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見た目騙しの魔法使い  作者: 積む摘む
4 悪魔と別次元の敵
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青年が走り出したと同時に、少女も駆ける。



先ほどとは打って変わって戦闘スタイルが変わり、一気に近距離戦へと流れを変える。

カインたちも即座に切り替え、魔法の準備を始める。




「死ね」



手に持っていた双剣を、力強く投げつける。

蒼い光が、素早く、そして的確に2人に狙いを定めている。



ゲシンはそれを受け止め、カインは避けようとした。



双剣は作り出した氷に阻まれ勢いを失い、もう片方は元いた場所を斬る。

カインはそのまま、準備した魔法を放つ。



『風の(ウィンドオブソード)



真横にある縄が、淡く発光する刃に削られ、金属が擦れる音をあたりに撒き散らす。



「…チッ!」



少女は咄嗟に、離れた双剣を引き戻す。

カインは、戻ってくるナイフを避けようと体を動かした。




「…え?」

「カインッ!!!!」




双剣が、カインの右腹部を切り裂き、辺りに血肉を撒き散らした。

力に従って、少女の手元に戻ってくるはずであった剣は、カインに辿り着くまでにまだ幾分か猶予はあったはずだ。


少女は、カインの意表を突いた。

そこまでの応用が効くなんて考えていなかった、と言った方が正しいかもしれない。



少女は、思いっきり引っ張った双剣の時間を操り、カインに当たる50cm手前にまで移動させた。

それによって、当たるはずのなかった双剣が、彼の体を切り裂いたのだ。


「…くっそ……ゲシンさん、こっちに気を配らないで。早く、準備()()を進めて」


「あは。これっぽっちも考えられない、弱小な脳だね」



煽る少女。

口ではそう言いながら、油断なくカインとゲシンを観察している。



(チッ、思ったよりも傷ついてない。ぐっさりお腹を切り裂くつもりだったけど、思ったよりも勘はいいみたいね)



そう考えながら、再び双剣をカインに投げつける。

それと同時に、ゲシンとの距離を一気に詰め、切り掛かる。



(もらったッ!!!)



確実に、ゲシンの首元に剣をかけ、勝利を確信した。




しかし、それは何処からともなく現れた銀色に輝く剣で防がれた。


「はぁ……本当は剣を振いたくないんだがな……」



時空と空間の歪みから、一本の白銀の剣が出現する。

それが、少女の剣を防いだ。



歪みからおもむろに、それを取り出した。

変に装飾されてない、簡素な造りの剣。しかし、出来だけは一級品だ。




「どうした?ボサッとしていたら死ぬぞ」



驚きに目を見開いていた彼女に、ゲシンが声をかける。

ハッとした彼女の右腕に、一本の小さな槍が刺さる。



チクッとした痛みのあと、体を電流が迸る。



「ッ!!!!」



カインの方もしっかりと意識は向けていた。しかし、完璧に把握はできていなかった。

それがこれを招く。


小さく呻く少女の目の前には、剣が迫っていた。

咄嗟に、左腕に持った剣を掲げるも、幾分か遅かった。



「がぁっっ!!!!」



指を2本ほど切り裂かれ、宙を飛ぶ。

痛みで落としそうになった双剣を再びぎゅっと握りしめて、返す刃を打ち込む。



しかし、あっさりと大きな剣に阻まれ、肉体まで届かない。



ギリギリと力比べになるが、所詮大人と子供。

象とありの戦いのように、最初から勝敗は目に見えている。



打ち負けた少女は、最後の力で剣を払い、勢いで後ろに下がる。

同時に、カインに投げておいたもう片方を引き戻しながら、攻撃を仕掛けておく。


当たればおまけ程度と考えていたが、もうその手は通じないとばかりに、飛んできそうな場所からは離れていた。



「……はぁはぁ……」


「ゲシンさん、なかなかやりますね。そんなに上手く扱えるなら、剣使った方がいいんじゃないんですか?」


「馬鹿言え。仕方なく準備してきただけだ。あとはまあ、俺の家が剣術を教える道場をやってたから、子供の頃から無理やりやらされてただけだがな。異色なだけだ」



実際、彼は跡取りになれないと親たちは嘆いていた。

しかし、そんな事知らないとばかりに彼は魔法を極め、王宮魔法使いとなった変わっていた。



「それにな、こう言う騙し討ちは、突然やるから効くんだ。それ以外は厳しい」


「まあ、そうですね」


「……はぁ…………」



カインたちが話している間にも、少女は肩で息をし、苦しむ。

ボタボタと、無くなった2本の指からは絶え間なく血の滝が流れている。



「さ、とどめを刺しますか」


「そうだな」


「………はぁ………」



とどめを刺そうと、一歩、二歩と距離を縮める。

その間も、彼女は2人を忌々しく、殺気を込めた目で睨みつける。



「終わりです」


十分注意を払いながら、少女に向けて魔法の準備を始める。

自分で作り上げた魔法を、1文字1文字噛み締めるように発音し、作り上げていく。


彼女は諦めたのか、大人しく身を縮めていた。



「さようなら」



魔法を放った。

水の刃が、彼女の首を刎ねる。




瞬間、彼女は目を見開き、




「リバースッ!!!!!!」




叫んだ。




あたりに眩い光を放ち、彼女の指に、首に、肩に付いた傷が一気に元通りになる。




「ッ!!!」



少女は、淡々と双剣を振るった。

それは、驚きで硬直する2人に確実に狙いを定め、そして、




切り裂いた。





はい。どうでしょうか

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