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頑張った。
王宮の廊下を一気に走り抜け、風を置き去りにし、4人は一気に城壁まで駆け抜ける。
城壁の奥からは、爆発と轟音、煙が立ち上り、戦闘が如何に激しいかが伝わる。
誰も何も話さずに、ただひたすらに走る。
城壁に近づくにつれ、音、匂いが強くなっていく。
皮膚が焼け、血が滴る鉄の香りが辺り一帯に漂う。
4人の顔には焦りと緊張、不安が混じり、飾られる。
勢いのまま、城壁に取り付けられた門を越える。
途端、視界には大量の情報が、嗅覚は血と物が焼ける強烈な匂いが、聴覚は鼓膜が破れんとする音が、それぞれを媒介として伝わる。
そしてその中で、認めたくない情報のみが嫌ほど激しく主張してくる。
「ファインさんッ!!!レザリーさんまでっ、」
そこには、カインが信頼する2人の人物が地に伏していた。
体からは血液が滴り、小さな水たまりを作り出していた。
かろうじて、息はしているようで、体は周期的に動いていた。
報告にあった2人の人物は、フィロとピュシスがなんとか対応しているが、お互い傷つき、満身創痍だ。
「がはっ………カインか………」
「ファインさん!!」
そばに駆け寄る。
「……気をつけるんじゃ……奴らが舐めて手加減をしているからわしらは生きているが………まだ力を隠し持っておる……わしが戦った……あの虫の見た目をした青年は、速い。とてつもなく………それに、考えられないほど力も強い……ゲホッ……」
血反吐を吐きながら語るその声は弱々しい。
「…ふふっ……班長が来てくれれば安心だネ……あとは任せたヨ……ちなみに、奴の武器には気をつけたほうがいイ…何か原理があると思うけど、変ダ………」
とんがり帽子と、白い髪は血で赤く染まり、汗が滴る。
「……分かりました……」
かざしていた手を握りしめ、立ち上がった。
「ゲシンさん、殺りましょう」
「言われずとも。グレンと、メザリーであの虫を、お前と俺で少女を」
「はい。ほんとは、どっちも殺したかったんですけどね。流石に厳しそうです」
そう言い、笑みを浮かべる。屈託のない笑顔が、ドス黒い怒りの感情で隠れる。
「さ、いきましょう。あ、これは渡しておきますね」
そう言い、カインはグレンに銃を放り投げた。
「使い方は、まあ見えばわかりますね」
「気をつけろよ」
カインとゲシンは、無言で、ゆっくりとしかし確実に少女へと足を進めていた。
「あれ?やっとリーダーのお出まし?遅かったね」
ケラケラと少女は笑う。
「まだ、遅くないですよ。なんせ、誰もまだ死んでないですからね。そして、」
「初めに死ぬのは、あなたです」
指を首にかけ、横に掻いた。
「ふふっ。なかなかの自信ね。油断大敵だよ」
「言われずとも」
バチバチと、火花が散る。
「ピュシス、お前は下がるんだ。これ以上いると死ぬ」
「はい……すみません……」
「謝る必要はない。俺と、カインでやつを殺す」
普段の真面目な態度から一変、不適な笑みを浮かべ、相手を見据えた。
「さあ、第二ラウンドだね!」
少女はそう叫び、手に持ったナイフを宙に放り投げた。
明日も書くつもりです。内容は、少女の過去と青年についてのつもり。




