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それはそれ。これはこれ。

作者: ふくふく堂

「エリザベス・ラサホージウム! 貴様は私、王太子エドワード・カナディの婚約者でありながら、男爵令嬢に対し数々の嫌がらせを行い、彼女をひどく傷つけた。この行いは到底王太子妃に相応しいとはいえず、よって私と貴様の婚約破棄を宣言する!」


 通学している学園の卒業式典において送辞を読むはずのエドワード王太子は男爵令嬢の腰を抱き、エリザベスを指差して叫ぶ様に言った。

 周囲が異様な雰囲気に包まれる中、エリザベスは深くカーテシーを執りながら静かにしかしきっぱりと発言した。


「婚約破棄、承りました。詳細につきましては後日ラサホージウム公爵家当主が王城へ参ります。本日はこれにて失礼致します」


 これ以上式典の邪魔をできないと取り急ぎ退出しようと歩き出したエリザベスに向かってさらにエドワードは言い放った。


「エリザベス、お前には国外追放を命ずる! アメリア王国側の国境より出ていけ。そこで好きに生きるがよい!」


 アメリア王国との国境は広い砂漠のど真ん中にある。国境を抜けアメリア王国に入ってもそこから王都までどれほどかかるのか。砂漠の真ん中で放り出されて生きて行けるわけがないのだ。会場では耐えきれず悲鳴を上げ気を失う者も出てくる中、エリザベスは王太子の命を受けた騎士団に囲まれ、そのまま馬車に乗せられた。馬車はどこにも立ち寄ることなくアメリア王国との国境へ向かうのだった。


 国境のゲートが兵士により開けられ、エリザベスはゲートの通過を余儀なくされた。彼女を取り囲む騎士団は一様に表情を失くしている。彼らにも王太子のやることに思うことはある。何よりこれは国外追放という名の処刑行為だ。すぐ死ねるだけ普通の処刑の方が楽かもしれない。ただ王族である王太子の命に騎士団が逆らえないのも事実だ。エリザベスは気力を振り絞って平静を装い言った。


「お勤めご苦労様」


 そして振り返ることなくゲートを通過していった。

 背後でゲートの扉が閉まった時、耐えきれずエリザベスは崩れ落ちた。


「大丈夫ですか?」


 自分に影が差していることに気づいて顔を上げると、そこにいるのはアメリア王国王太子マクシミリアンだった。

 かつて両国の交流を目的とした夜会で挨拶をした覚えがある。


「…! し、失礼を」


 エリザベスが慌てて立ちあがろうと身じろぎする。


「ああ、気にしなくていいよ。この度は、その、大変だったね」


 一国の王太子にしては朴訥な物言いにエリザベスの涙腺は緩んだ。


「あ、あ、どうしよ。泣かないで。とりあえずうちでお茶でも飲も?」


 慌てふためくマクシミリアンに泣きながら笑ってしまうエリザベスだった。



 マクシミリアンが「うち」と言えばそれ即ちアメリア王国の王城である。

 国境付近の砂漠に設置した転移魔法陣でひとっ飛び。言い忘れていたがアメリア王国は魔法大国でありマクシミリアンは王太子であると共に一流の魔術師である。さらにいうとマクシミリアンは現代日本の記憶を持つ転生者でもある。


(だからエリザベスを迎えにいけたんだよね)


 前世の妹が夢中になっていた乙女ゲーム、その舞台が隣国カナディ王国である。最初はここがゲームの世界だなんて気づかなかった。例の隣国との夜会で、エリザベスと顔を合わせた時に初めて気づいたのである。

 悪役令嬢である彼女が卒業パーティーで断罪されて国外追放になるシーンは覚えている。有無をいわせず馬車に乗せ何の支度もさせぬまま隣国へポイ、だ。殺意に満ち満ちている。あとうちの国は処理場じゃねえ。通知もしないとはどういう了見だ?ああん?とマクシミリアンは若干やさぐれ気味に思う。

