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プロローグ 入学式の後
ぽつり、ぽつりと水滴が石畳を染めていく
風は吹き荒れ空には圧迫感のある曇天が立ち込め、この一帯……学園の庭は重い空気に包まれていた
「……もう終わりですか?」
1人の魔法使いが目の前の男へ冷めた視線を浴びせる
男は魔法使いの気迫でたじろぎ後退りをした
魔法使いはそれを許さずずんずんと足を進め男へ近づく
手が届く距離まで近寄ると……男は力が抜けたのかその場で尻もちをついてしまった
その額にはたくさんの脂汗が浮かんでいる
「はぁ……ガッカリです」
そう言うと魔法使い使いはローブを翻し校舎へと戻っていった
魔法使いが居なくなった途端、雲がみるみる薄くなっていき青空から眩しい陽光が降り注いだ
回りにいた群衆は思わず安堵した
何故なら誰もがあの魔法使いに喧嘩を売った男の命はすぐに消し炭にされると思っていたからだ、そう…
灰の勇者 そう呼ばれる英雄に