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見た目騙しの魔法使い  作者: 積む摘む
2 人を守る仕事
8/92

8

改変しました

王宮の廊下では、鎧を着た騎士、王の世話をするメイドなど、様々な人が移動していた。




その合間を縫って食堂まで移動する。

食堂では、これまた多くの人がひしめき合い、我先にと食事にありつこうとしていた。が、流石に王宮とあって、列を作り順番を待っていた。



「う〜ん、どこか席は空いてませんかね?」


小さな背で必死に空いている席を探そうとするが、大人達の背に阻まれてみえない。



「そうじゃのう………む?おお、あそこにいるのは…」


ファインが人混みの中から見つけ出したのは、長く白い髪を後ろで三つ編みにし、大きなとんがり帽子を被った女。キレ長い白い目はまるで蛇のようだ。


その格好はまるで、魔女。

1人で、4人掛けの席を独占していて、近寄りがたい雰囲気を放っている。

帽子を建物の中でもつけていることも相まって、余計目立っていた。



「…レザリー、じゃよな?」



声をかけられて、ゆっくりと振り向くレザリー。

目が細く、睨まられているように感じる。



「これはこれは、ファインさんと、準筆頭じゃないカ。どうしたんだイ?私にようでモ?」


声を掛けてきた人物に驚きつつも、ニヤリとした顔を浮かべながら答えるレザリー。

東の農村部で見られる言葉の訛りを感じる発音は、慣れないものからすると、聞き取りにくい。



「いや、ちょいと席を使わせてもらえないかのう?」


「ああ、全く問題なイ。好きな場所に腰掛けてくれて構わないヨ」



手を振り、好きなようにするように訴える。

言質を取り、レザリーの正面の空いた2席に座り、朝食を食べ始めた。




「そういえば、お主もカインの班じゃったよな?」


朝食を食べながら、思い出したかのように尋ねるファイン。



「ああ、そうだネ。もしかして、アンタもかイ?」


「そうじゃよ。しかし、大丈夫かのう…」


「何がですか?」


「カインに、準筆頭の仕事ができるのかどうか…」



意味がわからず、こくんと首を傾げるカイン。


「魔族をぶっ殺すのは得意ですが」


「いや、準筆頭の1番大事な仕事である班のものを纏める、ということができるかどうか…」


「大丈夫ですよ。これでも僕、人をまとめるのは得意なんですよ?」


「…確かに、そうかもしれないネ…」



レザリーは、昨日のあれを思い浮かべて頷く。


「ちょっと、その顔!どうせ、僕が力でしか人をまとめられないとか思ってるんでしょう!」


「気のせいだと思うヨ。それより、公共の場で目立ちすぎじゃないかナ?もう少し静かにするべきダ」



話を逸らし、誤魔化すレザリー。

プクーっと、頬を膨らませ、不満を露わにするカインと、お主がいうのかという言葉を飲み込むファイン。



「う〜ん……なら、レザリーさん。あなたがその役をやってくださいよ」


「えエ?ワタシがかイ?いや、それならヘンリーさんの方が向いてると思うゾ」


「お主!汚い!他人任せばかりよくないぞ!」



面倒な役をやらされると感じ取ったファインは抵抗する。



「ああ、そうですね!確かにファインさんなら古参ですし、誰も文句を言わなさそうですね。それに、師匠のお友達ですし、師匠からも文句はないと思いますよ?」



ポンと手を叩き、名案だとばかりのつぶやく。


「いやじゃ!!絶対にやりとうない!!」


「なんで、そんなに嫌がるんですか?」


「…だって、クソガキどもをまとめるのは疲れるし…」


「その時は、これですよ」



カインは、目の前に火の玉を作り出し、消す。そして、ニヤリと笑う。



「やっぱり、力じゃないカ……まあ、ワタシはファインさんなら文句はないナ」


「ほらほら、お願いしますよファインさん」


呆れるレザリーを無視して、お願いするカイン。



「ううむ……けどのう…」


「こんなに可愛い僕に、そんことをさせるんですか?」


「それを自分で言うのカ……」


呆れ気味の呟きを無視して、お願いを続ける。




「……わかった、やってやるわい」


「やったー!!ほんとですよね、二言は無いですよね?」


渋々、といったふうに了承するファイン。

それに対してカインは大満足な様子。


「…じゃが、あくまで補佐じゃ。できれるだけカイン、主がやるんじゃぞ?」



それまでの満面の笑みが、露骨に歪められる。


「ええ……全部やってくれないんですか?」


「そうじゃ。なんせ、わしはもう歳じゃ。いずれ、カインが全てやる時が来るじゃろう。その時を見越してのことじゃ」


「……うぅ……せっかく面倒事を任せられると思ったのに…」



嘘泣きを始めるカイン。

ファインはその様をみて、呆れる。



「まあまあ、そんなに落ち込まなくてもいいだロ?ワタシも手伝ってあげるからサ」


「言いましたね。二言は無いですよ」


「ああ、君にはまだ早いと思うからネ」



そう言いながら、レザリーは茶髪を撫でる。




「……甘やかしすぎじゃと思うがのう……」


ファインはその様を見てまた、呆れるのだった。


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