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見た目騙しの魔法使い  作者: 積む摘む
2 人を守る仕事
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「…そういえば…カインは何処にいったんだ?」


「ここですよ」



ちょっと離れた場所から、その様を眺めていたカイン。

両手を使い、お姫様抱っこの状態で、なんとか少女を抱えていた。


少女は恐怖から解放され、気が緩んだのかスヤスヤと寝ていた。




「何か、不満でもあるのか?」


不機嫌そうな態度で言葉を返してきたカインに問うゲシン。



「…勝利は勝利でも、完全勝利じゃないじゃないですか……実際、この子が結構危ない状況にあったんですし」


「それでも、生きてるだろ?完全に失われる前に、守れたんだ。だったら、俺たちの勝ちだろ?」


「……まあ、そうですね……」



ぶすっとしながら、渋々頷くカイン。

その様を、ゲシンは苦笑していた。




「それで、この子はどうしますか?」


「そりゃあ、親御さんのところに返すのが普通だろ。ちょっと聞いてみてくれないか?」


「分かりました……おーい、起きてくださーい」




両手が塞がっている状態なので、声でなんとか起こそうとする。



「………う、う〜ん…………」


「起きてください」


「……はっ………私は………」


「起きたようですね」



少女が目を開けると、そこには蒼い目をした子供が顔を覗き込んでいた。



「……君は確か………助けてくれてありがとうございます」


「いえいえ。国民を守るのが、僕らの仕事ですから」


「本当に、ありがとうございました。それでなんですけど……降ろしてもらえますか?」



ずっと抱えられている状態を恥ずかしく思い、降ろしてもらえるように頼む。



「おっと、すみません」


カインは丁寧に降ろす。

ゆっくりと、自分の足で立ち上がる少女。しかし、上手くいかず倒れ込む。



「大丈夫ですか?支えましょうか?」


危機一髪といったところで、カインが支える。



「…ごめんなさい。ちょっと足取りがおぼつかなくて…」


「謝ることじゃないですよ。それで、まずは名前を教えてくれる?」



「私の名前は、ルイナ」



少女、ルイナは緑色の長い髪を、低い背の腰あたりまで伸ばしていた。髪の先は、少し白い色が混じっていた。

深緑の目は、ぱっちりとしている。

体は痩せこけ、どんな生活をしていたか、物語っていた。



「ルイナちゃんね、よろしく。それでなんだけど…君の家は何処かな?」


「……私の家は……ないわ……」


「え…?」


「私、孤児院にいたんだけど…そこが経営破綻で潰れちゃって……で、路上を彷徨ってたところを、魔族に連れ去られたの」



意外すぎる答えに、驚くカイン。すぐに、気不味げに視線を逸らす。


「そう、ですか……失礼だけど、親は…」


「……殺されたわ……私が、5歳のころに」


「………そうですか……すみません…失礼なこと聞いて……」



視線を宙彷徨わせる。しかし、それで場は良くなる事はない。



「…どうしますか、ゲシンさん」


「……親も、家もないなら、こっちで預かるしかないだろ…」


「…そうですよね……師匠!ちょっとこっち来てください!」



ルイナをどうするかについて決めるため、離れた場所にいたヘンリーを呼ぶ。



「なんじゃ?おお、主はあの人質の」


「ルイナです。でなんですけど……彼女………家がないんですよ………親も…」


「なるほどな………」



それだけを聞くと、眉間に皺を寄せ、考え込む。

数十秒の思考の末、天啓のように閃いた提案を口にする。



「カイン、主が面倒を見るか?」


「なんで僕が?」


「いや、今使える部屋がないんじゃ。それに、主とは年齢も一緒じゃろ?」


「…師匠は僕を何歳だと思ってるんですか?」


目を細め、静かなる怒りを表す。




「嘘じゃよ嘘。いや、主らは似ているところが多い。なら、2人でなんとかやっていけるんじゃないかと思ったわけじゃ」


「何処がですか?」


「まず、見た目じゃろ?」

「師匠?」


「嘘じゃよ嘘。いや、主らは若くして親を失っている。そんな主らにしかわかることもあるじゃろ」


からかいを止め、正当な理由を上げる。



「……そう言って、面倒だからとかじゃないですよね?」


「…違うぞ。それで、ルイナはどうじゃ?」



突然、話を振られたことに驚くが、すぐに答える。


「私は…それでいいです。寝泊まりできる場所を提供してくださるなら、それだけでありがたいですし」



苦笑いを浮かべる。


「だそうじゃが、いいな、カイン?」


「………分かりました。これから、よろくお願いしますね」


「こちらこそ、よろしくお願いします」



向き合い、お辞儀する。

その見た目からは、子供たちの挨拶にも見える。




「いろいろ頼んじゃぞ、カイン。王宮の中では、一緒に行動するように」


「なんで、そんなことする必要があるんですか?」


「迷子になるじゃろ。それぐらいやるんじゃ」


「……分かりましたよ…」


諦めの境地で返事をし、ルイナの方を向き。



「それじゃとりあえず、僕の部屋に行きましょうか…」


ーーーあ……ちょっと片付けないと…



未だに足取りがおぼつかないルイナをしっかりと支えて、歩き出した。


はい。

明日はどうですかね。できたら2本出します。

ブクマか評価か感想もらえたら確定です

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