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改変しました
「あっはははははっ!!!」
「うおっ、びっくりするじゃないか。君はそんなに情緒が不安定だったかな?」
「いやいや、こんな光景見て笑わない人なんていないでしょ」
「うーん、ちょっと目が塞がっててわかんない」
狂ったように笑うカイン。その様子にメザリーはギョッとし、すっとぼける。
「……ちいと、主らは速すぎんか?」
「もう少し、ワタシ達の分も残していて欲しかったネ」
「ははっ、早い者勝ちですよ。結構スッキリしましたね」
後から来たファインとレザリーは、カインの様子にドン引きしつつ、獲物がいなくなったことに残念がる。
こんな大災害を起こした本人は、愉悦に浸っていた。
「っ、怯むな!進め!!飛べるものは、城壁に向かえ!!生きている者は突撃ッ!!!仲間の死を無駄にするなッ!!!!後方部隊は、魔法で援護だ!!」
中隊の主将は負けじと、突撃を命令する。
その怒号に釣られ、たじろいでいた魔族たちが再び突撃を始める。
飛んでいた者たちは、今度こそ、撃ち落とされまいと飛ぶ高度を上げ城壁を越えようとする。
それに対抗するようにメザリーとカインの班の者がやって来て、自身の得意な魔法を魔族相手に放ちはじめた。
放たれる一発一発が、的確に敵を撃ち落として行く。
高度を上げたことで距離が空き、さらに戦況は悪化する。
数では負けているが、強さでは負けていなかった。
「…どうやら、まだまだ戦うつもりのようだネ。ワタシも働かないと、文句を言われそうダ」
そういうと、レザリーは杖を取り出し、魔文を唱え始めた。
『土の神よ、ワタシの願いを叶えたまヘ。奴らを殺す、命令に忠実な無機質の人形をここニ。土の人形』
「来イ」
そして、謎のデコボコした球体を放り投げる。
途端、球体に地面の土が纏わりつき、人の形を模っていく。
一瞬にして人の背を軽く凌駕するほどの高さ、大きさの、無機質な土の人形が出来上がった。
「やレ」
右手を振るう。そして人形が動き始める。
頭に二つの光が灯った。
「叩き潰セ」
手を上から下に。
連動するように人形の腕が持ち上がり、眼前まで迫っていた魔族目掛け、振り下ろされた。
そして、命が無くなった。
肉が潰れ、血が地面を濡らしていく。
そこには、かろうじて魔族がいたであろう外見が残っていた。
「暴れロ」
その一言で人形は命令に忠実に動き、魔族たちに死をばら撒いていった。一切の感情は見られない。
うん