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「ほら、早く行こっ!」
「そんなに焦らなくてもいいじゃないですか…」
城門を出て、城下町へと歩く2人。
眠気が無くなったルイナは、別人のような元気さでカインを引っ張る。
坂道で転ばないかヒヤヒヤするカインだった。
「とりあえず、服を買えればいいんですよね」
「そうね。他にも、街をぶらぶらしていろいろ見てみたいな。……あとは……一度、孤児院に行ってみたい」
「分かりました。それで…どこで買いたいとかってある?」
「テキトーでいいよ」
ーーーう〜む……困ったな………まあ、どこか良さげな場所に行きますか。
そう考えると、ルイナに連れられるがままに歩いて行った。
王宮から民家の方へと近づくにつれて、人が多くなっていく。
朝から活気のある街道を、人の隙間を縫ってするすると移動していく。
「あっ、あそこがよさそう!」
ルイナが指差した先には、ごく普通の洋服屋。
様々な種類、大きさの服が棚に並べられていた。
「う〜ん…どれにしようかな…」
子供用の服を手に取っては戻しを繰り返す。
「なんでもいいですよ」
「あ、そういえばなんだけどさ…」
「はい?」
気まずそうに視線を逸らすルイナ。
「私……お金なかった」
「そうだろうと思いましたよ……大丈夫です。ちゃんと持ってきましたから」
「……ごめん…」
落ち込み、顔を下に向けるルイナ。
「仕方ないですよ。それに、これでも僕、師匠のお手伝いをして得た駄賃が、結構あるんです。心配しなくていいですよ」
「…ありがとう」
「いえいえ」
その後もルイナの服選びは難航し、小一時間ほどかかった頃、ようやく終わった。
「…ごめん、ちょっと長すぎたかも…」
「大丈夫です、時間はいっぱいありますから。それに、ルイナの様子を見るのも、面白かったですよ」
「…それってどう言う意味?」
顔を少し染めつつ、ぶすっと頬を膨らませる。
「ルイナの想像にお任せします。さて、それじゃ行きますか」
紙袋を片手に持ちながら、朝ほど混雑していない街道を歩く2人。
気になった店に入って、気になった物を眺めてを繰り返す。
ルイナはお金を持っていないことを気にかけて、あまり買おうとはしなかった。
「あ、あれ美味しそう…」
しかし、甘いものは別、と言わんばかりの表情。
視線の先にあるのは、屋台に並べられた溶かした飴を果実に纏わせたお菓子。
辺りに甘い香りを漂わせている。
「いいですよ。ちょっとぐらいなら」
「やったー!」
「おじさん、一本ください」
屋台を切り盛りする、売っている物と見た目が合わない店主にお金を払う。
「あいよ!どれがいいんだ?」
「…ルイナはどれがいい?」
「う〜ん……あの何個かついてるやつ!」
ルイナが選んだ物は、小さめの果実が5つほど連なったもの。
「じゃあ、それで」
「おう!さあ、どうぞ」
「ありがとうございます!」
満面の笑みで受け取るルイナ。その様子に、店主のいかつい顔に笑みが浮かぶ。
「ほら、もう一本おまけをやるよ!」
「いいんですか?!ありがとう、おじさん!」
「いいってもんよ。いい笑顔が見れたからな!」
先ほどとは別の物を渡す店主。
「ありがとうございます」
「おう!楽しんでな!」
「はい!」
ルイナはるんるんな気分になり、スキップまで始める。
「一旦、どこかに座りますかね」
「そうね!」
道の端に積んであった木箱にちょこんと腰掛け、お菓子に齧り付く。
「……おいしー!すごい!こんなものがあっただなんて…!」
感動で、目を潤ませるルイナ。この国では甘味のものが少なく、食べたことがなかったルイナにとっては驚愕ものだった。
「よかったですね」
「カイン君は食べないの?」
「僕はいいですよ。そこまで、甘いものが好きなわけじゃないですしね」
「いや、食べてみるべきだよ!はい、これあげるから!」
さっき齧った物をカインに渡し、もう一個の方を味わう。
「うん、美味しい!……食べないの?」
「…食べますよ」
甘いものが特別好きではないカインは、渋々といった様子で齧る。
「……あま……」
「嫌だった?嫌なら残り食べるけど」
「…いや……確かに、アリですねこれは…」
「でしょでしょ!こっちも食べる?」
「…では…」
もう片方も齧る。
「…なるほど……これは……」
それだけ呟くと、無心で齧り付くカイン。
「ふふっ。夢中になっちゃって」
ルイナも残っていた物を食べ尽くす。
「…なかなかに美味でした」
食べ尽くし、くしをぼおっと眺めるカイン。
「でしょ。ちょっとは甘いものの良さがわかったんじゃない?」
「そうですね。確かに、これはアリですね。まあ、食べ過ぎは良くなさそうですが」
「うぐっ」
ごもっともな正論に、唸らされるルイナだった。
結構ギリギリ。
明日は一本だと思います。感想待ってます。
ちなみに、店主は“ちゃんとした”人です。これを見ている変な人はぎくっとしたでしょう。した方はいいねでも押してください。




