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改変しました
「ゲシンさん!奴らはどこまで?」
風の魔法を止め、ゆっくりと減速しながらやってくるカイン。
その後を追って、ディネも走って来ている。
「おお、カインか早かったな。そうだな…距離は大体…1500mといったところか…あと数十分で着くだろう」
「なるほど、結構ゆっくりですね。…となると、敵は奴らの中隊でしょうか?」
「多分そうだろうな……」
そう言いながら、魔族たちの進行を見る。その顔は僅かに、歪んでいた。
「直に皆も来るだろう。そこで、役割の分担をどうするか決めよう」
「分かりました」
数分後、ほとんどの王宮魔法使いが城壁の上に集まっていた。
「よし、ある程度集まったな。ヘンリー様は……」
「危なくなったら来るそうです」
「………そうか…………俺たちだけでなんとかするぞ」
「「「はいっ!!!」」」
筆頭が来ないことを聞き、少し落胆するが、すぐに気持ちを切り替えるゲジン。
「まず、下で戦う者と、ここ、城壁の上で戦う者に分ける。誰か、希望は?」
「はい!!下がいいです!」
元気の良い返事。そう、カインだ。ピンと伸ばされた右腕は何度も上下に揺れていた。
「わかった。まずは、カインだな。他には……」
「じゃあ、ワタシもいかせてもらおうかナ」「わしもいくかのう…」
細く白い腕と、皺が入ったよぼよとした腕が挙げられる。
「レザリーさん!それに、ファインさんも!」
ニコニコ顔のカイン。よほど嬉しいようだ。
「手伝うといったからネ。コレぐらいはさせてもらうヨ」
「補佐はせねばならんしのう」
「…じゃあ、もうカインの4班でいいな?」
カインの班である他の者たちも頷く。
「…あとは、カインの班だけでは危ないから………グレン、お前の班も行ってくれるか?」
「ああ、任せろ!カインにはほとんど仕事はないかもな!」
ガハハ、と笑うグレン。
班員たちは、またグレンさんの無茶に付き合わされることが確定し、疲れた顔をしていた。
「残りの俺と、メザリーの班はここで、飛んでいるやつの対処だ。…………………そういえば、メサリーのやつはどこに行ったんだ?」
「ああ、彼女ならもういったぞ?」
「は?何処に?」
「あそこ」
グレンが指差した先には、砂埃を巻き上げて、1人、魔族の軍へと突撃しようとするの人影があった。
「チッ、あいつは何処までも身勝手なやつだな……まあいい。グレン、予定変更だ。お前らの班は残れ。代わりにメザリーの班を行かせる」
「了解!」
「頼んだぞカイン………………カイン?」
呼びかけた声に返事はなく、振り向いた時には、さっきまでそこにあった小さな人影は消えていた。
「えーっと………カインさんも飛び出して行きましたよ。なんか、『抜け駆けはずるいですよ!』って叫びながら」
それを聞き、呆れるゲシン。
「……なんでこうもせっかちな奴らが多いのか…………俺たちも移動するぞ!」
「「「はい!!」」」
号令に従い、各々が自分の役割の場所へと駆け出した。
今日は、3本かもしれません。
5時か7時にまた会いましょう。