイド先輩を見送ると、まるで壊れた人形のような動きで私の方へゆっくり振り返った。


「変な所、触られなかった……?」


「さ、触られてないです……急に迫られたからびっくりしただけで

……すみません、忠告して頂いてたのに……」


私は何となく気まずくて地面を見る。

カレンの噂を聞いてからトウマ様をずっと避けてしまっていたが、怒っていないだろうか?

…そもそも、トウマ様はここへ何しに来たのだろう?


カレンへのプロポーズは終わったのだろうか?


……気になるけど……聞きたくないな。


「あっ……じゃあ私はこれで!」


「リコ!」


トウマ様は言いながら震えた手で私の腕を掴む。


「あのさ俺、リコに言いたいことがあるんだ。

リコ、最近ずっと避けられてたけど、俺リコともっと一緒にいたいんだ。

だから仲直りしたくて……何かしたなら謝るから、もう逃げるのやめて欲しいんだけど……」


「あ……違う、トウマ様が謝ることなんて無いです!あれは私の問題というか……」


「リコの?何かあった?」


私もこの気持ちが何なのかいまいち解っていないのだ、強いて一番この感情に近い言葉を上げるなら……

嫉妬、なのだろうか?


平民の分際でありながら、友達という名目で認めてもらったことで、

自分以外の女性とトウマ様が一緒にいることに対して、少し寂しさを覚えてしまったのだ。

しかしそんな事情、説明できるはずがない。


「あっ……いや大した事じゃないので!

もう避けません!ごめんなさい!」


「そう?良かった!

あ、それじゃ仲直りの印に……これあげる!」


トウマ様は言いながら、ポケットから小さな箱を取り出す。


「開けてみて!」


開けると、そこにはトウマ様の瞳によく似た輝きを持つ宝石が入っていた。


「これ欲しがってたでしょ!?

プレゼントに買ってみたんだけどどうかな!」


『先輩がジュエリー店で貴重な石を買い付けられる所を見たんだとか……』


私はふと登校時の噂話を思い出す。

あの噂はこれの事だったのか。

……この石、小さくもないし見るからに希少そうだ。


「いくらしたんですか、これ……」


「200万ゴールド!」


「にっ……!?」


200万!?王族だからって絶対安い金額じゃないでしょ……!


「受け取れませんそんなの!」


「何で?気に入らなかった?」


「そうじゃなくて……

これは友人同士で気軽に贈り合うものじゃないですから!

もしかして、バディを組むためにこれを贈った訳じゃないですよね?」


「違うよ!どうしてもリコにこの石をプレゼントしたかったんだ。

リコは俺の女性恐怖症を馬鹿にしないし、助けてくれるし……実は何ちゃって王子だって解っても離れない。

俺、そんな女性に会ったの初めてだった。

だからお礼がしたくて……」


トウマ様、私の事そんな風に思ってくれていたんだ。

私、てっきりバディを組むためにまたアプローチされているのかと……恥ずかしい。


「だからって宝石は」


「じゃああげない!借すからこれ付けてて!」


トウマ様言いながら私に宝石を差し出す。

そんなにじっと見られては断りづらい……!


「…わ、わかりました」


私はそれを受け取ると彼の期待の眼差しを受けてそれを身につけた。

これ、無くしたらどうなってしまうのだろう?弁償なんか私には出る筈がないし……


私の不安とは裏腹に、トウマ様は嬉しそうに目を輝かせていた。


「……あの、一応忠告ですけど……

女性にあんまり気軽に宝石を贈っちゃ駄目ですよ。」


「どうして?」


「こういうのは婚約者とか奥様とか……せめてそうなりたい人とか。

そういう人にプレゼントする物なんです。」


私が言うとトウマ様は少し固まった後

「そうなの……!?だってロイド君が女の人は高いのあげたら喜ぶって言うから……」

と言って赤面する。


……ロイド先輩もまさか200万単位の物が飛び出すとは思って無かったと思う。


「……そういう訳で、もし将来私以外に女性のご友人が出来ても気軽にこういう贈り物しちゃダメです、びっくりしちゃいますから。」


「うん、でも多分こういうのはリコにしか贈らない!

リコみたいな人にもう一度会えるとは思ってないから」


「え……そ、そう、ですか。」


いけない、危うく変な勘違いをしてしまう所だった。

トウマ様はきっと同じような悩みを持っている私に親近感を覚えているだけ、

舞い上がってはいけない。


でもそっか、宝石は私への贈り物……

なら、きっとカレンにプロポーズした訳じゃないよね。


こんな安心するの、変だって分かっているのに……まだ友達として傍にいれるのが嬉しいと思ってしまった。

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