表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見た目騙しの魔法使い  作者: 積む摘む
1 異質な子供
2/92

2

あと、3つ

2/5


魔法

それは、生物がもつ魔力から造る、常識を覆すもの。



生物はみな、生まれた時から魔力を持っている。

それを魔法の型に流し込み、完成させることで魔法は発動する。



魔法を放つために必要なものは2つ。


1つは魔力。

これがなければまず始まらない。


そして、もう1つは術式。

術式とは、言うなれば鋳型のような物だ。

魔力を流し込むための型を作る必要がある。そこに、魔力を流し込むことで魔法は完成する。



必要なのはこの2つだけだ。

しかし、そう簡単には魔法は撃てなかった。




何故ならば、術式を作るのが難しいのだ。

先ほどにも述べたように、術式は鋳型のような物だ。


一般の人が見様見真似で砂を、鋳るべき凹凸の形を作ることはできないだろう。

それと同様に、普通の人が術式を作ることはできない。




撃てなかった。そう、昔はそうであった。

その常識を覆したのが魔文だ。



魔法文字、と呼ばれる特別な文字で書かれた文。それが魔文だ。


この魔文は、昔の偉い人たちが作り出した叡智の結晶と言っても過言ではない。

これを、読む。それだけで術式が完成するのだ。

そして、完成したそれに魔力を流し込むことで魔法は発動する。



この魔文の登場により、誰でも魔法を使える時代になった。そしてそれと同時に、埋もれた才能が世に出るようになったのだ。魔力の量が多いものの、術式を作れない者がいなくなったのだ。

これにより、各国の戦力は増強され、さらに強くなった。




話は戻って、王宮の魔法修練場。


カインとタイキの対決を、王宮魔法使いたちが見守っていた。



「まずは、魔法精度からだ!ここから、あの離れた的に魔法を当てる試験で勝負だ!」


タイキはそう言い、40mほど離れた直径30cm程の的を指差す。




「まずは俺からだ!ちゃんとみとけよみとけよ!」



そう言い、腰に吊るしてあった杖のうちの一本を取り出す。


杖の先端には、淡く輝く青色の鉱石取り付けられていた。

この杖は、魔法の精度を上げる能力を持った、特別な杖だ。これ一本で立派な家が立つほど高価な物である。



杖を前に掲げ、タイキは魔文の詠唱を始める。



『火の神よ、我が願いを叶えたまへ。魔力よ、万物を焼き貫く槍になりたまへ!火の槍ッ!(スペアオブファイア)』


詠唱が終わり、杖の先に3本の紅く光る槍が生み出され、的めがけて飛んでいく。

自然現象をはるかに凌駕したそれは、見るものを一度は驚かせ、あるものは魅了され、虜になる。

そんな魔法で作られた槍が、飛翔する。





ヒュンッ!!バスン!



飛び出した槍はどれも的の真ん中までとはいかないが、中心に近い場所に着弾する。



「ふーむ。なかなか、タイキも腕を上げたようだね」


一連の流れを眺めていたゲシンがポツリと呟く。


「ああ、そうだな。40mだろ?なかなかの精度の良さだ」


グレンもその言葉に賛同する。

魔法で40mはギリギリ有効射程なのだ。熟練の魔法使いでも100発100中は難しい。

それを杖ありとはいえやってのけたのは、なかなかの実力だ。




「さあ、お前の番だ!さっさと見せてみろ!」


結果に満足し、自信満々のタイキが振り向き、カインに言葉を投げる。



「はいはい、わかりましたよ。せっかちですよね〜」


カインはひらひらと手を振り、指定の場所まで移動する。




そして、片手を前に突き出し、手のひらを正面に向け魔文を発する。



『火の神よ、僕の願いを叶えたまへ。魔力よ、万物を焼き貫く槍になりたまへ。火の槍(スペアオブファイア』


タイキの魔文とは何ら変わらない詠唱を終えると、同様に3本の槍ができる。

彼の目の前に造られた火の槍は、タイキが作ったものよりさらに紅く、輝いているように見えた。


そして、カインはそれを放つ。



ヒュン



空気を切り裂く音が鳴り、槍はそこそこの速度で的に飛来する。



バスン!




いい音と共に、3本の槍は、全て的のど真ん中へと当たった。



「さすが、いつも通りじゃな、カイン」


「はい!ありがとうございます、師匠!」


ヘンリーに褒められ、ニコニコと元気な笑顔を浮かべながら、ヘンリーの元によるカイン。

そして、頭を撫でようとしたヘンリーを露骨に避けるカイン。




それと対照的なのが、見ていた他の者達だ。



「おいおい…まじかよ…。やべーやつだとは思ってたが、杖なしでど真ん中…」


「…さすが、ヘンリー様の養子ですね…」


グレンと、ゲシンは驚きのあまり、思わず呟く。



魔法を撃つ、というのは銃を撃つのと同じようなものだ。



杖は、例えるならば、スコープやロングバレルみたいなものだ。

銃はこれらを取り付けることで精度を上げたり、火力を上げたりできる。

同様に魔法も杖を使うことにより、魔法の精度を上げたり、火力を上げたりすることができるのだ。



銃にスコープを取り付けず、遠く離れた的を当てるのは難しい。

それと同様に、杖なしで遠く離れた的を当てるのも難しい。



しかし、カインは何ら問題ないとばかりに杖を使わず、見事的の中心を射たのだ。


これには、他の者たちも驚きのあまり声が出ない。



「…た、たまたま運が良かったな!」


これには、タイキも同様を隠せない。何とか威勢を保ちながら、カインに言葉をかける。



「たまたまじゃないですよ?それに、今日は1cmほど中心からずれてますしね」


遠く離れた的を見ながら話すカイン。細かいところまで見えているようだった。




「…っく、つ、次は魔法火力だ!おい、あれを持ってこい!」


「っは、はい!」



タイキの子分が慌てて、何かを探しにその場を離れていった。

ぜひ、ブクマ登録、いいね、評価お願いしましす。

追記、改変しました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