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短め。
飛び込んだ瞬間、形の構造が一気に変わり果てる感覚がした。私が普段感じていた世界が、一気に広がった。
手が丸くなり、体が厚みを増した。
そして、視界が白くなり、開けるとそこは大きな城の一室だった。
でも、大きさだけは一丁前だが、装飾は殆どされておらず、簡素な家具がいくらか置いてあるだけだった。
その後は困惑する私を、彼が新しい住まいに連れて行ってくれて、私にこの世界のあれこれを教えてくれた。
彼が言うに、あの男は魔王らしくこの世界の征服を試みているらしい。で、彼はその手伝いをしてると教えてくれた。
彼と男の出会いは遠く昔、男が初めてその能力を使った時らしい。初めて他次元に移動した時、目の前に彼がいたんだとか。それでその時、彼の境遇を聞いて、同情心が芽生えたことから、一気に仲良くなったとのこと。
そこまで言って、彼は私に視線を向けた。
「ま、こんなこと言わなくてもよかったかな。他に聞きたいことでもある?
私はぎこちなく、首を横に振った。
「そっか。じゃ、明日は訓練があるから、また朝迎えにくるね」
立ち上がって、部屋を出ようとする彼の腕をぎゅっと掴んだ。
彼は驚いたように私を見る。
「どうしたのかな?」
「…もうちょっといてほしい…」
正直に言ったら嬉しかった。
久しぶりに人と会話したってこともあると思うけどそれ以上に、優しく、諭すような彼の言葉は、私に足りない何かをくれた。
そんな駄々をこねる幼い私を、彼は優しく笑って、頭を撫でてくれた。
その後、いろいろな不安から解放された反動から、眠りについてしまった。
目を覚ますと、あたりは少しずつ日が上り始めていた。
ぼんやりとする思考を、頭を振ってシャッキリさせる。
そして、周りの変わった環境から、新しい生活が始まった事を理解した。
その時、ドアから軽快なノックの音が聞こえてきた。
恐る恐るドアを開けると、やはりそこには彼がいた。
「おはよう」
「…おはよう、ございます」
「うん。それじゃ行こうか」
彼に連れられるがまま、訓練場に移動した。
いや〜、思ったより長い。あと1話で過去は終わります。
Twitterは、無事公開垢に帰れました。あと、前のやつではうまくURLが機能してなさそうなので、もう一回ちゃんと張ります。http://twitter.com/Tsumu_iroiro




