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能力試験

試験の前日、トウマは生徒会室の机に伏せ、

小さく唸っていた。


「はよーす……うわ、何これどうしたの」


ロイド君が生徒会室に入るなり異様な光景に驚く。


「彼曰く『お友達』が図書室に来なかったって落ち込んでる」


エリックが呆れながら言う。


「それだけじゃ無くて話しかけようとすると避けられるんだよ……

俺何かした……?何も心当たりない……」


「あるだろ、この前の校内放送とかさ」


エリックは冷たく言い放つとまた作業に戻った。


「何だそりゃ…おい、せめて会計帳簿の上で寝んなよ」


ロイド君は俺の身体を揺すり声を掛ける。


「ほっといて…特にロイド君は」


「あぁ!?仕事しないなら帰れ!」


「ちょっとロイド不敬罪ギリギリじゃない?」


「もしかして噂になってるあれかあ?

 トウマに好きな人ができたらしいって女子が騒いでたけど」


俺は凄い勢いで起き上がると

「は!?何でそんな話になってんの!?」

と言って焦る。


「隠すなって、相手まで割れてるぜ」


相手まで!?そんな噂が流れたらリコに変な勘違いをされてしまう……!


「……あれだろ?トウマってカレン嬢が好きなんだろ」


「……は?」


俺は思いもしなかった名前が飛び出し困惑する。


「え、違うの」


「全然違う。というか元々誰も好きにはなってないから!」


「トウマの『お友達』はロイドの今のバディって聞いたけど。」


エリックの言葉にロイド君は少し上を向くと

何か合点の行ったような顔で俺を見た。


「何だよその顔。」


「エミリなら別に元気だったぜ?

避けてるんじゃなくて忙しいんじゃないの。」


「本当に?俺が嫌になったとかじゃない?」


「あー、多分な。

女の機嫌損ねたって思うんならなんか適当に高いもんでもやりゃ大体機嫌直すだろ。」


ロイド君はそう言ってため息まじりに席に着く。


高い物?そんなので喜ぶのかな。

リコの喜びそうな高い物……


『彼女この石をとっても気に入られたみたいでして……』


俺はふと、リコと街で会った時の事を思い出す。


「スフェンだ!スフェンを欲しがってた!」


俺は言いながら立ち上がる。


「えっ…スフェンって宝石の…?」


「おい、やめとけ!そこまで高いもんは流石に……」


「俺、買ってくる!」


俺はロイド君の静止も聞かずに生徒会室を出て行った。


「…まじかよあいつ…友達に宝石贈るか普通」


「終わったな、ドン引きされて距離置かれるに1000ゴールド」


「よせ、賭け事なんかされても俺来週にはいないかもしんねーのにさ。」


ーーーーー


試験当日、リコは羽のバレッタを見ないようにしながら、リボンを結んで家を出た。


「ねえ聞いた?トウマ様カレン様にプロポーズするらしいわよ」


「先輩がジュエリー店で貴重な石を買い付けられる所を見たんだとか……」


通学中、女子生徒の噂話が耳に入る。

恐らくは今日でバディが解散になるから、

勝負に出るのかもしれない。


……私は……どうしてこんなに心が晴れないのだろう。


「ちす」


短く挨拶しながら、ロイド先輩が私の頭に手を置く。


「あの!急に触るの辞めて下さい!」


「でも最近『ぎゃあ』とか言わなくなったじゃん

慣れだよ慣れ、男に慣れる為に受け入れときな」


……確かに……この人にベタベタと触られてる内に、あまり拒否反応が出なくなったかもしれない。

このままいけば男性恐怖症を克服する日も近いだろうか?


この人とも今日でバディ解散かあ、

ちょっと寂しいな。


私がロイド先輩の顔を眺めていると、

彼が私の視線に気づいたのか顔を向け

「何、もしかして寂しいとか考えてた?」

と意地悪に笑う。


図星を突かれた私は赤面しながら彼を睨むと

「全然寂しくないです!」と言い放った。



私とロイド先輩がグラウンドに立つと、アメリ先生は意外そうな顔をして私を見る。


修練場で待機している生徒達も、不思議そうに私を見ていた。


「あれ、ロイド・テイラー?何であんな平民と組んでるんだ?」


「知らないの?ロイド君2ヶ月前からスランプで魔法が使えないからバディを解散されたんですって。だからあんな子しか捕まらなかったのよ。」


後ろで生徒達が好き好きに話しているのが聞こえる。


「気にすんなよ、あんな奴ら適当に言わせとけ。」


ロイド先輩はそう言って私の耳を塞ぐ。

……自分だって酷い言われようだと言うのに、腹が立たないのだろうか?


