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忙しい
手に戻ってきたナイフを即座に投げつける。
しっかりとカインとゲシンを捉えたナイフは、少女が投げられるはずがない速度で、一気に2人に近づく。
カインとゲシンは余裕を見て、即座に回避に移った。
それが功をなす。
あと、10mほどまで近づいたナイフは、視界から消え失せる。
そして、気づいた時には2人の手と肘の間に深く突き刺さり、肉を切り裂いていた。
2人はは驚きのあまり、自身の左腕をまじまじと眺める。
服が血を含んで、赤く染まっていく。
「あはっ!どうしたの?そんなに意外だったかな?」
「………」
「特別に教えてあげる、どうせ死ぬんだし」
少女はケラケラと笑いながらカインを馬鹿にする。
「私はね、時間を操ることができる。こうやってね」
少女は、懐から取り出したナイフを宙に放り投げる。高く飛び上がったナイフは次に瞬間、少女の手におさまっていた。
「…なるほど。どうりで、僕の目で捉えられないわけですね」
ナイフを、引き抜いて地面に叩きつける。
「これで理解したでしょ?貴方たちは私に勝てない」
「それはどうかな?こっちは、この国のトップ2人だからね。大口を叩くのも大概にしておくべきだ」
「ふふっ、じゃあ貴方たちを殺せばこの国は機能しないも同然ね。さあ、いくよ!」
少女は、2人の行動を制限するようにナイフを飛ばす。
そのどれもが、奇妙な動きをするので容易に動くことができなくなり、身を寄せ合う。
「これで、チェックメイトだね!」
再び、2人を捉えたナイフが投げられる。
今度は、回避もできないほど、当たりをナイフが飛び交っている。
ナイフは、またも視界から消え失せ、2人の心臓に……突き刺さらなかった。
「油断」
瞬間、勝ちを確信した少女は驚きのあまり目を見開いた。
一つは、必殺の一撃を受け止められたこと。
そして、もう一つは眼前にまで迫った電気の槍。
一本の、雷を纏ったかのような槍は、少女の肩を穿つ。
「……ッ!!!クソが…!!」
痛みのあまり、悪態を吐き、踠く。
「案外あっさりといくもんだな」
「まあ、僕らの連携が綺麗だったからですね」
胸に刺さったナイフは、氷の膜で受け止められ、服一枚も貫いていなかった。
ナイフを抜き取り捨てる。
「なんで、全部はたき落とさなかったんだ?お前ならできただろ?」
「1番、相手が油断する時は敵を倒した時だと思ってるからですね。殺ったと確信した瞬間を作り出して、そこにぐさっとね」
手でナイフの形を作って、首を掻く。
「まあ、そうだな。実際うまく行ってるわけだし」
「けどこれ、熟練の人には効かないんですよね。強い人ほど、油断しないんですよね〜。困りますよ」
少女は、2人の会話を怒りで爆発しそうな思考の奥で、ぼんやりと入ってきている言葉を聞いていた。
それが、さらに怒りを増長させて、顔は歪なほどに歪む。
「…クソどもがッ!!絶対に殺す!!!」
「あと、こんな風に怒ってくれれば尚良しです」
「そうだな。実際、隙だらけだ」
そう言い、ゲシンは魔法を一つ発動させる。
水の塊が、少女めがけて放たれ、少女は、それを弾け飛ばした。
宙に水が舞う。
「…ああ、そうよ。何を怒ってるのかしら。そんなことしてる暇はないんだった」
少女は、怒りを、痛みと信念で無理やり押さえ込む。
「ほんとは、やりたくなかったけど、ここまで言われたらブチブチに潰すしかないわね」
フードを投げ捨て、素顔がはっきりとする。
大きな丸い目は、冷徹で残虐な殺人鬼のように暗い光を灯している。
「これはいらないわね」
そういうと、懐から大量のナイフを投げ捨て、双剣を取り出した。
蒼白の透明な2本の刃が、太陽に照らされて、輝く。
そして、手元には紐が付いておりそれを手首にはめる。
「これを使うのは、貴方たちで2人目ね。光栄に思うことね」
残虐性を含んだ笑みを浮かべる。
「じゃあ、死んで」
少女は走り出した。
夏休みは時間があるので勉強するので投稿は変わらないもしくは減るかもしれません。




