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改変しました
「思ったよりも早く来たな」
魔族たちが待機している場所へと、1人で赴くヘンリー。
「ふん!老人を呼び出しといて何を言う」
「おっと、そんな口答えしていいのかなぁ?」
幼子の首に刃物が当てられ、顔が引き攣る。
「…卑怯よな。そんなことをせねば勝てぬなど」
「どうとでも言え。勝てばいいんだよ勝てば」
不敵な笑みを浮かべながら話す主将。
「…そいじゃ、交換じゃ。わしが死ねば、人質を解放してくれるんじゃろうな?」
「…ああ、そうだ。さあ、死ね!ナイフでも必要か?貸してやるよ」
ナイフを取り出し、ヘンリーに投げる。
静かな空間にナイフが落ちる音だけが響いた。
それを拾い上げ、じっくりと眺めるヘンリー。
「ほら、早くやれよ。誰も来ないように言ってんだろ?」
「………」
「……早くしろよ。さもないと、こいつを殺すぞ?」
首筋にかけたナイフを少し引き、血が流れる。
幼子の目に雫が溜まっていく。
「そう焦るでない。まさか、他の者が来るのを怯えておるのか?」
「うるせぇ!!さっさと死ね!クソジジイ!」
「…死ぬのは貴様じゃよ」
「はぁ?何をほざいて…」
「貴様はわしらが人質を取れば、勝手に死んでくれる、勝手に諦めてくれる。そう思ってるおるじゃろ?」
なかなか、言うことを聞かないヘンリーにイライラしてくる主将。
その様を見て、鼻で笑う。
「甘すぎる。こっちはな、そうやすやすと、死ぬような輩なわけがないわい」
「何を言ってる!」
「最後の最後まで、諦めないんじゃよ」
「もういい、殺す!!その判断を後悔するんだ…」
人質の命を断つべく、ナイフを引こうとする。
しかし、ナイフを握っていた手は、肘の辺りで無くなっていた。
「は?」
「これが、諦めない心じゃ」
「何を言って…」
その先が話される事はなかった。
突如、城壁から飛び出た一閃の光が、主将の頭を貫いた。
そのまま、力無く倒れる。
「主将?!」
「どうしたんですか?!」
魔族たちに混乱が走る。
「貴様、何をした!!!」
魔族の1人が聞く。
それを、ヘンリーが答える前に、その答えが現れた。
「よし。うまく行きましたね」
戦場に似つかわしくない見た目の子供。
突如として現れ、倒れる主将から素早く人質を救出し、両手で抱えていた。
「なんとか、間に合いましたよ、師匠」
そこには、見た目と年齢が一致していない彼、カインがいた。




