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お久しぶりです。
走り出した青年は、一瞬にて最高速度に達し、目に映らなくなる。
後ろに付いた一対の羽が高速で振動し、青年に推進力を与える。
次に姿を現したときには、グレンの目の前。
手負のグレンから狙う。当たり前のこと、しかし大切なことを実行する。
青年は腕を振り上げ、頭目掛けて振り下ろす。
グレンも何も準備していないわけがない。
途端、炎の壁が2人を分断し、姿を隠す。
一瞬、青年の腕は迷いをみせる、だろうと、グレンは予想し、次の魔法の準備をする。
「甘い」
炎の中から青年の手が、遠心力を伴い、頭を切断せんと飛び出す。
青年の手は、ギザギザとした刃が付いており、鎌のような切れ味を持つ。
それは、意図も容易く頭を真っ二つにするだろう。
刃は、グレンの耳に触れようとする。
グレンは驚きのあまり、咄嗟に動けない。
そこに一つ、別の分子が入り込む。
メザリーが放った氷の刃刃が、鎌を切り裂かんと、拮抗する。
まるで刃が打ち合うように、歪な音を響かせる。
そして、切り裂かれた刃物が宙で散った。
押し合いを制したのは青年で、結果としては、少し傷をつけるほどだった。
ほとんど勢いを落とさないまま、再びグレンに向けて振るわれる。
頭が真っ二つに裂ける、寸前に何かが間に置かれる。
再び、しかし今度は澄んだ金属の音が、鳴り響く。
グレンは刃と刃が触れ合う、それでできた猶予で頭を守る。
カインから渡された銃を、鎌に沿わせるように掲げる。
それによって鎌は受け流され、宙に放り出される。
グレンは宙に放り出された手を目掛け、弾丸を放つ。
魔法により生み出された爆発にて、込められた弾丸を勢いよく射出する。
青年は咄嗟に腕を引っ込める。しかし、少し遅い。
いや、十分に速い。しかし、それは弾丸の速さには達しない。
肘を狙った弾丸は、少しズレるも、青年の手のひらに穴を開ける。
青年は一度距離を取り、手を見る。
「…ちっ、小賢しい」
「それはこっちのセリフよ。速すぎ」
「所詮人間ね。あなたたちには限界があるかもだけど、それを私は、凌駕する!!!」
再び、一気に距離を詰め、腕を振るった。
先ほどよりも圧倒的に速い。
振るわれたそれを、グレンは右上で受ける。
普通なら切り裂かれるはずの腕は、魔法で固くしたことで受け止められているが、その勢いまでは殺せず骨が砕ける。
しかし、グレンはそんなこと気にした素振りを見せず、そのまま撃つ。
咄嗟に手を引くも、引き戻そうとした青年の腕は、グレンにしっかりと掴まれており、戻せない。
「捕まえた」
弾丸が、青年の胸部を穿つ。
青年は身を捩り、かろうじて急所から外すも、体に穴が空く。
それに、青年は負けじと右足で蹴りを放つ。
グレンはそれをモロに受け、再び撃つ。
蹴る 撃つ 蹴る 撃つ
お互い、避けるということを知らない。攻撃を真っ向から受け止め、自分の力を見せつけ、相手の攻撃を品定めるかのように。
蹴る 撃つ 蹴る 撃つ
傷がどんどんと増えていく。それでもやめない。
蹴る 撃つ 蹴る 撃つ
いつまでも続くかのように思えたそれは、相手が地に寝転がることで終わりを覚える。
青年の体には、無数の穴が
グレンの体には、無数の凹みが
そして、戦いを制したのは……
青年は、自身の足元に転がる死骸を眺める。
ぴくりとも動かないそれを見て、勝ちを確信した。
「…私の勝ちね」
少し離れた場所にいるメザリーに、目線を向け、告げる。
「それはどうかな?」
「みっともない。早く負けを認めたらどう?」
一歩踏み出そうと、足を前に出す。
しかし、動かない。
不思議に思って足元を見る。
地に伏していたグレンが、青年の右足を掴んで離さない。
青年は煩わしそうに、足を振るうも、離れない。
青年は、左足を振り上げ、頭目掛けて振り下ろした。
その瞬間、世界が変わった。
いや、世界は変わっていない。しかし、青年を中心とした半径30mの空間には、変化が生じた。
メザリーの魔法により、周辺が急速に極寒の地へと変化する。
誰であれ10分、いやそれより短い時間でも死に至るほどの地へと成る。
「……おっせえ」
「許して。間に合ってるんだから」
「……まあ、そうだな……」
かろうじて、息をしているグレンが話しかける。半分文句のそれをさらっと、メザリーは流す。
「さあさあ、終焉の時だよ」
「…それはどっちかな」
2人は向き合い、そして戦いは終盤へと駒を進めた。
勉強とゲームと絵描いてたらこうなりました。
続きも早く書きたいです。多分来週




