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見た目騙しの魔法使い  作者: 積む摘む
4 悪魔と別次元の敵
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はい

人を殺したのは8歳の時だった。



戦いなんて無縁な街で生まれ、家族と年の離れたお姉ちゃんと一緒に楽しく暮らしていた。

私は、この生活がずっと続くんだろうなって思ってた。


でも、あっさりと崩れ去ってしまった。

ある1人の男のせいで。



そいつは姉を、私たちの生活から、ましてや世界から引きずり出して、別の世界に連れて行ってしまった。

私は正気ではいられなくなった。そいつを殺して、私たちの生活を取り戻すんだと意気込んだ。

けど、現実は残酷だった。



姉を連れ出した男は、強かった。それに、姑息だった。



男は、私が連れ去った姉の妹だと理解した瞬間、姉を人質に取った。


「僕がこの子を守っているから、こっちの世界でも生きてるんだよね〜」



その言葉は、反抗するなら姉を殺すともとれた。

どうしようもなくなって、姉を見つめた。



私よりも強い姉なら、何かを変えてくれるかもしれない。そんな希望から見つめていた姉からは、信じられない言葉が返ってきた。


「リィ、このお方にあまり迷惑をかけないで。あなたも、話せばわかるわよ」


私は衝撃のあまり言葉を失った。

なんで、お姉ちゃんはその人の味方をするの?!帰りたくないの?!


そう叫びそうになった。でも、叫べなかった。

その顔は、嬉しそうに笑みを浮かべていて、本心からの言葉に聞こえた。


姉は私たちの生活より、その男についていくことを優先した。そのことに失望した。



「あんなに楽しそうに生活していたのに、なんで?」



思わず口から出た言葉は、小さく、けどはっきりと響いた。



「楽しかったよ。けど、こっちのほうが面白いと思ったの。それだけよ」



淡々と吐かれた言葉は、私の脳内で反響し、今もなお響いている。

その後は、流れるようにことは進んだ。



「それで、君はどうするかな?どうやってここまできたかは知らないけど、崩壊も始まってるみたいだね」


そう言われて、自分の手を見て驚いた。


だんだんと手の先が消えていき、塵となって消えていく。

私は、自分が消えることをひどく恐れた。パニックになった。



「助けてあげようか?僕の計画が終われば、君のお姉さんも解放してあげるよ?」



鼓膜を振動して聞こえてくるその言葉は、まるで悪魔の囁きだった。

いや、相手は悪魔みたいな奴だから、本当の悪魔の囁きだったかもしれない。



私は、自分が消えるのが嫌だという本能と、姉を救い出せるかもしれないという、信じられないが縋りたくなる希望に従って、男の提案を受けた。



それからは、とても退屈な日常だった。

戦う訓練をして、食事をとって、寝て。



それが何回も何回も、終わりが来ないんじゃないかって思うぐらい続いた。

それでも私が発狂せずにいられたのは、姉を救い出すという目標と、その姉がすぐそばにいたことだ。



けど、姉は元の世界で暮らしていた時のような明るさはなく、どこか冷めたように世界、現実を見ていた。

その様子は気味が悪かったが、それもあの男のせいだと考えて、全て終われば元に戻るだろう。そう考えていた。




こっちの世界に来て1年。

初めて出撃命令が出された。



私が向かった先は、剣術が発展している国だった。

私はひどく緊張して、体は強張り、震えた。人を殺したことがない私にとって、それがどんな物なのかは理解できなかった。




そして、初戦にして私は、相手の軍隊を壊滅させた。

壊滅させたと言っても、頭を潰して、手足をちょちょっと殺しただけだ。それをしただけで残りはどこかに行ってしまった。

そしてその時、私は人というのは酷く脆い生き物だということを知った。



私が時間を操れば、どんな手練れも気づかないうちに死んでしまう。

命はそんなもんだ。私の手の中にある。



そう思う。思った。



そして、これならあっさりと姉を取り戻せると思った。

人を殺すのには、未だ躊躇いがある。



でも、姉を救い出すにはこうするしかない。




殺したくはないが、殺すしかない。私の、明るい未来のために。

たとえそれが血に濡れて、恨みが籠るものだとしても。

なんか良さげな感じに書けたと思います。よかったらいいねください。

そろそろ夏休みなのですが、宿題があるので毎日投稿はしません。多分また週一だと思います。

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