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リフレイン

作者: 森くん

私の1日は、先生からのメッセージに返信することから始まる。


だいたいはいつも同じ。私の名前とおはようの文字。私はそれを確認して、また目を瞑る。1時間以上前に送られてきていたメッセージを、まだ働いていない頭の中でゆっくりと反芻する。先生がどんな表情で打ったかは分からないけれど、私の頭の中ではいつも、向かい合って食事をしていた時の優しい顔の先生がいる。

伸びをし、目をこすり、スマホを手に取る。私も先生にあいさつを返す。1日が始まる。


先生と会って以来、私たちは毎日のように連絡を取り続けていた。今日の出来事を報告したり、気持ちを確かめ合ったり。私はそうして、現実世界の1日1日をなんとかやり過ごしている。


先生から送られてくる言葉に一喜一憂し、日々が過ぎてゆく。いつからこんなにも、先生が日常に溶け込んでいるのだろう。いったいいつまで。これは無限ではない。有限だと分かっているからこそ、どこまでも欲しくなる自分がいる。


私は想像する。現実世界の先生は今ごろどう過ごしているのだろう。そこに私の入る隙間はない。分かりきっている事実が私の心を凍らせる。真夏なのに、足先までひどく冷えきっている。


食べても食べても満腹にならないみたいに、どんなに先生から愛の言葉が届こうと、私は常に飢えているのだ。先生は僕も同じだよと言うが、いったいどこが同じだと言うのだ。私のこの感情は愛情でもなければ敬慕でもない。もっと酷くて、虚しくて、悲しいものなのだから。


1日の終わり、私は先生へメッセージを送る。今日も好きでした。おやすみなさい。明日の朝、それを見た先生がまた私へメッセージを送る。おはよう。

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