プロローグ3
彩姫との街散策から約一週間が経過した。いい加減この街にも慣れてきており、主要な施設の場所は既に覚え終えていた。
「どうしたもんかねぇ」
誰に言うわけでもなく、一人呟く新。
当初の目的であった、荷ほどきと学校の下見は既に終わってしまった。暇だからと周辺の施設の確認も行っていたが、それも終わってしまった。
お陰で完全に手持無沙汰である……学園が始まるまで特にやることがない。
それは彩姫も同じの様で、彼女も暇そうにしていた。まぁ彼女は寝ることが好きな為、基本的に寝ている。そんなこともあって対して問題視していないが……
「他の区にでも行くかぁ」
新は必要でもない限り、知らない土地に行くの遠慮する人間である。知らない土地で迷子になったり、トラブルが起きるのがこの上なくめんどくさいからである。
そんな新が他の区に行くと言うほど彼は暇をしていた。
「あんまり遠くにには行きたくないな、隣の区は……っと、アルテア区か」
この島に来た日にテレビで丁度映っていた区である。何かと縁があるなと思い、家を出る準備をする。
彩姫と見つけた駅に向かい電車に乗る。
区ごとに特徴がある為、電車に乗り窓を眺めると景色が変わっていくのが見れて中々面白い。
時間がある時に、電車に乗って島を一周するのも面白そうだと思っているとアルテア区の駅に着くと言う車内放送が聞こえてくる。
電車を降り、駅から出るとキャスタルテ区とは全く違う景色が目に入る。
「おお」
女性が多い区という事もあり、目に入るのは洋服屋やカフェなどである。他にもショッピングモールなどもあるのが見える。
キャスタルテ区は雰囲気が居住区の為、中々栄えている様には見えない。
しかしこの区は見渡す限り、店が並んでおり、色々目移りしてしまう。
女学院の区である為、男性は少ないかと思ったがそんなこともなく、案外気楽に歩けている。
正直、女子ばかりで、男である自分が白い目で見られるんじゃないかと少し心配だったがそんな事はなかった。
「へぇ、中はこうなってるのかぁ」
外から見ていたショッピングモールの中は、美容品が売ってたり、健康食品や、ブランド品など内容が全て女性向けとなっている。
「ん!?」
周りに視線を向けていると大量の女子を引き釣れた人物が目に入る。
「そうか、今は時間的に放課後か……」
目に映るのはこの島に来た日にテレビで見た姿である。西京有亜その人だ
テレビで見た時も感じたが、直に見るとよくわかる。
彼女の周りにある圧が……
「正に強者だな」
お嬢様という事もあり、見た目こそ可憐ではあるが、中身は並みの魔法士が数十人いても敵わないほどの怪物である。
「さて、そろそろ帰ろうかな……珍しい人物が見れたし、暇な時間を潰すにはちょうどよかったな!」
新そう言い、ショッピングモールの出口に向かい歩き出す
その後ろ姿を眺める強者がいる事も知らず。