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あれから、3ヶ月の月日が経った。
あの日からカインは、ディネと共に魔法の開発に勤しんでいた。
…しかし、上手くはいっていない。
上手くいかない1番の要因は、作り出した魔法を試せないからだ。
次元の魔物に作り出した魔法が効くかどうかは、実際に試してみないと分からない。
そしてここ3ヶ月、魔族からの襲撃、及び次元の魔物の襲来は一切ない。
作った魔法が試せないため、有効打になるかどうかも分からないのだ。
3ヶ月、敵の攻撃が一切いが、この平和がいつまで続くか見当がつかない。
カインとディネには日に日に焦りが増していく。
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「う〜ん………やっぱり、試してみないと分からないですね…」
「そうですね……」
この日も、2人は新しい魔法の開発に勤しんでいた。
しかし、全く進んでいる感じがしない。
部屋の隅では、ルイナが静かに本を読んでいた。
「…とりあえず、作れるだけ作ってみて、来た時に片っ端から試してみますかね」
「分かりました。……そろそろ帰りますね。もう遅いですし…」
ふと、窓の外に目を向けると、日はとっくの前に沈んでいた。
昼間のような、身体にまとわりつく暑さはないが、それでも、まだ少しジトッとしている。
「ああ、もうこんな時間ですか…」
「それじゃあ、もう帰りますので。魔法の開発もほどほどにしてくださいね」
「……分かってますよ……」
ディネに視線を一切向けずに、返事をする。
呆れながらも、何をいっても意味がないと思い、カインの部屋を出た。
紙の上をペンが滑り、リズミカルな音が鳴り響く。
その音が止まる気配は一切しない。
…カチャ
「…ん?」
「紅茶。何にも飲んでないでしょ?」
ルイナがいつのまにか用意したティーカップには、暖かい紅茶が注がれていた。
「…ありがとう…」
ペンの代わりにティーカップを持つ。
注がれた紅茶からは、湯気が上がり、甘い香りが漂っていた。
「カイン君。進捗はどう?」
「…微妙、ですね。実際に使ってみないと分からないってのが1番辛いです」
「なるほどね。……ちょっと最近頑張りすぎじゃない?あんまり寝てないでしょ」
「…‥バレてますか」
「そんな顔してたらバレるよ」
顔にははっきりとした疲れが映っており、焦りが顕著に現れていた。
「…でもですよ。僕が、あいつらに対する有効打を作り上げないと…!」
握るティーカップが、かたかたと揺れる。
「そうだよね………でも、そんなに悩んでも仕方ないと思うよ。そんなに気を張り詰めてたら、疲れちゃうよ?」
「…‥そうですね……ルイナの言う通りです。…‥今日はもう寝よう…か……な……?あ………れ…?」
ルイナに注意されて寝ようとするカインに、急激な眠気が襲う。
「まあ、念には念を押してね」
懐から白い粉を取り出して、カインに見せる。
そして、可愛らしくぺろっと舌を出す。
「そ…こま……で…しなく……ても……………」
そこで、カインの意識は途切れた。
「よっこいっしょっと………。……さて、私も寝ようかな…………おやすみ」
すでに寝ているカインをベッドまで運び込み、返事の返ってこない呼びかけをすると、そのままルイナも眠りについた。
もう一本いけるかも




