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かいへんしましq
「さあさあ、そうと決まれば早速始めましょう!思い立ったが吉日です!」
「まずは何から?」
「そうですね〜まずは…」
ジリリリリリリッ!!!!
言葉に覆い被さるように、けたたましいサイレンの音が、カインとディネの腕輪から鳴り響く。
この腕輪は、何かあった時に、王宮魔法使いに伝達を行うための物だ。
「……敵襲ですね」
「そうですね…」
「はあ……せっかくいいところだったんですけどね〜」
そういいながら、カインは立ち上がり伸びをし、腕輪に耳を近づける。
『こちら、第1班のゲシンだ。魔族が来ていて、数は100ほど。来れる者は来るように』
この腕輪には、通信機能も付いている優れものだ。
『第4班、カインです。魔族の種類は?』
『パッと見た感じ、飛行型と、地上型のみ。数は100ほどで、種類は半々。来れる者は出来るだけ来てくれ』
それを言い残すと、腕輪からは一切音が鳴らなくなった。
「さて、行きましょうか。100ともなるとある程度、ある程度、戦力は必要ですしね」
そう言いながら、自室に取り付けられた窓を開ける。
「何を…?」
「飛ぶんですよ。あそこ(城壁)まで」
「はい?」
「転移ですよ転移。目に映した方が、座標もわかりやすいですしね」
そう言いながら、窓際に椅子を持って来て、その上に立つ。
「さあ、行きますよ。手を掴んでください」
困惑しながらも、カインの手を掴んだ。
それを確認すると、遠くにある城壁を睨みつけ、魔文を唱え始める。
『領域の神よ、僕の願いを叶えたまへ。僕らが望む場所へ。転移』
瞬間、彼らの視界が白に染まる。
徐々にそれが消えた時には、先ほどまで見ていた城壁の上だった。
「よし、成功ですね。さっさと、みんなが集まってる場所まで行きましょう」
唖然として、口を開いたままのディネに声をかけると、風の魔法を背後に放ち、風に乗って走る。
大人でも全速力を出さないと追いつけないほどの速さで、城壁をかけていった。
「…あ!ちょっ、ちょっと!待ってくださいよ!!」
我に帰ったディネは、置いていかれないように全力で、カインを追いかけ始めた。