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見た目騙しの魔法使い  作者: 積む摘む
3 楽しい今と、辛い過去
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遅くてすみません。


コンコンコン、と部屋の扉を叩く音。


一向に返事が返ってこないので、扉を開けるカイン。




「戻りました」


「……おかえり……お疲れ」



部屋に入ってきた者に視線を向けず、紙の上でペンを踊らせるルイナ。

どこからか取り出した眼鏡をかけている。



机を挟んで、対面に座る。



「…それで、完成したんですか?」


「……ん……」


ペンを置き、机の端に置いてあった物を持ってくる。


「これ。ちょっと使ってみてくれない?」


「分かりました」


ルイナはそれを渡すと、再びペンを取り出してリズミカルに動かす。

望遠鏡を手に取って、窓の外を見る。



「あれ?」

しかし、ぼやけた景色しか見えない。



「あ、言い忘れてた。それ、その目に近いところにあるボタンを押して。それで見れるよ」



言われた通りに、ボタンを押して再び、望遠鏡を覗く。



「おお。遠くまで見えますね」


「あと、オプションとして、幾つかボタンあるでしょ?押したものによって倍率が変わるから」



試しに、別の物を押す。


すると、先ほどあっていたピントがズレる。



「えーっと、ボタンは4つあるから……4段階で調整可能だよ。頑張ればもっと増やせるかも」


「なるほど…うまく行ったようですね」



望遠鏡の確認を終わらせ、再び椅子に座る。




小さな部屋に、ペンが紙の上を踊る音が鳴り響く。





「……今は何してるんですか?」


「時間があるから、新しい魔道具の設計」


「…できるんですか?」


「理論上は」


紙に視線を落としたまま、返事する。


再び、ペンの音しか聞こえなくなる。




ルイナの様子を、じっと眺めるカイン。





「………こんなところかな……」



ペンを置き、伸びをするルイナ。


「…完成ですか?」


「いや、まだ作ってないから完成とは言わないかな」


「そうですか…」




完成した図面をじっと眺めるルイナ。



前に倒した顔に、長い緑の髪が掛かる。

それに気にすることなく、図面を眺める。



目にかかった髪を、丁寧にどかすカイン。


「………どうしたの?」


「いや、かわいいね。眼鏡も似合ってるよ」


微笑みを浮かべるカイン。



「……ありがと……」


ぽっと頬を染めるルイナ。




「その眼鏡、何処から持ってきたの?」


「…持ってきたって言うか……持ってたんだよね。ポケットに入れてたんだ」


「へ〜そうなんですね。誰かからの貰い物ですか?」


「うん……昔、お母さんから貰ったの…」


「…そう、でしたか…」


よくないことを聞いたと思い、気まずくなるカイン。



「これはね、長時間物を見てても、疲れないようになってるんだ。お母さんが、4歳の誕生日にくれたんだ」


「大切な物なんですね」


「うん。カイン君は、何か大切な物はあるの?」




考えたこともなかったことを聞かれて、返答に悩む。


「そう、ですね……。僕にとって大切なものは……みんな…ですかね」


「みんな?」


「そう。師匠や、ファインさん、レザリーさんに、ディネさん。他にも、準筆頭のみなさん。みんなが、僕の大切なものというより、人、ですね」


「そうなんだね」



微笑みを浮かべるルイナ。



「あ、でも、もっと大切なものがありますね」


「なになに?」


「それは、ルイナです」





一瞬、意味が理解できないと言わんばかりに、きょとんとする。


しかし、すぐに意味を理解して、顔を赤くする。


「あ、ありがと…」


「ふふっ……あ、そういえばなんですけど」


「なに?」


「ちょっと、作ってほしい魔道具があって」



そう言い、紙に思いついたことを書き込んでいく。



「なになに……複数の魔法が打てる魔道具?」


「そうです。これ一つで、いろんな種類のものを撃てれば、複数持つ必要がなくなりますからね」


「あー、使えない人ようのやつね。一個で一つは効率悪いからってことね。ちょっとやってみようかな」


「魔法の内容については、僕からいろいろ希望があるので任せてくれますか?」


「いいよいいよ。できれば、魔文の短いやつがいいね」


「分かりました。それじゃ、よろしくね」


「うん。あ、でも先に私は思いついたやつを作ってからね」


「分かりました。それじゃあね」





早速、魔道具の製作に取り掛かるルイナを部屋に残して、出る。


部屋を出た途端、顔が熱くなる。


「……ルイナ、可愛すぎる……あんなの、反則でしょ…」



必死に、赤くなる顔を隠して、自室に戻るカインだった。


どうでしたか?できれば感想ください。

明日は、2本かもです。

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― 新着の感想 ―
[一言] キュンキュンする場面がいくつかありましたが、最後のところでもっとキュンキュンしました!
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