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「…そういえば…カインは何処にいったんだ?」
「ここですよ」
ちょっと離れた場所から、その様を眺めていたカイン。
両手を使い、お姫様抱っこの状態で、なんとか少女を抱えていた。
少女は恐怖から解放され、気が緩んだのかスヤスヤと寝ていた。
「何か、不満でもあるのか?」
不機嫌そうな態度で言葉を返してきたカインに問うゲシン。
「…勝利は勝利でも、完全勝利じゃないじゃないですか……実際、この子が結構危ない状況にあったんですし」
「それでも、生きてるだろ?完全に失われる前に、守れたんだ。だったら、俺たちの勝ちだろ?」
「……まあ、そうですね……」
ぶすっとしながら、渋々頷くカイン。
その様を、ゲシンは苦笑していた。
「それで、この子はどうしますか?」
「そりゃあ、親御さんのところに返すのが普通だろ。ちょっと聞いてみてくれないか?」
「分かりました……おーい、起きてくださーい」
両手が塞がっている状態なので、声でなんとか起こそうとする。
「………う、う〜ん…………」
「起きてください」
「……はっ………私は………」
「起きたようですね」
少女が目を開けると、そこには蒼い目をした子供が顔を覗き込んでいた。
「……君は確か………助けてくれてありがとうございます」
「いえいえ。国民を守るのが、僕らの仕事ですから」
「本当に、ありがとうございました。それでなんですけど……降ろしてもらえますか?」
ずっと抱えられている状態を恥ずかしく思い、降ろしてもらえるように頼む。
「おっと、すみません」
カインは丁寧に降ろす。
ゆっくりと、自分の足で立ち上がる少女。しかし、上手くいかず倒れ込む。
「大丈夫ですか?支えましょうか?」
危機一髪といったところで、カインが支える。
「…ごめんなさい。ちょっと足取りがおぼつかなくて…」
「謝ることじゃないですよ。それで、まずは名前を教えてくれる?」
「私の名前は、ルイナ」
少女、ルイナは緑色の長い髪を、低い背の腰あたりまで伸ばしていた。髪の先は、少し白い色が混じっていた。
深緑の目は、ぱっちりとしている。
体は痩せこけ、どんな生活をしていたか、物語っていた。
「ルイナちゃんね、よろしく。それでなんだけど…君の家は何処かな?」
「……私の家は……ないわ……」
「え…?」
「私、孤児院にいたんだけど…そこが経営破綻で潰れちゃって……で、路上を彷徨ってたところを、魔族に連れ去られたの」
意外すぎる答えに、驚くカイン。すぐに、気不味げに視線を逸らす。
「そう、ですか……失礼だけど、親は…」
「……殺されたわ……私が、5歳のころに」
「………そうですか……すみません…失礼なこと聞いて……」
視線を宙彷徨わせる。しかし、それで場は良くなる事はない。
「…どうしますか、ゲシンさん」
「……親も、家もないなら、こっちで預かるしかないだろ…」
「…そうですよね……師匠!ちょっとこっち来てください!」
ルイナをどうするかについて決めるため、離れた場所にいたヘンリーを呼ぶ。
「なんじゃ?おお、主はあの人質の」
「ルイナです。でなんですけど……彼女………家がないんですよ………親も…」
「なるほどな………」
それだけを聞くと、眉間に皺を寄せ、考え込む。
数十秒の思考の末、天啓のように閃いた提案を口にする。
「カイン、主が面倒を見るか?」
「なんで僕が?」
「いや、今使える部屋がないんじゃ。それに、主とは年齢も一緒じゃろ?」
「…師匠は僕を何歳だと思ってるんですか?」
目を細め、静かなる怒りを表す。
「嘘じゃよ嘘。いや、主らは似ているところが多い。なら、2人でなんとかやっていけるんじゃないかと思ったわけじゃ」
「何処がですか?」
「まず、見た目じゃろ?」
「師匠?」
「嘘じゃよ嘘。いや、主らは若くして親を失っている。そんな主らにしかわかることもあるじゃろ」
からかいを止め、正当な理由を上げる。
「……そう言って、面倒だからとかじゃないですよね?」
「…違うぞ。それで、ルイナはどうじゃ?」
突然、話を振られたことに驚くが、すぐに答える。
「私は…それでいいです。寝泊まりできる場所を提供してくださるなら、それだけでありがたいですし」
苦笑いを浮かべる。
「だそうじゃが、いいな、カイン?」
「………分かりました。これから、よろくお願いしますね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
向き合い、お辞儀する。
その見た目からは、子供たちの挨拶にも見える。
「いろいろ頼んじゃぞ、カイン。王宮の中では、一緒に行動するように」
「なんで、そんなことする必要があるんですか?」
「迷子になるじゃろ。それぐらいやるんじゃ」
「……分かりましたよ…」
諦めの境地で返事をし、ルイナの方を向き。
「それじゃとりあえず、僕の部屋に行きましょうか…」
ーーーあ……ちょっと片付けないと…
未だに足取りがおぼつかないルイナをしっかりと支えて、歩き出した。
はい。
明日はどうですかね。できたら2本出します。
ブクマか評価か感想もらえたら確定です




