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見た目騙しの魔法使い  作者: 積む摘む
3 楽しい今と、辛い過去
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辺りを、太陽の光を奪った月が照らす時間。ひんやりとした空気が漂っている。




薄暗い廊下を小さな1つの人影が、歩いている。暗闇に蒼い光が二つ、光っている。


ちょこちょこと、とある場所を目指して歩く子供。





人影は、一つの部屋の前で止まる。


小さな背を精一杯伸ばして、ノッカーを掴み、引っ張る。



部屋の中から、光が漏れ出て、人影の正体がはっきりとわかる。



「なんじゃ、カイン?こんな時間に何用じゃ?」


いつもなら、尋ねることのないカインの訪れに驚くヘンリー。



「師匠、夜遅くすみません」


「よい。それより、中に入るが良い。外はまだ寒いじゃろ」


「では、お言葉に甘えて…」



部屋の中に入るカイン。

一瞬、外の暗さと中の明るさの差で、目が見えなくなるが、すぐに戻る。



「それで、なんのようじゃ?」


ヘンリーの部屋に備え付けられた椅子に腰掛けたカインに、飲み物を用意し、用を聞く。


「ルイナのことで、少し相談で…」


「おお、どうじゃ?うまくいっておるか?」


興味深そうに尋ねる。


「まあ、そうですね…彼女、精神的に結構辛そうですけど…」


「…そうか……まあ、頑張るんじゃ…」



沈黙が2人の間に流れる。



「…あ〜それで、今日来た理由は?」


「えっとですね……魔道具を作る場所ってありますか?」


「ほ?」



予想外すぎる質問に困惑する。


「…何故…?」


「彼女の、趣味が魔道具を作ることらしいんです」


「おお、そういうことか……」


「…どう…ですかね…?」


「あるぞ」


「ですよね。ないです………え?」


期待してなかったカインは、予想した答えと違ったことに困惑する。



「あるぞ。魔道具を作る場所は」


「あるんですか?」


「うむ。昔、趣味で新しいなんかを作ろうとしたんじゃ。主の義眼もそうじゃ」


「これも?」



右目を手で抜き取るカイン。

知らないものからしたら、恐怖ものだろう。



「そうじゃ。……あんまり、みてて気分のいいものじゃないから、戻しとくれ」


「ああ、すみません…」



取り出した義眼を再び戻す。



「それで、場所の提供と、軽い素材の提供でええかな?」


「そうですね。そんなに提供してくれれば、十分だと思います」


「場所は……あの立ち入り禁止になってる部屋じゃ。主の隣じゃな」


「ああ、あそこですか…あそこ、なんで立ち入り禁止になってるんですか?」


「ん?ああ、色々危険物があってな。魔道具を作るものじゃないとわからんものが色々あってな」


「そういうことですか…。わかりました。ルイナにも注意を呼びかけておきます」


「うむ………さて、主はそろそろ寝るんじゃ。まだ、子供じゃからな」


「言われなくても分かってますよ。それじゃあ、お邪魔しました」




静かに扉を閉めて、暗闇を進む。




暗闇に一切躊躇いを持たずに、自分の部屋まで歩く。





扉を開ける。

部屋は、月の光によって薄明るく照らされている。



「………すう………すう………」


大きなベッドで、寝息を立てる少女。


緑色の髪が、月の光を反射して美しく輝いていた。




「…君を…1人には…させない…」


その綺麗な髪を、撫でながら、ぽつりとつぶやいた言葉は、闇に消えていった。

ギリギリすぎる。

明日は、2本かな…

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