 兎にも角にもこのまま放置してはエリザベスの命が危ない。カナディ王国の学園の卒業パーティーの日時を確認し、それに合わせて自ら国境へ向かい、王城と繋ぐ転移魔法陣の設置とゲートに防音の魔法をかけ、あまりに静かなのも怪しまれると鸚鵡型の魔道具をゲートの上に止まらせ、門番の声で毒にも薬にもならないことを呟かせた。

 テキパキと準備を進める自国の王太子に門番を務める兵士達は内心訝しく思っていたが、本当にゲートが開き、どう見ても高位貴族の令嬢がたった1人で通過してきたので声には出さねど顎が外れそうなほど驚愕したのだった。


 さて、転移魔法により王城に移動したマクシミリアンとエリザベスは応接室で改めて顔を合わせた。人命第一、命大事にとばかりにエリザベスに手を差し伸べたけれど、彼女の為人は自分の目で確かめなければならない。

 ならない、んだけど目の前でほろほろと涙をこぼす令嬢に、マクシミリアンは手を上げては伸ばしかけ、はたと気づいて膝の上に下ろす、という謎の動きを繰り返していた。後ろに控えている侍従と侍女の腹筋と頬の筋肉が崩壊する寸前、俯いていたエリザベスがマクシミリアンの様子に気づき、うっかり微笑ってしまった。その笑顔が綺麗でマクシミリアンは何もかもを赦しそうになる。


「んっ、ううんっ! と、ところでラサホージウム公爵令嬢、貴女はなぜ当国に入国したのか、説明を聞くことはできるかな?」


 エリザベスから卒業パーティーでの詳細を聞いた。実際にエリザベスが男爵令嬢に嫌がらせをしていたのか確認するとエリザベスは力無く首を横に振った。

 そもそも件の男爵令嬢とは面識がなく、件の卒業式典で初めて会ったのだと言う。やっていないことを証明するのは悪魔の証明ではあるのだが、なにか手段はあるのかと問うと、彼女は王太子殿下の婚約者であるため、常に王家の影に見張られていたので何かあれば王家に報告が入っているはずだという。だからこそ王太子エドワードはエリザベスに猶予を与えずに国外追放をしたのだろう。

 マクシミリアンはエリザベスを無罪、そしていい子!と判断した。


 次に彼女の今後について話し合った。当面は王城でエリザベスを保護し、ラサホージウム公爵家にはその旨を極秘裏に伝えることとした。


「ひとつ、懸念すべきことがございます」


 どうやら男爵令嬢はエドワード王太子以外にも様々な男にコナかけているらしく(ラサホージウム公爵令嬢はもっと上品な物言いをしていたが)、彼等は皆身分差があるので エドワードには逆らえない、でも本当に愛しているのは貴方だけ という男爵令嬢の言葉を鵜呑みにしており、もしかすると今後も婚約破棄が続出するかもしれないとのこと。

 そして、彼女の懸念は現実のものとなるのであった。



「またか…」


 今日も今日とて隣国から国外追放されたものがゲートを通過した。これで10件目。


 最初は宰相の息子が侯爵令嬢に、次は騎士団長の息子が伯爵令嬢に、さらに侯爵令息が別の伯爵令嬢に等々諸々あって今回は商会子息が子爵令嬢にということだった。

 最後なんて破棄した奴平民なんだけど。それに王太子がうまくいったからって、簡単に後に倣い過ぎ。

 男爵令嬢がほんとに好きなのは王太子じゃなくて自分だと不敬にも思ってるくせにやってることは王太子の二番煎じだなんてお前らプライドはないのか。

 男爵令嬢に懸想している奴らの婚約者達にはこちらから(というかエリザベスから)連絡してあるので皆素直に国外追放されてくるけど、普通は令嬢側も警戒するはずだろうにそんなことも想像つかないなんてあの国終わってる。マクシミリアンはぼやいていた。

 1人ずつ順番に婚約破棄→国外追放のルーティンを繰り返してるのはまとめて行って万が一にも生き残ったら困る、と考えたのだろうがどっこいみんな生きている。

 国境のゲートを令嬢が通過したら門番から連絡が来て、転移魔法陣を使って迎えに行く。

 最初はマクシミリアン自ら行っていたが、あまりにダラダラと続くので恐縮したエリザベスが魔法陣の使い方を覚えて代わりに行くようになった。令嬢達も顔見知りの公爵令嬢に安堵を覚えるようで結果オーライである。

