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見た目騙しの魔法使い  作者: 積む摘む
3 楽しい今と、辛い過去
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「そろそろ、見覚えのある場所になってきましたか?」



歩くこと数十分、王宮に続く大通りを外れ、少し減った人だかりの中を進む。


「う〜ん……もうちょっとで思い出せそうなんだけど………ちょっと、あそこの角を曲がってみない?」


「わかりました」



てくてくと、歩いて角を曲がる。



「どう?何かわかる?」


「あれ…?なんだか見たことあるような……確か、あそこを曲がったところ…?」



心臓の鼓動とともに、ルイナの歩く速度も速くなっていく。



カインを握る手には、汗が浮かぶ。




「……みんなに………また……あいたい!」



ほとんど走るのと同じほどの速さで、勢いよく飛び出す。





「あ、れ…?」



ルイナは、そこで目にした光景に思わず目を見開いた。


「……ここが“孤児院だった”場所ですか?」


「……そう……」



元々、孤児院があった場所は更地になっており、そこに建物があった形跡は、ほとんどなかった。





「……みんな……どこ行っちゃったんだろう……」


その光景を呆然と眺めながら呟く。その様子は、どこか哀愁が漂っていた。





「おや、そこにいるのは…ルイナさん、ですか?」



突然、横から声が聞こえ、2人ともばっと顔を向ける。


「院長!」


「やっぱりそうでしたか。私の目に、迷いはなかったようです」



暖かい微笑みを浮かべる、院長。顔や手の所々には皺が刻まれており、歳をとっていることがわかる。




「…院長………みんな、どこに行ったんですか…?」


「……彼らはあの後、それぞれ新しい親に引き取られました…」


「…そうですか……みんな、大丈夫なんですね……」


胸を撫で下ろすルイナ。



「今のところは、ですけどね…。ところで、ルイナさんは何処かに引き取られたんですか?」


「…まあ、あの後、いろんなことがありましたけど、今はこのカイン君が世話をしてくれてます」


「君が、ですか?先ほどから気になってはいましたが……誰なんですか?」



院長の目が大きく開かれ、それと同時に困惑してくる。


「どうも、王宮魔法使い準筆頭のカインです。訳あって、ルイナを引き取ることになりました」



さらに、院長の顔が驚愕に染まっていく。


「ほんと、ですか?子供の冗談…」


「院長、ほんとですよ。あと、カイン君は15歳らしいですよ?」


驚きの連続で、物を言えなくなる院長。



「院長?大丈夫ですか〜?」


「……もしかして、君はあの噂の……見た目騙しのカイン、ですか?」


ーーーどっからその情報が流れたんですかね。風の噂ってやつですかね。



「そんなふうに知られてるんですね。多分あってますよ」


苦笑しながら答えるカイン。



「ははぁ…そうでしたか………では、何があって、カイン君が引き取ったんですか?」


「それは……」




何があって、カインが引き取る事になったかを伝える。



「…なるほど……そんなことがあったんですか……あの時は、ふらっといなくなって心配したんですよ?」


「…ごめんなさい…」


「まあ、無事で何よりです。これで、みんなが引き取られたって事ですね」


再び、口元に暖かい微笑みを浮かべる。




「……すみませんね……ここを潰してしまって…」


「…それを言えば私だって、役に立てなくてすみませんでした…」


「…ルイナさんが謝る必要はないですよ。逆に、魔道具を作って利益を出してくれた事には、感謝しかありません………もっと、私がお金を稼げればよかったんですけどね……」


院長の顔に、苦笑いが浮かぶ。その笑みは自嘲にも見えた。




「…まあ…何はともあれ、皆さんも無事引き取り先が現れてくれて、本当に助かりましたよ。これで、私は安心です」


「そうですね……」


2人の視線は、更地をじっと眺めていた。

脳内ではつい先日まであった、ここでの賑やかな雰囲気が浮かび上がってくる。


今は、賑やかな雰囲気など一切なく、風が強く吹きつけていた。




「…カイン君、と言いましたね」


「なんでしょうか?僕に何かありましたか?」


「………ルイナさんを、頼みましたよ……彼女、過去に色々あった人ですから…」


「…知ってます…本人から聞きましたから」


2人の視線は、未だ、更地を眺めるルイナに向けられる。

ルイナは、それに気づかないまま、じっと眺めていた。



「…それでもですよ……みんな、彼女のことを理解するのは難しいですしね…」


「わかりますよ」


「…え?」


「僕には、ある程度ですが、彼女の気持ちは理解できます」


「……15歳しか、生きていない君に、何がわかるんですか?」



少しの怒りがこもった声。


それに怖気つくこともなく、カインは院長をしっかりと真正面から見る。



「実際に、体験したことがあるからです。それだけのことです」


カインに向けられる視線に、驚きが含まれる。



「…そうでしたか…、心配した私が馬鹿でしたね…」


苦笑いを浮かべ、頭をかく。



「…確かに、ルイナのことを全て理解することはできません。………でも、実際に殺された人じゃないとわからないことは、わかります」


真剣な眼差しを向ける。



「だから、出来る限りのことはします。彼女から貰ったものは大きいですしね」


「…頼みましたよ?絶対に、彼女を1人にしないでください」


「もちろんです」



しっかりと頷く。決意のこもった目の奥は、蒼く輝いていた。


長い2本。

明日は、2本ですかね。できれば出します。

ブクマ登録してくれれば。3本になるかもです

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