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「…あ、あのさ…カイン君って何歳なの?」
カインの部屋に続く王宮の廊下を歩いている途中、ルイナはおずおずと言って様子で聞く。
「気になりますか?」
「うん。あの、お爺さんも不思議なこと言ってたから…」
「こう見えても僕、15歳です」
ルイナの目が驚きで大きく開かれる。
「え?嘘でしょ?」
「ほんとですよ?まあ、こんな見た目で信じられないと思いますけど」
「…じゃあ………カイン君って何者なの?」
ルイナの疑問にどう答えるか悩むカイン。
「う〜ん…………何者、ですか……………強いていうなら…………魔法使い、ですかね…?」
「……そうじゃないんだけど…………なんで、そんなに幼い見た目なの?」
「…魔力が多いからとしか言いようがないですね。それ以上、わかってません」
「そうなんだ。私は、これでも11歳だよ」
「えっ?」
ルイナの見た目は何処からどうみても、8歳にしか見えない。
まじまじと、ルイナの姿を見るカイン。
「ふふっ。みんな、そんな反応をするよ。私のこれは、生まれつきかな。昔から、若く見えるって言われてたの。…まあその代わりに、体が結構弱いんだけどね」
苦笑いしながら話すルイナ。
「…そうなんですか」
「うん。ところでだけど、カイン君ってもしかして、王宮魔法使い?」
「…分かるんですか?」
「ある程度、推測はできるよ。この国にいたら王宮魔法使いが、私たちを守ってくれてることぐらい知ってる。で、魔法が使えて、私を助けてくれる人たちなんて、それしかありえないかな、って思って」
ーーーまあ、そうですよね。そこまで、不思議なことじゃないか。
「そうですね、合ってますよ。僕は王宮魔法使い、準筆頭のカインです」
「準筆頭?」
「筆頭の次に強い人の事ですよ。まあ、4人いるけど」
これまた驚きで、目を見開くルイナ。
「すごい!すごいとは思ってたけど、そんなに強いんだ!」
「そんなにですよ。実際、力がなかったから魔族に親を殺されてるわけだし…」
不意に逸らされた蒼い目は、濁っているように見えた。
「でも、それは昔の話でしょ?」
「それでもですよ。僕がもっと早くから魔法を使えたら…………いっつもそんなことを考え、悔やんでしまうんです…」」
「でも…」
「こんなの、僕が親を殺したようなものです…」
顔を俯かせ、悔やむカイン。
「…けどさ、君にはまだ手段があるじゃない」
ばっと顔を上げる。
カインの目に映ったのは、さっきまで浮かべていた微笑みを消し、真顔で話すルイナ。
「カイン君にはさ、魔法っていう復讐の手段が残されてる。でもね、私にはないの」
淡々と、無表情で話す。
「だから、あまり自分を責めないで。カイン君に必要なのは、過去を悔やむんじゃなくて、受け止めて、今を見る事だよ。だから…さ、これ以上……自分を責めないで……弱い私が……惨めに……思えてくるから……」
ボロボロと、大粒の涙をこぼしながら、言葉を紡ぐ。
「…ごめんね………さっき…会ったばかりの人が……何言ってるんだ……って思う……だろうけど……」
「……ごめん……そうだね……確かに…」
嗚咽するルイナををぎゅっと、抱き寄せて謝るカイン。
「……ごめん……気付かせてくれて、ありがとう…」
「……うん……わかってくれれば……いいんだよ……」
それだけを言うと、ルイナはスースーと寝息を立て始めた。
そんな彼女を、大事に抱き抱えて、歩き始める。
「……過去を受け止めて、今を見る、か……確かに、そうだね……幾ら、考えたって変わらない。なら、これから変えられる未来を、どうするか……」
王宮に付けられた窓から入り込む光は、優しく2人を照らしていた。
これで、2章は完結です。
どうでしたか?楽しんでもらえたでしょうか?よかったら感想おまちしています。
今日は、3章の初めを少し書いて出します。