「今回の課題は3つ。火力、量、コントロール力を見るわ。

まずは火力、このメーターに電気魔法をかけてもらう。

メーターがどのメモリを指すかで大体どのくらいの電力が出てるか分かるって訳。

因みに中々針が動きにくいから、半分くらいなら赤点回避レベルね。それじゃ、やってみて。」


私が頷くと、ロイド先輩は杖を振る。


ロイド先輩の杖から放たれた電気魔法は、瞬く間にメーターの針を一番端まで動かした。


「ふむ、いいわ100点!問題なし。

次は…風魔法でこの風車を回せるか見る。少しでも動いたら合格よ。」


ロイド先輩が再び杖を振ると風車はくるくる回り、先生はそれを見て「よろしい、90点」

と言い放つ。


「最後はあそこ、見えるかしら。

人形に火魔法を全て当てたら100点、10回まで火魔法を撃てるからね。

それじゃ始め!」


人形に魔法を当てる練習ならかなりして来た、今の先輩ならきっと余裕で通過できる。


「ガコン」


楽観していると、轟音と共に、人形が動き出す。


「「ええ!?」」


動くのあれ!?いつの間にあんなギミックが追加されたのよ!


「どうしたの?時間は限られてるわよ。どんどん撃って!」


ロイド先輩は人形に向かって火の玉を撃つ。

大丈夫だ、ちゃんと当たっている。


しかし、1番後方にあった人形にだけ火球が掠ってしまう。


「わり、俺のせいだ」


彼はもう一度後方を狙うが、また掠るのみで外れてしまった。

何か違和感がある…そうか!

私の調整ミスだ。


彼の魔法を一度私が弱めて放出する

その過程で元々少し彼の感覚と遅延が起きている、だから手前は少しズレてても当たるけど

奥側はその遅延のせいで命中しない…


でも、何もしなければ魔法を上手く撃つ事は出来ないだろうし

なら、抑える力を弱めて火力を上げれば速度も早くなるはず!


「先輩、ちょっと違和感はあるかもしれないですけど普段通り魔法を撃って下さい!」


「解った!」


ロイド先輩が杖を振ると、大きな火球が杖から飛び出す。


「うわ!?何ださっきの!」


火球は見事人形に当たり、大きく燃え上がった。

彼は驚いてるが、あれが本来の火力に最も近い。

恐らくは短期間で魔力が育ちすぎて本人もそのスピードに追いつけていないのだろう。


彼はその後も残りの球を当てて行き、

見事80点を獲得出来た。


「凄い!やりましたねロイド先輩!」


私がロイド先輩とハイタッチをすると、

アメリ先生は少し呆れ気味にそれを眺めている。


「ロイド君は去年も高得点だったでしょ?

何をそんな喜んでるの。」


「俺、最近退学になりそうなくらい不調だったんですけど、

リコが上手く不調が出ないようにしてくれて……」


「エミリさんが?」


先生は驚いた顔で私を見る。


「こいつ、結構腕いいですよ!俺が保証してやる。」


彼が私の顔を覗き込みながら言う。

ここまで言われてしまうと、少し照れくさい。


「…そう。

エミリさん、能力を誤魔化してるだなん言ってごめんなさい。

貴方全然主張をしないから……てっきりずっとルネ君の影に隠れてるだけなのかと。」


「……は?ルネ?

ルネって……ルネ・アンドルシュ!?

そんなのとバディだったのかあんた!」


「せ、先輩声大きい!

そ……それじゃ私達はこれで……!

ありがとうございましたー!」


私はロイド先輩の手を引きそそくさとその場を後にした。



2人の活躍を見ていた白髪の少年がゆっくりと微笑む。


「……見つけた、才能のある聖女。」


少年はそう呟くと去っていくリコの背中をじっと眺めていた。

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