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「ぬぁぁぁ……疲れた………」
買ってきた物と一緒にベッドに飛び込むルイナ。
「はいはい。先に買った物をまとめますから、寝転ぶのは後にしてください」
すぐさま、買ってきた物を整理し始めるカイン。
「はぁい…」
のそのそと起き上がって、カインの手伝いを始める。
カインが使っていたタンスの半分以上は何も入っておらず、ガラガラだ。
そこに、買ってきた物をポンポンと詰め込んでいく。
「なんで、こんな大きなタンスがあるの?」
「師匠が買ってくれたんですよ。まあ、ここまで大きな物は不必要でしたが、今となってはありがたいですね」
「カイン君の師匠ってどんな人?」
服を手渡しながら尋ねる。
「どんな人、ですか……強いていえば…魔法馬鹿ですかね……それでいて、僕の魔法の師匠です」
「カイン君が魔法馬鹿になった理由ってもしかして、師匠のせい…?」
「いえ、それは違います。まあ…確かに一理あるかも知れませんが…」
ーーー完全に否定はしないんだ…。
顔色ひとつ変えず、淡々と物を手渡しする。
「…ん?じゃあ、師匠はカイン君より強いってこと?」
「そうですよ。あの、老人ですよ。あの魔族が来た時にいた」
「…………ああ!あの人なんだ!へ〜あの人がカイン君の師匠なんだ」
忘れかけていた記憶がフラッシュバックされる。
「少し変ですが、自慢の師匠ですよ」
「そうなんだね」
「…ルイナは、誰かから魔道具の使い方を教えてもらったんですか?」
「…うん。お父さんに教えてもらったんだ」
「お父さん?そういう仕事だったんですか?」
「うん。お父さんが魔道具を作る仕事をしてて、私がそれに興味を持ったのが始まりだった。あの日、お父さんの部屋で、魔道具を初めてみた日は忘れられない出来事だったよ…」
遠い昔のことを思い出すかのように語る。
「それから、簡単な魔道具の作り方を色々教えてもらった。他にも、どんな作りになっているかとか、どんな素材を使ってるとか、いろんなことを教えてもらったな………はじめて、自分で作った魔道具が動いた時はとっても嬉しかった。お父さんも、お母さんも褒めてくれた……でも………」
だんだんと、表情がくもっていく。
「……でも……もういない………みんな、私を置いてどこかに行ってしまう……」
「………」
窓の外に向けられた瞳から、雫がこぼれ落ちる。
「……カイン君…」
「…なんですか…?」
カインと目を合わせて、カインの手をぎゅっと握る。
「……カイン君は、私を…置いていかないよね……」
握りしめる力が強くなり、手は震える。
「…もちろんです。ルイナを1人にはさせません」
手を、握り返す。
「……だって、僕は歳を取るのが遅いですから」
キョトンと、するルイナ。
「……ふふっ…そうだったね……君は…」
ルイナはにっこりと微笑んだ。
直書きなので、誤字があったら報告してください。
5時は厳しいので、7時か8時か9時かになりそうです。




