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見た目騙しの魔法使い  作者: 積む摘む
3 楽しい今と、辛い過去
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「ほら、早く行こっ!」


「そんなに焦らなくてもいいじゃないですか…」


城門を出て、城下町へと歩く2人。

眠気が無くなったルイナは、別人のような元気さでカインを引っ張る。


坂道で転ばないかヒヤヒヤするカインだった。



「とりあえず、服を買えればいいんですよね」


「そうね。他にも、街をぶらぶらしていろいろ見てみたいな。……あとは……一度、孤児院に行ってみたい」


「分かりました。それで…どこで買いたいとかってある?」


「テキトーでいいよ」


ーーーう〜む……困ったな………まあ、どこか良さげな場所に行きますか。



そう考えると、ルイナに連れられるがままに歩いて行った。




王宮から民家の方へと近づくにつれて、人が多くなっていく。


朝から活気のある街道を、人の隙間を縫ってするすると移動していく。




「あっ、あそこがよさそう!」


ルイナが指差した先には、ごく普通の洋服屋。

様々な種類、大きさの服が棚に並べられていた。




「う〜ん…どれにしようかな…」


子供用の服を手に取っては戻しを繰り返す。



「なんでもいいですよ」


「あ、そういえばなんだけどさ…」


「はい?」



気まずそうに視線を逸らすルイナ。


「私……お金なかった」


「そうだろうと思いましたよ……大丈夫です。ちゃんと持ってきましたから」


「……ごめん…」


落ち込み、顔を下に向けるルイナ。


「仕方ないですよ。それに、これでも僕、師匠のお手伝いをして得た駄賃が、結構あるんです。心配しなくていいですよ」


「…ありがとう」


「いえいえ」



その後もルイナの服選びは難航し、小一時間ほどかかった頃、ようやく終わった。


「…ごめん、ちょっと長すぎたかも…」


「大丈夫です、時間はいっぱいありますから。それに、ルイナの様子を見るのも、面白かったですよ」


「…それってどう言う意味?」


顔を少し染めつつ、ぶすっと頬を膨らませる。



「ルイナの想像にお任せします。さて、それじゃ行きますか」




紙袋を片手に持ちながら、朝ほど混雑していない街道を歩く2人。


気になった店に入って、気になった物を眺めてを繰り返す。

ルイナはお金を持っていないことを気にかけて、あまり買おうとはしなかった。



「あ、あれ美味しそう…」


しかし、甘いものは別、と言わんばかりの表情。

視線の先にあるのは、屋台に並べられた溶かした飴を果実に纏わせたお菓子。

辺りに甘い香りを漂わせている。



「いいですよ。ちょっとぐらいなら」


「やったー!」


「おじさん、一本ください」



屋台を切り盛りする、売っている物と見た目が合わない店主にお金を払う。



「あいよ!どれがいいんだ?」


「…ルイナはどれがいい?」


「う〜ん……あの何個かついてるやつ!」


ルイナが選んだ物は、小さめの果実が5つほど連なったもの。



「じゃあ、それで」


「おう!さあ、どうぞ」


「ありがとうございます!」



満面の笑みで受け取るルイナ。その様子に、店主のいかつい顔に笑みが浮かぶ。



「ほら、もう一本おまけをやるよ!」


「いいんですか?!ありがとう、おじさん!」


「いいってもんよ。いい笑顔が見れたからな!」


先ほどとは別の物を渡す店主。



「ありがとうございます」


「おう!楽しんでな!」


「はい!」



ルイナはるんるんな気分になり、スキップまで始める。


「一旦、どこかに座りますかね」


「そうね!」



道の端に積んであった木箱にちょこんと腰掛け、お菓子に齧り付く。




「……おいしー!すごい!こんなものがあっただなんて…!」


感動で、目を潤ませるルイナ。この国では甘味のものが少なく、食べたことがなかったルイナにとっては驚愕ものだった。



「よかったですね」


「カイン君は食べないの?」


「僕はいいですよ。そこまで、甘いものが好きなわけじゃないですしね」


「いや、食べてみるべきだよ!はい、これあげるから!」



さっき齧った物をカインに渡し、もう一個の方を味わう。



「うん、美味しい!……食べないの?」


「…食べますよ」


甘いものが特別好きではないカインは、渋々といった様子で齧る。



「……あま……」


「嫌だった?嫌なら残り食べるけど」


「…いや……確かに、アリですねこれは…」


「でしょでしょ!こっちも食べる?」


「…では…」



もう片方も齧る。


「…なるほど……これは……」



それだけ呟くと、無心で齧り付くカイン。



「ふふっ。夢中になっちゃって」


ルイナも残っていた物を食べ尽くす。



「…なかなかに美味でした」


食べ尽くし、くしをぼおっと眺めるカイン。



「でしょ。ちょっとは甘いものの良さがわかったんじゃない?」


「そうですね。確かに、これはアリですね。まあ、食べ過ぎは良くなさそうですが」


「うぐっ」



ごもっともな正論に、唸らされるルイナだった。

結構ギリギリ。

明日は一本だと思います。感想待ってます。


ちなみに、店主は“ちゃんとした”人です。これを見ている変な人はぎくっとしたでしょう。した方はいいねでも押してください。

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