 令嬢達の今後はそれぞれだがカナディへ帰ることは出来ない。

 娘を愛するあまり一家揃ってアメリアへ移住を画策する者もいれば、家族との仲があまりよろしくない令嬢はこちらで養子になる者もいた。

 ちなみにエリザベスは家族仲のよい方で、父であるラサホージウム公爵は青筋をたてながら領地経営や王城での仕事をこっそり清算にかかり、王家の前では娘を殺された悲劇の父親とばかりに涙に暮れながら、慰謝料、損害賠償金をギッチギチに搾り取り、王太子エドワードには通りすがりに耳元で「この人殺しが…」と囁くことを忘れない。エドワードは若干ノイローゼ気味だけど、そんなことラサホージウム公爵の知ったこっちゃないのである。


 ともあれ。


「ダラダラダラダラと年寄りのションベンみたいに国外追放しやがって!我が国からもなんかしてやらねば気が済まねえ!」


「殿下、下品」


「はっ!ダラダラダラダラとご老人のお小水みたいに…」


「そうではなく」


「はっ!王族としてあるまじき例え……!エリー、き、嫌いにならないで」


「ふふふ。大丈夫です。ご安心を。殿下」


「マックスって呼んで」


「はいはいマックス。嫌いになどなりませんよ」



 そう、マクシミリアンとエリザベスはちゃっかり婚約していた。他のご令嬢達もおそらく相手には困らないだろう。


 アメリア王国は十数年前疫病が発生し、かなりの人々が亡くなった。体力の少ない乳幼児、特に女児にその傾向が強く、それは貴族であっても例外ではなかった。そのためマクシミリアンの世代は極端に女性が少ない。各貴族家は自家の存続の為嫡男の嫁を必要としているが、適齢期の令嬢の絶対数が足りなかった。数少ない貴族令嬢に貴族令息が殺到する事態となり、然りとて平民の女性を娶るわけにもいかず皆が頭を悩ませていたのだった。

 そんなところへ隣国の婚約破棄騒動。男爵令嬢の逆ハーレムであるが、こちら側からすると「1人の男爵令嬢を10人で共有するとはなんと物好きな…」である。嫁不足だったアメリア王国のありえた未来と思うとゾッとする。そんなわけで、カナディ王国の婚約破棄騒動はアメリア側からすると拝みたくなるくらいありがたいことではあるのだが。


 それはそれ。これはこれ。


 仮にも国交を結んだ国に対して、なんの断りもなく人を捨てる。アメリア王国に対する侮辱であると言っても過言ではないだろう。


 アメリア王国王太子マクシミリアンは一計を案じる。




 カナディ王国王太子エドワードの元に隣国の王太子から手紙が届いた。



 前略


 貴国から国外追放され、当国に来た者は10人を数える。私も国外追放したいものがいる。箱入りなので城の中まで馬車を引き入れてくれるようよろしく頼む。


 草々



 国境を守るアメリア側の兵士達がアメリア王国王太子がとても美しい女性と婚約していると噂していたという報告をカナディの国境警備兵から受けている。

 箱入り娘であればその美しさを笠に着てわがまま放題しているというのもありえる。あの堅気なマクシミリアンは嫌気がさしたのかもしれない。美しい女性の可愛い我儘などエドワードにとってはたわいない恋のスパイスにすぎない。国境を越え不安に思う令嬢に手を差し伸べる、うん、悪くない。悪くないんじゃないか?

 エドワードは妄想する。男爵令嬢はどうしたって?


