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「あ〜では、今年もうまく物事が運ぶように、こ、こ、ろ、か、ら、願って会議を始めよう。司会は私、ジャックがさせてもらう」
本当に心から思っているのか怪しいほど棒読みなセリフと共に、会議は幕を開けた。
まずはじめに行われたのは、現状報告だ。
「もちろん、皆知ってると思うが、新たな魔王が登場したことにより、次元の魔物がたびたび襲撃してくるようになった。そうだな?」
代表3人は肯定の意を示して話を続けるよう促す。
「私たちの国では主に、打撃や斬撃に対する耐性を持った奴らが来ているが、それはお前たちも同様か?」
「いや、俺の国では斬撃特化しか来てないな。あと、魔法に対する耐性と遠距離型が少し」
「そう?私の国ではどちらかといえば貫通かな。あとは…斬撃だったかしら?」
「ええ、そうですよ」
「わしの国は、言わずもがな魔法じゃな。これを見るに、魔王は何処からか得た情報をもとに、それぞれの国に対応した敵を送り込んできておるようじゃな」
「おいおい…まさかこの中に誰か裏切り者がいるってか?やめてくれよヘンリー。俺はお前たちを殺したかぁないぜ?」
「話を勝手に進めるな。なるほど魔王は何かしらの情報源を持っているようだが、それが我々の中にいるとは考えらない。だってそうだろう?我々は自国の民を守るべく、命をかけて戦ってる。違うか?」
「まったくね。ま、多分長年の戦いから得た傾向から選んでるんじゃないかしら?ずっと戦ってるから、流石にどんな感じなのかぐらいは掴まれててもおかしくないでしょ。皮肉にも、あいつらは意外と頭いいからね」
ロージャは、忌々しい魔族達のことを思い出して顔を顰める。
皆、同じような表情をしていることから、魔族に対する意見に違いはないようだ。
「ロージャの言う通りだろう。だが、一つだけ気になる点として、奴らはなぜか、我々が目を離している隙に攻めてきているように思えるんだ」
「それはと言うと?」
「少し前、国の外れで未知の生物か物体かを見かけたということで調査へと向かわせたんだが、ちょうど出発して3日だったか。あいつらが襲撃を仕掛けてきた。幸い、私と直属の部下の大半は残っていたため、対処することはできたんだが、妙にタイミングが良すぎる」
「あ〜、確かに言われてみればそうかも知れねえな。俺たちも、村に魔物が攻めてきたから、それの対処に行ったんだが、偶然その時に敵襲があったんだよな」
「そうかしら?そんなこと日常茶飯事すぎて当たり前だと思ってるんだけど」
「ふむ…関連性があると考えられなくもないんじゃが…。まあ、怪しいことをしてる奴がいれば対処するって感じでいいと思うんじゃが」
「そうだな。今んところそんなやつは見たことないからなぁ。そうだろ、ケイト?」
「そうですね。俺の直属には不審なことしてる奴はいませんね。あと、他の部隊でもそうですね」
「ふむ…では、怪しい動きがあれば報告ということで。問題はないな?」
ジャックが話を纏め、トントン拍子で物事が決まっていく。
一昨年み魔王が倒されたこともあってか、去年の会議では各人が言いたいことを言いまくっていたため、話が全く進まないかったが、今年は次元の魔物という対策すべき対象が現れたためか、皆有益な情報のみを語り、進みが早い。
「ああ、そうそう。ここにくる途中、怪しいやつを見かけてな」
「怪しいやつだと?」
「ああ。少女を連れた、1人の青年なんだが、なんだか、得体の知れない物のように感じられて。まるで、いつまで経っても消えない、青黒い炎を身に纏ったようなやつでな」
「ふ〜ん。あんたがそう言うってことは、結構やばそうなやつじゃん。そいつが黒そうってことなの?」
「いや、分からん。ぱっと見友好的なんだがなぁ。おい、ジャック。お前なんか知ってるか?」
「…いや、見たことも聞いたこともないな。この城で働いていて、一度も見たことのない奴はいないはずだが……見た目は?」
「え〜っと、確か…」
「黒い執事服ですね。あと、先ほどもおっしゃったような不気味な目と雰囲気」
もしやと思っていたカインとヘンリーは、大きく反応する。そして、何かやらかしたのではないかと考え、心配になる。主に相手のことが。
「その様子だと、ヘンリー、お前は何か知ってるようだな」
「ああ、そうじゃな。おそらくだが、そいつはこのカインと、一緒にいた少女の養父じゃな。不気味なのは…まあ、色々過去にあったからとだけ言っておこう」
「ふ〜ん。過去の色々とね。なんとなくだが、あれは人ではないように感じたんだがな」
「そんなわけなかろう。奴は、紛れもなく、人間じゃ。名前はルインと言う」
「…ルインね。ま、一応気には留めておくとするか。俺はあいつが1番怪しいと思うがな。ま、ヘンリー、お前も気を付けておくんだな」
「言われずとも」
内心、冷や汗ダラダラのヘンリーは、なんとか場を乗り切り、心の中で一息つく。
カインは、何か余計なことを言わないように黙って聞いていた。ボロが出ないようにしていたといえば聞こえはいいが、言い訳を考えるのが面倒だったといえば悪く聞こえるのは、実に不思議だとカインは1人で考え込んでいた。
来週はいけるかな。
あと、PV5000ありがとうございます。ここまで読んでくださっている方々には頭が上がりません。引き続き、下を向いたまま物語を書いていきます




