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第68話 Sクラスの決闘

「面白そうだよ!!行ってみようよ!!」


「うん!みんな!行こうぜ!!」


学院の生徒達がSクラスの噂を聞きつけ教室から飛び出して行く。


「み、皆さん!!な、何事ですか?」


ラミリアが教室から飛び出す子供達に声を掛ける。


「あっ!先生!!Sクラスが訓練場で決闘だって!!」


「ええっ?!け、決闘?!」


(た、大変だわ!!きっとゼノア君に違いないわ!こ、これは私では止められない!!学院長に知らせないと!!)


ラミリアは生徒達の無事を願いながら生徒達の流れに逆らい学院長室へ向かうのであった。




「・・・七歳で無属性魔法か・・・確かに俄には信じられん。だがもしそれが本当なら・・・英雄サーメリアと同じ帝級スキル〈魔力創造〉と同等なスキルを持っていなければ説明が付かない・・・しかし生まれながらにして固有スキルが帝級など・・・そんな奇跡が・・・」


リズナーが腕を組みをし顎を撫でながらサーメリア学院の門の前で立ち止まると門番の視線に気付く。


「ここは英雄サーメリア学院です。御用向きを伺います。」


門番は見た目は若いが出立ちを見ただけで実力者と分かる雰囲気を漂わせていた。


(この門番・・・出来るな・・・)


「・・・私は聖教会から来たリズナー・セルナードと言う。昨日の聖魔力の波動の件でサーメリア殿の意見を聞きに来た。」


「・・あぁ!セルナード枢機卿様でしたか!いつもとは違う服装で気付きませんでした。サーメリア様は学院長室に見えると思いますのでどうぞ。」


門番の男の表情が緩みリズナーを招き入れるように学院の門を開ける。


「うむ。」


リズナーは予想していた身分相応の対応に満足して学院の門を潜る。すると学院の魔法結界の中に足を踏み入れた瞬間サーメリア学院長以外の強力な魔力の波動を感じ立ち止まる。


(・・・な、何だ?!こ、この咽帰るような魔力の波動は?!・・・だ、だが・・わ、分かる・・分かるぞ・・・これでも魔力を抑えている・・・ふ、ふふ・・・震えが止まらん・・・)


魔力感知には息苦しくなる程の魔力の波を感じていた。だがそれと同時に魔法に対する好奇心が溢れ出す。


「ふ、ふふ・・・こんな歳でこの魔力・・・研鑽ではなかった・・・才能だ・・・こ、これ程の魔力で放つ魔法・・ふふっ・・・興味深い・・・」


リズナーは笑みを浮かべながら魔力感知に従い歩き出すのであった。




「おい!!泣いて謝るなら今のうちだぞ!!これだけの観客の前で打ちのめされるんだからな!!」


Sクラスの代表の様に三人の上級生がにやけ顔でゼノアを見下している。見渡せばいつの間にか下級生達に囲まれていた。しかしゼノアはそんな上級生達が話しているのを軽く聞き流して対峙する三人の上級生を見据える。


(さてと・・・戦うならまずは鑑定・・っと・・・)


ゼノアは目の前に対峙する三人を鑑定する。


ラグベル・キベリアード

Lv 4

称号 剣王

力   52

体力  34

素早さ 23

魔力  12


【固有スキル】〈真剣技 1〉〈見切り1〉〈闘気〉



シーリア・マグノリア

Lv 4

称号 三属性魔導士

力   14

体力  28

素早さ 20

魔力  101


【固有スキル】〈火魔法1〉〈風魔法1〉〈地魔法1〉〈魔力増加1〉



ドーベル・バリアール

Lv 3

称号 拳王

力   48

体力  32

素早さ 30

魔力  10


【固有スキル】〈拳闘技1〉〈超加速1〉



(へーー!Sクラスに入れる訳だね!特にあのラグベルって子は剣士が目指す〈闘気〉を既に持ってる・・・ゴルじいが言っていた恵まれたスキルか・・・他の子たちは〈上剣技〉か・・魔法使いの子達も皆んな同じだね・・・だけどシーリアさんは少し魔力のステータスが高いかな。でもこのステータスは手加減が難しいね・・・ふふっ・・・だけど見た事がないスキル・・・これは嬉しいね・・・)


「お、おい!!貴様!!何を笑っている!!」


「えっ!あぁ・・・えっと・・何だったっけ?」


ゼノアは我に返り緊張感の無い表情を見せる。


「くっ・・ど、どこまでも馬鹿にして!!平民ごときが私達を無視するなんて許されない事よ!!」


「・・・い、いいさ!これから泣いて謝るこ事になるんだからな!!」


上級生三人は威嚇するように捲し立てるが内心目の前に無防備にも見えるゼノアに気圧されていた。無意識のうちに上級生達の頬を冷たい物が伝う。


(・・な、何だこいつ・・隙がない・・)


