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お久しぶりです
正午、カインとヘンリーは仰々しい扉を開け、会議室へと足を踏み入れた。
中は円形に配置された机と椅子、そして中央にある、会議には不必要であるシャンデリアが、これまた不必要に光をばら撒いていた。
「やっと来たか」
そして扉の正面には、純白の制服を身に纏った30代ほどの男が椅子に腕を組み、座っていた。その視線はじっと、入り口だけを見つめていた。
「なかなか、ギリギリな時間に来るじゃないか、ヘンリー」
「そうかのう。ジャック、主も歳を取ったのでは?ほら、歳を取れば時間を早く感じるとかいうじゃろ?」
「黙れ。普通、こういう場合には10分前には来ておくべきだ。そもそも、俺はそこまで歳を食っていない。少なくとも、お前には言われたくないな」
男、ジャックはヘンリーからの嫌味に対して、言いたい事を全て言い切ると再び扉へと視線を向けようとした。しかしその途中、不似合いな子供、カインへと視線を止めた。
「おい、ヘンリーよ。いつから我ら四カ国会議はお子様が参加するお遊戯会へとなったのだ?」
(ほら来たー)
見事に、いちゃもんをつけてくると言う予測を当て、思わずため息が出そうになる。
が、流石に何十年と生きてきたヘンリー。大人の対応で顔にもその素振りを見せない。
「ああ、こいつは正真正銘の副リーダーのうちの1人、カインじゃ。今年からじゃから主も知らんと思うが」
「実力は確かなんだろうな?」
「もちろんじゃ。なんなら試しても良いぞ」
ジャックは黙り、カインをじっと見つめる。まるで、その内にある何かを探るように。
カインはその目を、逆にじっと見つめ返した。
「…まあ、お前が言うというなら、強いんだろう。だが、そうでなかったらタダじゃ済まないからな」
「ほ?意外とあっさり認めるんじゃな」
「ああ。これ以上言っても、どうせ変わらないからな」
ヘンリーは小一時間は詰められてもおかしくないと思っていたため、拍子抜けするも、あっさりと問題を解決できたため、万々歳だった。
「ま、結果さえ見せて貰えば文句はないさ」
それだけ言うと、再び扉へと視線を戻し口を結んだ。
ヘンリーは一瞬躊躇うも、まあいっかと考えて用意された席へと移動した。
「あの…」
「どうした、カインよ」
「彼、結構変わった人ですね。ちょっと義眼で色々見てみたんですけど、体が機械で覆われてた、っていうか体が機械だったんですけど…」
「ああ、そうじゃな。あれがこの国の技術も最高峰の機械人間じゃ」
機械人間。
それは機械の国、ケイユーブ国の技術の一つ。
自らの体に人工物である機械を取り付ける、もしくは移植することにより、エネルギーを使用することで人間には到底できない事を可能にする技術。
腕に取り付ければ、万物を持ち上げ、粉砕する力を。足に取り付ければ、馬よりも早く、そして疲れない脚力を。それぞれの部位に応じた、強力な力を得られる。
夢のような行動を、現実へと変える、まさに夢のような技術だ。
「全身、機械でびっしりでした」
「そうじゃろう。奴はこの国の軍部のトップじゃからな。正しい道というのを示すためにも、奴が先頭に立つ必要があるんじゃ」
「へぇ〜。案内してもらった人はこんなんじゃなかったんですけどね」
「そうじゃろ。ここ数年で発達した技術故、中枢にはだんだんと浸透しつつはあるも、末端にはまだ、整備が追いついておらんからな」
実際、機械化を行なった兵士は全体の3割ほどしか済んでいない。
しかし、1人で100人力である兵士が既に数千人に及んでいるため、軍事力はこの国が1番と言っても過言ではない。
「なかなか、頼もしい人なんですね」
「そうじゃな。ま、魔法も負けとらんがの」
話を締めくくり、他の国の参加者を待つ事数分、力強く扉が開かれた。
「あら〜?まだみんな集まってないのね〜」
そこには、なんとも奇抜な見た目をした人が立っていた。
はい。サボってました。風邪ひいてそこからやる気無くしてこれです。許してくださいお願いしますなんでもしませんけど。




