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見た目騙しの魔法使い  作者: 積む摘む
3 楽しい今と、辛い過去
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44

「…え?」


恐る恐る、目をあける。

狭くなった視野に映ったのは、首が無くなった魔族だった。




「大丈夫か?!」


カインの後方から、一つの集団が走ってくる。


先頭を走るのは50歳ほどの男、そう、ヘンリーだ。



「…なんとか、危機一髪じゃったな。お主ら!ぼさっとしとらんと、早く助けにいくんじゃ!!」


「「「はい!」」」



後ろにいたものたちに命令を下し、ヘンリーはカインの元へよる。



「大丈夫か?」


「…おじさんは?」


「わしはヘンリー。王宮魔法使いの1人じゃ」


「…ヘンリーさん?」


「そうじゃ」


「…僕のお父さんと、お母さんは?」



足元に転がる、二つの人を見て、どういうことか察する。



「…死んじゃったの?」


「…そうじゃ」


「…もう…会えないの…?」


「……そうじゃ……」



カインはそれを聞くと、両方の目から雫が溢れ出す。

片方は紅く、片方は透明。



声をあげて、泣く。


ヘンリーは頭を撫でて宥めていた。






「お前が、ここで1番強そうだな」


ばっと、顔を上げるヘンリー。



そこには、蝙蝠のような1対の翼を持った魔族がいた。




「…なんじゃ?こっちは忙しいんじゃが?」


「そういうなよ。つまんねえ奴とやりやってもおもんくねえんだ。ちょっと付き合えよ」


「…はぁ……仕方ない……」


ため息を吐いて、立ち上がる。



「ほれ、主は少し下がっておれ」


「……うう………はい………」



言われた通り、ヘンリーから離れる。




「さあ、始めようぜ!俺も、魔法が得意なんだよ!!」


魔族はそういうと、懐から杖を取り出して、魔文を唱え始める。



『風の神よ、我が願いを叶えたまへ。対象の体を切り裂き、砂埃を巻き起こす風の刃をここに!風のやい…』



「遅い」





パァン!!!




「えっ?」



魔族の魔法が発動する前、ヘンリーが即席で作り上げた水の弾丸が、額を貫く。



「ふん。誰が、お前の魔法の完成を待つか。こっちは、忙しいんじゃ」



魔族が使う魔法の欠点は、固有の魔文がないことだ。昔の人類がそうであったように、センスがあるものしか魔法を撃てない。


そして個人が放つ魔法を、個々で作るため、色々と欠点が多い。



それに対して、人類が持つ魔文は作られた当初から、改良が加わっているため、欠点が少ないのだ。




「ヘンリーさん!こっちも終わりました!」



辺りに散らばって、魔族と戦っていた者たちが戻ってきて、報告する。



「うむ。それで、被害は?」


「……村民50人のうち、半数ほどがやられました…」


「チッ……クソ貴族どもが……何が、平民なんて助けなくていい、じゃ。殺してやろうか」



忌々しげに、顔を歪めるヘンリー。その顔に、他の者たちは恐怖する。



「…それで、後ろの彼は?」


気まずい雰囲気をどうにかするため、話を変える。



「おお、そういえば何も言っておらんかったな。彼は……ええと、名前は?」


「……ぐすっ………カインです……」


「カインか。で、カインは親を殺された。奴らにな」


「……そうでしたか……」



顔を、俯ける。



「…それで、カインをどうするんですか?」


「う〜む……とりあえずこの村の復興は、特に何もしてないのに威張ってる国の騎士どもに任せるとして、カインをどうするかのう……」


「ヘンリー様が引き取ればいいじゃないですか?」



誰かがそんな事を言い出す。



「確かに。それはアリですね」


「…いや、なしじゃろ…」


「子供ですよ?癒されますよ?かわいいですよ?」


「………」


「それに、ヘンリーさんは結婚してないでしょう?なら、いい機会じゃないですか」


「…カイン。主はどうしたい?」




困ったヘンリーは、当事者であるカインに聞く。



「……僕は、どっちでもいいです……」


「う〜む……その返答が1番困るんじゃが……」


「いいじゃないですか。魔法でも教えてあげれば。優秀になるかもしれませんよ?」


「おじさん、魔法使えるの?」



突然、カインが会話に入ってくる。



「そうじゃぞ?わしが1番強いと言っても過言ではないはずじゃ」


「…じゃあ、僕に魔法を教えてください…」


「ほ?何故?」


「……復讐するためです。奴らを殺す手段が欲しいです」



真剣な表情で訴えかける。



「……そうか……わかった。主を、わしの次に強い魔法使いにしてやる」


「ガチで引き取るんですか?!」


「今更なんじゃ?言い始めたのは主じゃろ?それに、カインを放っておけないじゃろ。こんな怨念もりもりのやつを置いておいたら、何しでかすかわからんしな」


皆、呆気に取られる。




「それより。とりあえず、寝泊まりできる場所と、ある程度生活できるようにはしていくぞ。さっさと終わらせて、あとは騎士団にお任せじゃ」


「「「了解です!」」」



ヘンリーの命令に従って、行動し始めた。



整えている間、カインは静かに眠る2人をじっと眺めていた。

結構時間かかりました。

ただ無双を期待してる人、もうちょっと待ってください。

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