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見た目騙しの魔法使い  作者: 積む摘む
2 人を守る仕事
12/92

12

改変しました

「さあ、着きました。ここが僕の部屋ですね。ささ、入ってください」


王宮の離れにあるカインの部屋に辿り着き、カインに促されるままに部屋に入る。



「…結構汚いんですね…」


「そうですか?置いてあるのは魔法に関する本だけですし、そこまで汚いとは思いませんけど?」


カインの部屋はあいも変わらず本が積み上がっており、足の置き場が殆どない。



「まま、そんなことはどうでもいいとして……早速魔法の話をしましょう!」


カインは適当な場所に座り、ディネに座るよう促す。

足の踏み場に困るなか、無理やり本をどかして空間を作る。



「ええと…まずは何を知りたいですか?」


「…ではまず、魔文を創るとは?」


「そのままの意味です。自分で魔文を創り出すんですよ。ほら、コレみたいに」



適当に積み上がっていた本と本の隙間から一枚の紙を取り出す。

そこには、魔法文字が癖のある字で乱雑に書かれていて、ほとんど読めない。



「えーっと……例えばコレなら、火の(スペアオブファイア)をいろいろ改造したものですね。具体的には、魔力を詰め込めるだけ詰め込めるように、大きい術式を作り上げる物です。こっちは、出来るだけ最小限にして、バカスカ打ち込めるように、ちっちゃい術式を作り上げる物です。他には………うんたらかんたらうんたらかんたら…」



言っていることが謎すぎて、思考が止まるディネ。

その様子を気にせず、どんどんと話すカイン。まるで水を得た魚のようだ。もっとも、ここまで活発になるともはや打ち上げられた魚のようにも思える。



「…おーい、大丈夫ですか?ディネさん?」


「…ああ……ああ……」


「ダメみたいですね。ちょっと荒治療ですけど……」


そういい、魔法で水の玉を作り出し、投げつける。



「っわ!ど、どうしたんですか、カインさん」


「大丈夫みたいですね。それじゃ、続きを…」


「ああ、もう十分です!よくわかりました」



まだまだこれからと、嬉々として話そうとするカインを止めるべく、無理やり話を切る。



「そうですか?まだ物足りないんですが」


「ええ、もう十分わかりました。それで、質問なんですが…どうやって魔文を創ったんですか?何か書物にでも書いてあったんですか?」


「自分でいろいろ試してみました」


「……は?」



何を言っているかわからないという様子のディネ。

それはそうだろう。ここ最近、新しい魔文が創られたという話は彼が生きてきた中で、聞いたことがない。


それを、カインが自分で試して創ったというのだ。



「え?冗談でしょう?」


「がちですよ」


「…どうやって、試したんですか?」


「まず、いろんな魔道書に書いてある魔法文字を書き出して、適当に組み合わせて新しいのを創りました。結構、失敗もあって爆発とかしましたけど、いいものはできました。なんせ、魔法文字の意味がわからなかったもので、1から調べたんですよね。5年前から、試しては書き出してを繰り返しました」


「まじですか……」


「まじです。てか、まだ魔法文字のほとんどの意味がわかってないんですよね。昔の魔道書とか漁ってると無限に出てきますしね。今でも3割ぐらいだと思います」




魔法文字の解読など、彼は聞いたことがなかった。


普通の者なら、魔法文字は魔文を構成する不思議な文字、としか思わず、その意味を調べようとはしなかった。魔法が撃てれそれでいいと考えているため、そこまでしようとは思わないのだ。



言うなれば、アルファベットの1文字1文字がどのようにできているかなどを調べるようなことだ。

普通の人ならしないだろう。


それをやっているカインは異常としか言えない。




「……じゃあ、俺でも新しく魔文を創れるんですか?」


「できますよ。まあ、それが実際に使えるかどうかは分かりませんが」


「…ごもっともです…」


「けど、やってみる価値はあると思います。それに、人手が増えますしね!僕としたら大歓迎です!」




悩むディネ。その様子をわくわくと待つカイン。




数十秒間悩み、結論を出したディネが口を開く。


「…俺に、魔文の創り方を教えてもらえますか?」



「もちろんです!こちらこそ、よろしくお願いします!」



ニコニコとした顔で、小さな手を差し出すカイン。

それを、ディネはぎゅっと握り返した。



はい

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