 それはそれ。これはこれ。


 さほど日をおかずに一台の馬車がカナディ王国の王城へやってきた。

 馬車にはアメリア王国王室の紋章が付いている。事前に知らせを受けていたため馬車は城内に入り、エドワードが待ち受ける中庭にて停車した。

 隣国の紋章をつけた馬車は治外法権となる。馬車の中のものに当国からは手出しができない。馬車の後ろ側が開き、背板がスロープ代わりとなり中から人がひとり入るには大きい木箱が滑り出てきた。

 木箱が地面に着地すると、背板を閉めた馬車は音も立てずに城を出ていく。

 エドワードや側近達が戸惑いつつも木箱に近づくと、予告なく木箱が開いた。

 木箱から出てきたのは箱詰めされた犯罪者たち。関節も何も無視してみっちりとぎっちりと木箱に収まっていた。木箱は犯罪者達に話しかける。


「アメリア王国王太子の婚約を祝って、お前達には恩赦を与え、刑罰を国外追放へ変更することとする。カナディ王国側の国境より出ていけ。そこで好きに生きるがよい!!」


「「「「りょうかーい」」」」


 出て行けも何ももうカナディ王国の城内なんだけど…あとそのセリフどこかで聞いたような…と呆然と見守る周囲を気にすることなく、犯罪者達は絡まった身体を少しずつ解いて、きちんと人間としてあるべき状態になった。そしてエドワードや周囲の人間が我に返る前に中庭を飛び出しそれぞれ思い思いの場所に散っていったのだった。

 カナディサイドはこの初動をミスったために、10人もいる犯罪者達の足取りを掴み損ねた。好きに生きるがよいと言われた犯罪者達は本当に好きに生きた。ある窃盗犯は城内の食糧庫に忍び込み、心ゆくまで食材を堪能したし、ある美麗な顔立ちの詐欺師は従者服やメイド服までも盗み出し、男女問わずに詐欺を働いた。ある画家崩れの贋作製作者は城内の絵画を悉く贋作に差し替えて本物を売り飛ばした。

 城内のあちらこちらから被害届が噴出すると、王達は初動の遅れを理由にエドワードを責め、問題の収拾に当たらせた。エドワードと側近達は困り果てる。今まで何か問題が起きていた時はエリザベスを始めとする彼らの婚約者達を働かせていたからだ。自分達が国外追放したせいで彼女達はもうここにはいない。


 エドワードは仕方なくラサホージウム公爵を呼んだ。


「人殺しが被害者の親になんの用事ですかね」


「ぐ…っ、不敬だぞ、公爵!」


「人殺しを敬う気持ちなど持ち合わせておりませんので」


「城内で解放されたアメリア王国の犯罪者が色々とやらかしている。何かいい案はないか?」


「あいにく私は外務大臣なので城内のあれやこれやは管轄外です。殿下には優秀な側近がいらっしゃるのですからその者達に任せればいいのではないですか?」


「…っ! それはそうなのだが、なかなかうまくいかなくて…」


「諸外国からも評判ですよ。殿下とその周囲の方々は。1人の女性を10人で囲っている変わった方達とね」


「な、なんだそれは…!!」


「陛下からも頼まれましたよ。諸外国を回って噂の火消しをするようにと。なんで被害者の親にそんなこと頼めるんですかね。まあ、言われた通り諸外国を回りました。まあ火消しどころか火酒を撒いてやりましたがね。

 1人の女性を10人でまわすような国。男爵令嬢如きに高位貴族が舐められている国。証拠もなしに優秀な令嬢を断罪し、砂漠に放置する野蛮な国。殿下達は今諸外国の注目の的です。おめでとうございます」


「そんな、そんなことが許されると思っているのか!」


「そうですねぇ。許されないでしょうねぇ。そんなわけで私は責任を取って外務大臣の職を辞し、国外追放処分を受け入れることとします。では」


 ラサホージウム公爵はそのまま城を出て、馬車に乗り、自分の娘さながらにそのまま国境を越えアメリア王国へ入国した。妙に片付いた外務大臣席には辞表がポツンと置いてあったという。




「ようこそ、アメリア王国へ。義父上」


「ようやくお会いできましたな。マクシミリアン殿下」


 場所はアメリア王国城内の応接室。向かい合うマクシミリアン王太子殿下とラサホージウム公爵。マクシミリアンの隣にはエリザベス嬢。侍女がそっと紅茶を提供する。エリザベスの指示で香り付けに少しブランデーを垂らしたものだ。




