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街道を歩く2人。
「ところでさ、ルイナは何か趣味でもある?」
「あるよ。魔道具を作ること」
「え?」
「だから、魔道具を作るのが趣味なの!」
にわかにも信じられないといった表情で、ルイナを見る。
「冗談でしょう?」
「あー!信じてない!」
「…いや、そりゃあ信じられないですよ。だって、魔道具を作る仕事はありますけど、趣味で作るなんて聞いたことないですよ」
「そう?魔道具なんて仕組みがわかれば1発で作れるじゃん」
「……いや、そんなこと言われてもわからないんですけど…」
魔道具に興味を持ったことのないカインは、作り方など全く知らない。
そういう道具としか考えていないのだ。
「…それで、ルイナはどんな魔道具を作れるんです……って、どこいくんですか!」
するりと、握っていた手を解き、一目散に走り出すルイナ。
「ちょっと、危ないですよ!」
その後を追いかけるカイン。
流石に人が多い中、魔法をぶっ放して加速しようとはしない。
数十m進んだ後、ルイナの足が一つの店の前で止まり、しゃがみ込む。
「突然どうしたんですか?」
ルイナと視線を合わせるためにしゃがむカイン。
ルイナの視線は、まっすぐと一つの商品棚を見つめていた。
「…ああ、魔道具ですか」
「そうだよ!魔道具だよ!こんなにたくさんあるところは初めて!」
目をキラキラさせながら、並べられた魔道具たちを眺める。
「なかなか、興味深いものが多いわね!これは何かしら?」
そのうちの一つを手に取り、まじまじと観察する。
「…そんなに興味深いものですか?」
魔道具の良さがよくわかっていないカインは、その様子に戸惑いながらも尋ねる。
「そうだよ!これは多分ね、ここの機構が他の箇所からの信号を受け取った時に、一定の周期で光を照らしてくれる感じでね。他にも、うんたらかんたらどうたらこうたら……」
まるで、水を得た魚の様に話し始めるルイナ。
その様に若干引きながらも、頷くカイン。
ーーーう〜ん……これは……なんだか、ディネさんの気持ちがわかった気がします。ディネさんもこんな気持ちだったんでしょうかね…
苦笑しながらも、永遠と喋り続けるルイナに相槌を打つ。
その後、ルイナの話は1時間以上続いた。
「どう?少しは魔道具の良さがわかったんじゃない?」
ルイナは、一通り喋れてご満悦の様だった。
「……そうですね」
ーーーほとんど何言ってるかわかってないですが。
言ったら、また続きそうだと思ったカインはその言葉をグッと堪える。
「あーあ、また魔道具、作れないかな〜」
「前にも作ってたんですか?」
「うん。孤児院でも、簡単なものを作って、売ってもらってたんだ」
「へ〜そうなんですか」
「興味なさそうだね」
「いや?そんなことないですよ。それに、ルイナもすごいですね。そんな幼い頃から、自分でお金を稼いでいたんですね」
「えへへ」
素直に感心するカイン。
ルイナは褒められて、嬉しそうな顔をする。
「ねえねえ、カイン君。魔道具を作る場所、用意できない?」
「そうですね………一応、師匠に聞いてみますけど…あんまり期待しないでくださいね?」
「やったー!」
ぴょんぴょんと飛び跳ね、喜びを表現する。
その様子を微笑ましく思うカイン。
「そういえば、魔道具は買わなくていいんですか?」
「いいのいいの。魔道具は買うんじゃなくって、作ってなんぼだからね!」
「はあ……」
なんともよく分からない理論に、困惑するカインだった。
なんでこうも、ナード君みたいな人が多いんですかね?
もう1話書くかどうか…。ブクマ増えたら書くかも