(・・・な、何なのよ・・・こ、この纏わりつくような感じは・・・)


(・・・くっ・・この感じ・・父様や兄様よりも・・・)


「ねえ?どうしたの?君達は冒険者になるんだよね?魔物や盗賊を目の前にしてそんなにおしゃべり出来ると思う?僕のじいじが言ってたよ。よくしゃべる奴は弱くて臆病で自信がない奴だってね!」


ゼノアはゴルドばりに上級生を挑発する。


「な、何だと!!よ、よし!!先ずはドーベル!お前が行け!!」


「へっ?」


「そ、そうね!それがいいわ!!」


突然ラグベルに指名されたドーベルが呆けた声を出す。シーリアも同調して一歩下がる。


「お、俺?!な、何でだよ?!」


「あんた言ったじゃない!!泣いて謝らせるんでしょ?ほら!!さっさと行きなさいよ!!」


「ば、馬鹿言え!言い出したのはお前等だろ?!何で俺が・・・」


(はぁ・・・全く・・早く試したいのに・・・)


「ねえっ!!」


痺れを切らしたゼノアが一括する。


「はうっ!」

「ひっ!」

「ひうっ!」


三人は思わず肩を跳ね上げ目を丸くする。


「本当によく喋るよね?時間が勿体無いから全員で掛かっておいでよ!!それとも・・・怖気ついちゃったのかな?」


「な、な何だと・・・ふ、ふん・・いいだろう!!お前がそれでいいなら・・」


三人はそっと顔を見合わせて頷くと二年生達に合図を送り一斉にゼノアを取り囲んだ。


「あぁ!!何よあれ!!一人を皆んなで囲んで!!狡いわ!!卑怯よ!!」


訓練場に着いたナリアの声が響き渡る!


「そうだな。騎士道に在るまじき行為だ。」


エルスも軽蔑の眼差しを送る。


「う、うるさい!!こいつがそれで良いって言ったんだよ!!だから願いを叶えてやったんだよ!!」


「で、でも・・・だからって・・あれじゃあ・・・」


ナリアが心配してゼノアを見るがゼノアの表情には微塵も狼狽える様子が無かった。


「・・・ふん。あいつの勝ちだな・・」


「えっ?!」


不意に背後で呟いたのはミレードであった。


「どういう事?」


「・・・ふん!分からないのか?・・・認めたくはないがあいつが纏う魔力は半端じゃない・・・」


「あぁ、僕も同感だ。それに魔力だけじゃない・・・この感じは・・・父様と同じ・・・」


エルスもゼノアを興味深く見つめるのであった。



「覚悟しろ!!お前等!!魔法攻撃だ!!」


(くくっ・・・魔法を避けた無防備な所に俺達前衛が攻撃だ・・・)


ラグベルの合図で魔法の得意な上級生が詠唱を終えた魔法をゼノアに向かって放つ!


「ふん!!喰らいなさい!!ロックバレット!!」


「ファイヤーバレット!!」

「ウインドバレット!!」

「ウォーターバレット!!」


Sクラスの魔法が得意な子供達は皆が三属性魔導士であった。その上魔法適正が高く魔力を強化スキルとステータスの高さにより子供の頃から中級魔法が使える子が集まっているのである。


(ふふっ・・・中級魔法ね・・・)


「あ、危ない!!」


上級生達が放った魔法がゼノアに襲いかかる!しかしゼノアは落ち着き払い避ける素振りも見せなかった。


「な、何故避けない!?・・・そ、それなら!!お前等!!同時に攻撃だ!!」


ラグベルの号令で魔法攻撃を追いかける様に上級生達がゼノアに襲い掛かる!


(はぁ。こんなの避けるまでもないよね・・・)


どどどーーん!!


「よし!今だぁぁぁ!!」


「うりぁぁ!!」

「ふんっ!!!」

「喰らえぇぇぇ!」


どこっ!

どかっ!

ぱかっ!


