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ちょっとへたっぴ。
「ここが、スイゾクカンですか」
「そうみたいだね」
街の中心部から幾分か離れた土地に建てられた、少し大きな建物。
一般的の民家より1、5倍ほどの大きさ。
それに取り付けられた大きな扉の前には、多くの人が列を成して、扉が開くのを今かと待ち侘びている。
「すごい人気だね。もうちょっと早く来るべきだったかな」
列に並んで、暇そうにするルイナ。
「そうだったかもしれませんね。…‥ところで、何読んでるんですか?」
「ん?これのこと?」
手に持って読んでいた本を指差す。
頷いて肯定する。
「これは、魔道具の設計図だね。新しい魔道具を作るためには、いろんな魔道具の作りを知っておく必要があるからね」
そういって、ルイナはそれを見せる。
中には、図や文字、ペンで書き込まれた字など様々な情報が書き込まれていて、嫌いな人が見れば頭痛がしてきそうだ。
「なるほど。てか、そんなもの持ち歩いてるんですか?」
「そんなものって、これは、私にとってとっても大事なの!それにどうせ、カイン君も魔導書でも持ってきてるんでしょ?」
瞬時に顔を逸らす。
「……バレてますか」
「うん。バレバレ。けど、この建物の中では読まないでね?」
「流石にしませんよ。あ、そろそろ開くみたいですよ」
合わせていた目を建物の方に向ける。
そこでは、大きな扉の前で、スラッとした長身の男が1人、立っていた。
「みなさん!今日は、私が運営する水族館にお越しいただき、誠にありがとうございます!え〜、ここで、館内での規則を少しお話しさせてもらいます。
一つ、大声で話すのはおやめください。他のお客様の迷惑となりますので、守ってください。
二つ、館内にあるガラスには、大きな力を加えないようにしてください。もし、割ってしまった場合については、賠償金を支払ってもらいますのでご注意を。
この二つを守るよう、よろしくお願いします。
それでは、ごゆっくりお楽しみください!」
男の説明が終わるや否や、後方にあった扉が、音一つ立てずに開いた。
先頭にいたものから、順番に水族館へと入っていく。
「いよいよだね!」
「そうですね。どんな風になってるんでしょう」
あと、少しのところまで列が短くなる。
近づいて分かったことは、中は照明が殆どないのか、薄暗く、少し不気味だということ。
「ごゆっくり、どうぞ」
男に見送られ、扉を潜る。
中は一本の通路になっていて、さらに奥に黒いカーテンがあるだけだ。
一歩、また一歩と進むたび、どんどんと暗さが増していく。
不気味な雰囲気に、ルイナはカインの手をぎゅっと握りしめ、体を寄せる。
その手を、強く握り返して、奥のカーテンを潜った。
そして、そこに広がる光景に息を呑んだ。
「…わあ…!すごい…!」
そこには、壁一面を分厚いガラスが覆っていた。
その中には、水の抵抗を一切感じないように、泳ぐ魚。大きな体で、水槽を我が物顔でゆっくりと遊泳する鮫。悠々自適に泳ぐ亀など、様々な生物がいた。
照明は疎で少ないが、中から漏れ出る光が、ゆらゆらと揺れて、神秘的だ。
その後数十分間、2人は口閉じて、じっと水槽の中だけを眺めていた。
水の中をスイスイと泳ぐ魚を、カインは、何を考えているんだろう、と思いながら興味津々に、じっと見つめていた。
そんな様子に魚たちは気づくはずもなく、ただ、そこで泳いでいた。
お久しぶりです。
明日も出せたら出します。もしかしたら今日かも。




