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見た目騙しの魔法使い  作者: 積む摘む
2 人を守る仕事
9/92

9

改変しました



王宮に備え付けられた小さな会議室。

そこには、7人の王宮魔法使いが集まっていた。



その中で異色なのは、奥の席に座る人物であろう。

まだ、大人の背の半分もない身長で大人用の椅子に座り、頑張って机の上に顔を出している。



そう、カインだ。

ここに集められたものは、カインの班のメンバーであり、様々なことを確認するべくここに集められた。



「えーそれでは、第一回目の班会議を行います。まずは、軽く自己紹介から」


いつものカインとは全く違う、真面目な口調で告げられた言葉で会議は始まった。



「ええと……先日も自己紹介しましたが、準筆頭のカインです。これからよろしくお願いします」


ぺこりと、お辞儀する。普段の子供らしさからは全く想像もできない口調と態度で、他の者は驚いていた。

その後、各自の自己紹介がされていく。





「これで全員ですね。えーっと…まずですが、ファインさんには僕の補佐をお願いします。まあ、具体的には、わからないこととか、めんd…ではなく自分には難しいことを代わりにしてもらうなどですかね」


「うむ。任せるのじゃ」


「後は……仕事の内容についてですね。まあ、いつも通り城壁の上からの偵察と、魔族の迎撃、その他もろもろですね。他に何か質問は?」



紙に書かれていたことを読み上げ終えると、顔を上げて辺りの者を見渡す。



「あ、あの…」


おずおずといったふうに、黒髪の青年が手を上げる。



「ディネさん、何かありましたか?」


「ええっと……少し失礼かも知れませんが……準筆頭は15歳でしたよね?何故……そんなに幼い見た目をしているんですか…?」



その場にいた者の殆どが思っていたこと。

そう、何故カインが15歳でありながら、8歳ほどの幼い見た目をしているのか。



「ああ、そういえば言ってなかったですかね…けど、どこまで話すか……」



1人でぶつぶつと話し始める。その様に他の者は困惑気味だ。



「ああ!すみません。ええっと…僕の見た目についてですね。端的に言えば、僕の魔力量が多いから、ですね。皆さんはわかりますよね?」


「いや…わかるも何も、わしらにはそれを確認する術がないんじゃが…」


皆の疑問をファインが代表して答える。



「まあ、多いんですよ!わからなくても感覚で感じ取ってください。ほら、どっかの有名な人に考えるな感じろって言ってるじゃないですか!!でなんですが、その魔力が細胞の劣化を抑えているらしいです」


「らしいって……適当だナ……」


「仕方ないでしょう?この事に関する情報が殆どないんですよ。師匠の特権で見せてもらえる資料でも、それぐらいしかわからなかったんですから」



事例が全く見当たらないため、詳しいことは分かっていない。それほど、珍しいことなのだ。



「自分が言えることはそれぐらいですかね。それで…他に何か質問は?」


「じゃあ…もう一ついいですか…?」



この際、いろいろ聞いておこうとするディネ。

それに対して、首を縦に振り肯定し、話すよう促す。



「えーっと……巡回って夜の時間もあるんですが、大丈夫なんですか?」



王宮魔法使いの主な仕事は、城壁の上の巡回だ。

魔族が来た際気付けるように、4班で交代しながら24時間体制で見張っているのだ。



「何がですか?」


「いや、まだ若いですし…体にも良くないかと…」


「ああ、そんなことですか」


もっと変なことを聞かれるのかと身構えていたカインは肩透かしを喰らう。



「大丈夫ですよ。なんせ、若い頃から夜更かししてましたからね」


(それは、どう大丈夫なのか…そもそも、まだ若いのに、若かった頃って…自分たちを煽っているのか…?)


奇しくも皆が同じことを考え、不審な目でカインを見る。


「なんですか?皆さん揃ってその目は?」


「いや、なんでもないわい」

「そうだネ」

「…そうですね」


他の者も首を横にブンブンと振り否定する。


「…なんか、腑に落ちないですが、まあいいでしょう。巡回はいつも通りで構いません。その時に2人班を作って巡回すればいいですしね」


「そうじゃな。前と同じく、1人ずつ休みで行くが、問題ないな?」


全員が、首を縦に振り肯定する。


「これで以上ですね。それじゃあ、巡回の時間は忘れないようにしてください。休みの順番は適当に決めておきますので(ファインさんが)。では、解散!」


「……なんか……変な声が聞こえてきた気がするんじゃが気のせいかのう……」



ファインの呟きは、皆が立てる椅子の音にかき消された。

はい

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