第4話 スキル「育成の種」
ピピッ・・チチッ・・・
窓から差し込む日差しに瞼をくすぐられ小鳥のさえずりで夢の中から引き戻されると見慣れない天井を見つめる。
「んんっ・・・すぅぅぅ・・ふうぅぅぅ・・・夢・・・じゃ無いみたいだな・・・」
ゼノアは深呼吸をすると天井を見ながら小さな手を伸ばして目の前にかざす。自分が寝かされている所も木の柵が付けられた子供用のベットだ。
(僕は本当に転生したんだな・・・神様がくれた2回目の人生か・・・よし!気を取り直して神様がくれたスキルを見てみるか。)
ゼノア
Lv 1
称号 スキル神官
力 1
体力 3
素早さ 1
魔力 1
スキルポイント 0
【固有スキル】〈神級スキル〉〈育成の種1〉〈寒耐性8〉〈苦痛耐性7〉〈状態異常耐性7〉
(んんっ?!育成の種?!それに寒・・苦痛・・状態異常耐性?・・何でこんなにもスキルがあるんだ?・・・でもまあ・・あった方が良いに越した事はなか・・・そう言えば〈神級スキル〉の効果を書き換えたって言ってたな・・・)
〈神級スキル〉
神が創造したスキルを使う事が出来る。神級以外のスキルは威力や効果が上昇する。
(おぉう!?か、書き換えるどころか効果が増えてないか?!・・・それにこの〈育成の種〉って・・・〉
ゼノアは目の前に現れたステータスのスキル〈育成の種〉を触れてみた。
スキル〈育成の種〉 神級
・〈育成の種〉レベル1
創造神アルフェリアが創造したスキル。
基礎的な身体を作る種を生成する。身体に取り込む事により各ステータスが上昇する。
レベル1
・力の種 (7)
・体力の種(7)
・速さの種(7)
・魔力の種(7)
()は開花日数
(こ、これ凄くないか・・・自分の能力が・・スキルで上がって行く・・・レ、レベルが上がっていけば・・更に上がって行く・・・神様・・・凄いよ・・・ありがとう。)
ゼノアはこれからの自分の成長に思いを馳せ興奮していた。
(よし!取り敢えず・・やってみるか!!・・・〈力の種〉生成!!)
ゼノアは訳も分からず掌に力を集中してみた。
すると体力をごっそり削られる感覚に襲われ赤みがかった掌サイズの見るからに種と分かる形状の物が目の前に現れた。ゼノアが仰向けで種を生成したせいで種はゼノアの胸の上に転りそのまま胸の中に消えて行った。
「ふはぁ・・・はぁ・・はぁ・・こ、これがが〈種〉か・・それにしても疲れた・・この身体じゃあ何かを生み出すには負担が大きいって事か・・・1日1個が限界だ・・」
息を整えて胸を撫で下ろしているとパタパタと廊下を歩く音が近づいて来て扉の前で止まった。
ガチャ!
扉が開くとひょっこりと笑顔のシーラが顔を出した。
「あれ?ゼノアちゃん起きたのかなぁ?お腹空いたでしょう?」
シーラはお盆に野菜や肉を柔らかくしたスープと果物を乗せて部屋に入って来た。すると暖かいスープのいい香りが部屋中に広がり鼻腔をくすぐった。
あぁ・・いい匂い・・そう言えばお腹空いたな・・・まあ、今は焦っても何も出来ないし・・・この幼児時代を楽しむ事にしようかな。
ゼノアはシーラに抱き抱えられ胸の谷間に顔を収めると顔を左右に振りながら胸の弾力を楽しんでいた。
(ふんふんふんふん・・・僕は幼児だからね・・・まだ1歳だからね・・・こんな事してもいいんだよね・・ふふふ・・・)
「あらあら。甘えん坊さんね・・・ふふっ」
ゼノアの下心も知らずシーラはゼノアの頭を撫でながら微笑み抱きしめるのであった・・
(ん?・・・何だろう・・この身体の中で何かが解放されたような感覚は・・・)
朝、ゼノアは奇妙な感覚だが清々しい気分で目覚めた。天井を見ながら自分の手を目の前にかざすと淡く光を放っていた。
(な、なんだ・・・これは・・・んっ!きょ、今日は・・〈力の種〉生成から7日目だ・・・ス、ステータス!!)
ゼノア
Lv 1
称号
力 2
体力 3
素早さ 1
魔力 1
スキルポイント 1
【スキル】 〈神級スキル〉〈育成の種1〉〈寒耐性8〉〈苦痛耐性7〉〈状態異常耐性7〉
(んんっ?・・・おぉ!!力が1上がってる・・・って・・たった・・・1か・・うーん・・・確かにレベル1だからね・・そうなるか・・・ん?)
ゼノアがステータス画面の下の方に視線を走らせ変化に気付く。
(スキルポイントが・・1になってる・・人のステータスを見た事ないから分からないけどスキルポイントって何だ?)