シーリア達から放たれた魔法がゼノアに全弾命中する。そして間髪入れずにラグベル以外の上級生達の木剣や拳がゼノアに放たれ命中する。


そして慣れない中級魔法を放った子供達は肩で息をしながらへたり込んだ。


「・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・どう?に、逃げる暇も・・無かったようね・・・」


シーリアは勝利を確信して身体を起こす。しかし舞い上がる火の粉が晴れ立ち登る水蒸気が霧散するとそこには無傷で頭を掻きながら立つゼノアの姿があった。そしてその周りで上級生達が激痛にのたうち回っていた。


「うがぁぁぁ!!て、手がぁぁぁ!!」


「い、痛いよぉぉぉぉ!!手がぁぁぁ!!」


「あーーん!!腕がぁぁーー!痛いよーー!!」


「・・・はっ?!な、何で?!」


「・・・う、嘘だろ・・・な、何だよ・・これ・・・」


シーリアとラグベルは目の前の光景に理解が追いつかず言葉を失う。そしてナリア達も目の前の光景に目を丸くしていた。


「・・・そ、そんな・・・あれだけの攻撃を受けて無傷なんて・・・」


「ふ、ふん!だから言っただろう。多分奴はとんでもない防御スキルを持っているに違いない・・・」


「・・・い、いや・・それだけじゃない・・多分だけど・・・父様と同じ闘気を感じる・・・」


(ふふっ・・・〈水魔法〉〈地魔法〉〈風魔法〉・・それに〈拳闘技〉頂きました!でも・・・〈上剣技〉は上位の〈豪剣技〉があるから増えないのか・・〈火魔法〉はユフィリアさんから覚えた上位魔法の火炎魔法があるから無しだね・・・)


そしてゼノアは悪い笑みを浮かべてシーリアとラグベルを見据える。


「さて・・・肩慣らしは終わった?次はどうするの?」


「な、な、何なのよぉぉぉ!!私の最高の魔法なのよ!!何で無傷なのよぉぉぉぉ!!」


「くっ・・・こ、こいつ・・・な、何かズルをしているんだ!!そ、そうに違いない!ず、狡いぞ!!ひ、卑怯だぞぉぉぉ!!!」


動揺するラグベルとシーリアにゼノアは悪い笑みを浮かべながら二人を見据えた。


「・・・狡い?卑怯?自分が勝てない相手には言い訳?本当に君は冒険者を目指しているの?自分の弱い事を棚に上げて何を言っているの?・・・じゃあ少しだけ平民の僕の力を見せてあげるよ。」




「むっ!この魔力の高まり・・・何が起こっている?!」


リズナーは足取りを早め廊下を小走りで急ぐ。すると背後から声を掛けられる。


「セルナード枢機卿?何故ここに?」


「むっ・・・これは・・サーメリア学院長・・・」


リズナーが聞き覚えのある声にゆっくりと振り返るとラミリアを伴い訓練場に急ぐサーメリアの姿があった。


「・・・じ、実は昨日の聖魔力について意見を・・・」


(どどどーーん!!)


動揺するリズナーの話を遮るように訓練場の方から物音が響く。サーメリア達三人は咄嗟に音のする方を見た。


「は、話は後よ!!急がないと!!」


「そうだな。行こう。」


サーメリア達三人は足早に訓練場の扉の前まで行くと勢いよく扉を開けてそのまま中へ入った。


ばぁぁん!!


「貴方達!!何をしているの!!」


訓練場にサーメリア学院長の怒気の籠った声が響き渡る。それに驚いた生徒たちが一斉に入口に立つサーメリア学院長に注目した。


ゼノアも思わず振り返るとサーメリアと目が合った。


「あっ・・・学院長・・・」


すると対峙していたラグベルの目に光が灯る。そしてよそ見をしたゼノアに切り掛かった!


「うりぁぁ!!隙ありだ!!〈闘気〉解放!!」


「んは?」


ラグベルの声に振り返ると薄らと青白い光に包まれた木剣がゼノアの左肩を捉えた。


ばしぃぃぃ!!


「んっ!!」


「あぐっ・・う、腕が・・・」


しかしラグベルの木剣がゼノアの身体に弾かれ宙に舞う。そしてゼノアは咄嗟にラグベルの攻撃に反応してしまい無防備なラグベルの顔面目掛けて右拳をめり込ませた・・・


(あっ・・・しまっ・・ま、間に合え・・・)


どばきゃぁぁぁ!!


べきっ・・ごきっ・・びきっ・・


「ぶげぇぇぇぇぇ!!」


ずだぁぁん!ずざざぁぁ・・・


ラグベルの顔面は骨が粉砕され陥没し吹き飛ばされ床に転がった・・・


「い、いけない!!ラグベル君!!」


サーメリアとラミリアが床に転がるラグベルに駆け寄り顔を覗き込むと二人が想像していた最悪な傷も無く静かな呼吸で気絶していた。しかしその場に残されたリズナーは目を細めてゼノアを見据えていた。


(ふふ・・・なるほど・・・だが私の魔力感知は誤魔化されんぞ・・・)

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