「はっはっは!しかし木箱から犯罪者どもが出てきた時のアイツらの顔!まったく見ものでしたわい!」


「そうだろそうだろ!あの魔法ちょっと頑張っちゃったもんね俺」


「カナディはなぁ。王家の血筋に魔力が少ないから、魔法がいつまで経っても発展しないんだよなぁ」


「うちはさ、あの疫病の蔓延で死に物狂いで治癒魔法を開発したし、その後も減った人口を補うために魔法を使わざるを得なかったってのもあるんだよね」


「そっかそっか。多分うちの娘はそこそこ魔力あると思うんで鍛えてやってよ」


「おっけー。エリーは向学心も旺盛だし、可愛いし最高。思わず国境に置いてる鸚鵡に惚気を呟かせちゃった。『アメリアの王太子の婚約者めっちゃ可愛い』って」


「間違いない。うちの娘は可愛い」


「ねー!」


「ねー!」


 エリザベスはアルカイックなスマイルを貼り付けたまま内心頭を抱えていた。

(私の婚約者と父親、お酒弱すぎ…!)

 ちょっと父親に会えたお祝いの意味も込めて香り付けに使っただけなのに、あんな量でそこまで酔っ払う!?

 控えていた侍従が崩壊しそうな腹筋を騙し騙し宥めながら、部屋の鍵を閉め防音魔法をかけた。失態は晒させない、優秀な配下である。笑いの沸点は低いが。


「まあ、もう、あの国はダメでしょうな」


「え、でもウチはこれ以上のことはするつもりないけど…?」


「こことは反対側の国境に接する帝国が動き出したんだよ。

帝国の第3皇女がカナディの王太子との婚姻を打診してきた。

ほら曲がりなりにもエドワードは王太子なんだから男爵令嬢と結婚させるわけにはいかないだろう?しかも誰のお手つきになってるかわからないような緩い令嬢なんて。だけど今回の件で釣り合いが取れる高位の令嬢はほとんどこっちに来ちゃってるし、残った令嬢だってアレと結婚はごめんだとばかりにさっさと婚姻を進めちゃったんだよねえ。

エドワードと婚姻するメリットがあるのは皇女くらいなもんだよ」


「それってまさか…」


「そ。内側から国を乗っ取る。戦争しないでいけちゃうじゃん? 民も土地も傷まないからいいことづくめ」


「…そうなると男爵令嬢は……」


「……まあ、御家ごと塵も残らないだろうねぇ」


「……な、なるほど。まあアメリアには関係ないからいいか。あ、でも国境は今より強化しないと」


「こちらは陛下も殿下も優秀ですし、娘も嫁ぎますし、私も精一杯努めさせていただきますよ」


「ありがと、義父上。俺も頑張る。可愛いエリーのため!」


「そう! うちの娘は可愛い!」


「ねー!」


「ねー!」



 これループすんのかい。

 エリザベスは令嬢らしからぬ言葉遣いで内心ツッコミを入れつつ、アルカイックスマイルを維持したまま座っていた。


 後で婚約者と父親は正座で説教を食らう羽目になるのだった。




ガソリンを火酒に変えました。

個人的には異世界にガソリンがあってもいいじゃない、と思ってるのであまり気にしてなかったのですが、いただいた感想で違和感を覚える方が多くいることを知り、直すべきかなーと思ったのですが、単なる酒とか油とかだと引火性が弱く感じてしまって…。そこで火酒という提案をやはり感想欄でいただいて、こ・れ・だ!となった次第です。

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いらない豆知識 火酒は燃えるのと燃えないのがあります。 燃える(度数が高い)のは火気止(カキドメ)という穴がいっぱい空いたキャップがついています。 なぜなら、昔はタバコを吸いながら飲むのが主流だったた…
殿下がエリザベス様に手を伸ばしかねて オロオロしているところで可愛い! と思っていたら 「ねー」 「ねー」 でもう最高!となりました。 かわいくておもしろいお話、楽しかったです!
お酒に弱いお義父さん、かーわいい!! ガソリンは私は特に気にしませんでしたが、火酒の方が雰囲気出るかもしれませんね。フランベ!
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