ゼノアは〈スキルポイント〉に触れてみた。
〈スキルポイント〉
・創造伸アルフェリアが作り出したもの。あらゆるスキルを習得する為に必要なポイント。上級スキルになればなる程スキルポイントが必要になる。
〈習得可能スキル〉
・ー
(あ、あらゆるスキルの習得?!上級スキル?!もしかして・・スキルを選べるのか?!)
この世界では人間は固有スキルを持って生まれてくる。ただ稀に固有スキルを複数持って生まれてくる者もいる。そして後天的に固有スキルを習得するには早くても十数年はかかり自分の職業に関するスキルを習得するのが一般的であった。
(そ、そうか・・”限界と制限を取り払った”って事か・・・だけど〈習得可能スキル〉が無いという事は・・神様の作ったものには条件と制限がある・・・か。そしてあの声の主が創造神アルフェリア・・・何故、僕に第二の人生をくれた上にこんな力をくれたのかは知らないけど僕はこの力でこの世界を生きる!!二度とあんな惨めな思いをしないように生きてみせるぞ!!)
ゼノアは決意を胸に小さな拳を掲げるのであった。
2年後・・・
「うぅーーーん!ぷはぁぁ!!・・・よっと!」
窓から差し込む朝の日差しに起されてゼノアがベッドの上で背伸びをする。そして足を上げて勢いよく上半身を起こした。この時〈育成の種〉のレベルが3に上がり1日3個の種を生成出来るようになっていた。
そしてゼノアは淡く光る手を見てニッと笑う。
ゼノア
Lv 1
称号 スキル神官
力 230
体力 179
素早さ 73
魔力 47
スキルポイント 312
【スキル】〈神級スキル〉〈育成の種3〉〈寒耐性8〉〈苦痛耐性7〉〈状態異常耐性7〉
〈育成の種〉レベル3
・力の種 (5)
・体力の種(5)
・速さの種(5)
・魔力の種(5)
(うん!歩みは遅いけど確実に成長しているぞ!・・・よし!スキルポイントも300を越えたし新しいスキルが増えているか見てみるか!)
〈習得可能スキル〉
・(スキルポイント100)
運搬1 採取1 採掘1 採石1 鍛治1 解体1 釣り1 料理1 飼育1 園芸1 栽培1 裁縫1 陶芸1 木工1 石工1・・・
・(スキルポイント200)
調合1 調薬1 付与1 宝石工1 武器鍛治1 鎧鍛治1 道具工1・・・
・(スキルポイント300)
錬金1 化学調合1 刀匠1 機械工1 銃工1 火薬作成1 爆発物作成1・・・
ゼノアはわくわくしながら〈習得可能スキル〉を確認すると見た事も聞いた事もないスキルが数え切れないほど並んでいた・・・
(うはぁぁぁ・・・知らないスキルばっかりだ・・・それにしても・・こんな凄いスキルがこんなにもあるんだ・・・早まって取らなくて良かった・・・だけどもう少し様子を見てからにしよう。まだ僕は3歳だ。まだ時間はあるしね!)
ゼノアは数え切れない程のスキルを眺めているとふと気付く・・
(待てよ・・確か僕の称号〈スキル神官〉は一度でも経験すればスキルを覚える事が出来るんだよね・・・だからスキルポイントを使って覚えなくても・・・・ん?
ゼノアの考えが纏まり掛けたその時、扉をノックする音が響く。
コンコン!!
(はっ!・・あ・・そうか!今日から・・)
「ゼノアちゃん!おはよう!入るわよぉーー!」
手を止めて入口に目を向けると笑顔で白い歯を見せたシーラが顔を出した。
「シーラさん!おはようございます!」
ゼノアが笑顔で両手を広げるとシーラは駆け寄りゼノアを抱き抱えて胸に収める。
(きたぁぁーーー!!)
「わぶっ!!」
「甘えん坊のゼノア君!今日も元気ね!」
(ふんふんふんふんふんふんふん・・・)
ゼノアはシーラの巨大な谷間に顔を埋め首を左右に振りながら胸の感触を堪能する。これは毎朝のゼノアの日課になっていた・・・
(むふふ・・これだよ・・これ!僕はまだ3歳だからね・・・)
調子に乗ってゼノアがシーラの胸に手を伸ばすとシーラの胸の頭頂部に触れてしまう。
さわ・・・
「あんっ・・・こら!ゼノアちゃんのエッチ!」
シーラは身体を捩りながらゼノアを胸から引き離すと可愛く頬を膨らます。
(おっと!笑顔、笑顔・・・)
「えへへぇぇーーー!!」
ゼノアはニッコリと子供の武器を最大限に発揮して照れ笑いを披露するとシーラの顔が緩む。
「ふふふ・・・ゼノアちゃんたら!・・さあ!それより今日からお仕事をするための訓練を始めるよ!まずは朝ごはんよ!食堂でみんなが待ってるわ!」
「うん!お腹空いた!!」
「そうね!早く行こうね!」
シーラはゼノアを下に降ろすと手を引いて食堂へと向かうのであった。
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